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第8話『ズレを祓うは祓い屋の務め——祭囃子に踊る怪異、今宵ここに顕現す』
しおりを挟む🔶 Aパート:祭り開幕と"ズレの兆し"
湿った夜風にのって、言埜川の水面が青白く揺れていた。
川面に映る灯籠が、一瞬だけ逆流して見えた。
橋の上では子どもたちの叫び声。屋台の煙が、町全体をゆっくり燻していく——"ズレ"を隠すには十分な熱気だった。
提灯の柔らかな光が川面に揺れ、香ばしい匂いが漂う。
地元では「祓い踊り」や「灯籠流し」といった伝統行事が行われ、老若男女でごった返していた。
そんな喧騒の中、桝川の面々も、この賑わいに浮かれ気味だった。
店主のたかしは、臨時で出した屋台の焼きそばをひっくり返しながら、上機嫌に鼻歌を歌っている。
「おい、モモカ、これ食うか?」
「まだ食ってねぇよ!」
「あったり前やろ!てかあんたが遅いねん、ほら冷めるやろが」
モモカはそう言って、当然のように焼きそばを受け取った。
隣で串に刺さった唐揚げを頬張りながら、使い魔のカラクサと共に次の屋台を物色している。
カラクサが、たこ焼きの匂いに誘われるように、屋台の並ぶ方へとふらふらと歩み寄っていく。
鷹津麗は、浴衣姿でスマホ片手に、祭りの様子をライブ配信しながら、画面に映る自分の顔に満足げな笑みを浮かべていた。
「これ、絶対バズるって!いま音割れしたんウケる~、#祭りの夜の怪音 ってタグにしよ」
ツバサもまた、片手にクレープを持ち、スマホに釘付けだ。
SNSのタイムラインを忙しくスクロールしながら、何かを探している。
ふと、彼女の顔から笑顔が消えた。スマホの画面を凝視し、小さく呟く。
「あれ……これ、昨日のと違う動画流れてる……?」
それは、祭りの映像の中に、一瞬だけ、同じ場所なのに**"自分の後ろ姿"が映り込む**という、不自然なズレだった。
撮った覚えのない角度からの映像。
ツバサは眉をひそめ、もう一度動画を再生し直すが、そのズレは再び現れることはなかった。
そんな浮かれた空気の中、屋台の喧騒から少し離れた場所に、スラリとした黒い影が立っているのが見えた。
市川繭子だ。
彼女は、祭りの賑わいとは一線を画すかのような、喪服と見紛う漆黒のスーツ姿で、周囲の様子を鋭い視線で観察していた。
カラクサが、たこ焼きを咥えたまま、ぴたりと動きを止めた。
その黒い瞳が、市川の姿を捉える。
カラクサの低い唸り声に、モモカが不審そうに市川のほうに目を向けた。
公安特殊案件課の彼女が、こんな場所にいるのは珍しい。
その存在が、祭りの空気の中に、わずかな不穏さを持ち込んだ。
市川は、スマホを耳に当て、低い声で何かを指示している。
その視線の先には、半纏を着て、祭りの警備に当たっているかのような、しかし目が一切笑っていない数名の地元警察官の姿が見えた。
彼らもまた、祭りを楽しんでいるというよりは、何かを警戒しているようだった。
市川は屋台の裏手で焼きそばを焼くたかしの元へと歩み寄った。
「たかしさん」
市川のクールな声に、たかしは焼きそばを焼く手を止め、振り返った。
その顔には、いつもの飄々とした笑顔が消えている。
「市川さんか。わざわざこんなとこまで、どうしたんや」
市川は感情の読めない表情のまま、真っ直ぐにたかしを見据えた。
その言葉は、祭りの喧騒の中でも、妙に響いた。
「今回は、正式な祓い依頼になるかと。公安が**"ズレリスク警戒対象"**に指定しました。つまり、国家案件です」
たかしの表情が、一気に引き締まった。
遠くで聞こえるモモカや鷹津、ツバサたちの笑い声が、途端に遠のいたように感じられる。
市川はさらに言葉を続けた。
「状況次第では、複数の命が巻き込まれる可能性があります。今回は、あの**"型落ちズレ"**の可能性……昔の時空が今に混ざり込むタイプですね」
市川の言葉が、祭りの夜に、重くのしかかった。
賑やかな祭りの裏で、静かに、そして確実に、不穏なズレの兆しが広がり始めていた。
🔶 Bパート:怪異踊り、顕現
言埜川沿いの祭りの中心では、「祓い踊り」が最高潮に達していた。
太鼓の力強い響きが夜空に轟き、それに合わせて群衆が一体となって踊る。
熱気に包まれた空間で、人々の歓声と笑顔が渦巻いていた。
提灯の柔らかな光が、踊る人々の顔を幻影のように照らし出す。
だが、ふと、太鼓の曲調がわずかに変わった。
**太鼓が肉を叩くような、鈍く濁った重低音を響かせ——それに呼応するかのように、群衆の踊りは歯車の噛み合わぬ機械のようにぎくしゃくと変貌した。
揃わぬ手振りと笑い声が、夜に布を引き裂くように広がっていた。
**笑顔だけが顔面に貼りつき、瞳孔は開いたまま揺れず、肩から先の動きだけがやけに鋭く、まるで関節が逆に曲がった人形が踊っているかのようだった。
中には、ただ一つの手振りを延々と繰り返す者もいる。足元からは、ドス、ドス、と地響きのような音が微かに響き始めた。
踊りは止まらない。
一人、また一人と、観客だったはずの人々が、吸い寄せられるように踊りの輪へと加わっていく。
その動きは、次第に加速し、常軌を逸していく。
**広場の端で、「なぁ、なんでみんな踊ってるの?」と隣の母親に尋ねた子供が、次の瞬間には虚ろな目で輪に加わり、ぎこちなく腕を振り上げていた。
踊らぬ者に注がれる視線は、まるで空気ごと皮膚を突き刺すような圧で——ひとつ、またひとつ、理性が砕けていく音がした。
**逃げようと背を向けた者が、無数の虚ろな目に睨まれた瞬間、足をすくませて動けなくなった。
彼らは、まるで透明な壁にぶつかったかのように、その場で立ち尽くし、やがて緩慢な動きで踊りの輪に加わっていく。
祭りの喧騒が、不気味な渦となり、観客たちを飲み込んでいく。
空間が、まるで熱で陽炎のように揺らぎ、不自然に捻じ曲がっていくのが見えた。
**揺らめく提灯の灯りは、今や"灯り"ではなく、記憶の底で揺れる残像のようだった。
**屋台の煙も、その捻じ曲がった空間の中で、奇妙に歪んで見える。
神社へ続く参道は、ぐにゃりと曲がり、まるで同じ場所を何度も歩かされているかのように、風景がループしている。
踊っている群衆の浴衣の色が、一瞬だけ色褪せて、数十年前の古い着物に見えた気がした。
遠くの空に浮かぶ花火の音が、妙に遅れて届き、ズレた空間がさらに深まっていることを告げていた。
「始まったか……」
たかしが、静かに呟いた。
その声には、諦めにも似た響きがあった。
祭りの賑やかさは、一瞬にして、巨大なズレが顕現する場へと変貌していた。
「——ったく、冗談じゃない」
モモカは串を握ったまま一瞬だけ動きを止め、それから舌打ちと共に唐揚げを投げ捨てた。
「しゃーないな、あたしらの出番やろ」
モモカは静かに呟くと、符札棍棒を構え、踊りの中心へと向かって一歩踏み出した。
その頃、祭りの外れの橋の欄干にもたれていた市川繭子は、ポケットから取り出した通信用の符札を握りしめ、冷徹な目が踊りの中心を捉える。
彼女の無線からは、**「……音源の解析結果、不明。祭囃子に潜む"連鎖式の符号"を確認……ッ、上層部より、記録班は映像全カット指示!」**と、焦った声が聞こえてくる。
その後を追うように、鷹津麗がスマホ片手に「これ、特ダネじゃん!ヤバいって!」と叫びながら、ツバサと共に現場へ飛び込んでいく。
ツバサは自身のスマホでライブ配信を続けながら、祭りの奇妙な太鼓の音と、そこに混じる合唱のような不気味な"声"に耳を傾けていた。
「SNS炎上してるっす!リアルタイムで観客がゾンビ化してる!」と叫んでいた。
彼女のスマホ画面には、踊る人々の顔が、一瞬だけ人間ではない何かに変化している様子が映し出されている。
ツバサは、その異様な光景に魅入られたようにレンズを向けていたが、ふと、その画面の奥に、踊りの中心から伸びる一本の黒い影が映り込んでいることに気づき、息を呑んだ。
市川繭子は、祭りの外れの橋の欄干にもたれながら、その異変をじっと見つめていた。
提灯の光が頬に揺れる中、ふと彼女はポケットから何かを取り出した。
それは、公安の印が押された、薄い通信用の符札だ。目を細めると、その視線は踊りの輪の中心を貫いた。
その横で、一人だけ踊らずに立ち尽くす老婆が、虚ろな目で川面を見つめ、低い声で呟いていた。
「……戻っとる……また戻っとる……」
音と光と踊りの渦の中、何か"戻ってきてはならないもの"が——もうすぐそこにいた。
🔶 Cパート:祓い屋 vs 怪異の本体
狂気の渦が、踊りという衣をまとって拡がっていた。
太鼓が肉を叩くような鈍く濁った重低音が地の底から響き、狂ったような笑い声が夜空に吸い込まれていく。
踊りの中心部。空間がざくりと裂け、黒い煙が噴き出す。
それは、踊りの熱狂が頂点に達し、怪異の本体を"呼び出した"かのように顕現した。
市川繭子は、祭りの外れの橋の欄干にもたれながら、その異変をじっと見つめていた。
ポケットから取り出した通信用の符札を握りしめ、冷徹な目が踊りの中心を捉える。
異変が始まる前から、彼女はここにいた。
冷静な表情の下、微かに唇が歪む。
無線からは、祭りの騒音に紛れて、上層部の苛立ちが聞こえてくるようだった。
過去の失敗が、一瞬、脳裏をよぎる。
煙の中から、ゆらりと影のような怨念が顕現する。
それは、明確な形を持たない、しかし巨大な、人間の負の感情の塊だった。
怨念は、まるで内側から燃えるかのように炎に包まれ、その熱が周囲の空気を歪ませる。
炎の色は、提灯の赤とも花火の鮮やかさとも違う、どこか腐敗したような、どす黒い赤だった。
その煙の隙間から、複数の顔が潰し合うようにして形をなし、一瞬だけ目のない顔のような膨らみが浮かび上がった。
その最奥には、歪んだ神輿が蠢く幕のように存在し、無数の四肢が交差する影が蠢いていた。
「ひっ……!」
人々は気づかない。
ただ踊り続け、怨念に吸い寄せられていく。
だが、鷹津は、その影を見て顔色を変えた。
その冷静な顔の下で、動揺を必死に押し殺す。
「あれ、もしかして……」
モモカは、怨念の出現を確認すると、迷わず符札棍棒を構えた。
彼女の視線は、群衆を通り越し、真っ直ぐに怪異の本体を捉えている。
「カラクサ!周りの人間、引き剥がせ!」
モモカの指示に、カラクサは黒煙を纏い、巨大な黒豹のように跳躍した。
咆哮と共に踊る人々の間を駆け抜け、爪を振るう。
直接傷つけることはないが、その体から放たれる瘴気が、人々を踊りの輪から弾き飛ばしていく。
ゾンビのように踊っていた人々は、地面に倒れ込み、意識を失っていく。しかし、全員が倒れるわけではない。
引き剥がそうとすると叫び声を上げ、自分の肉を喰いちぎりながら、なお笑い続けてモモカに抱きつこうとする女まで現れる。
一体、どこまでズレに侵食されているのか。モモカの額に、汗が滲んだ。
カラクサが、一瞬だけ動きを止めた。
その黒い瞳に、怨念の瘴気が淀む。
「……ッ、モモカ、このズレ……本能が、拒否してる……!」
カラクサの低い唸り声が、苦しげに響く。
一瞬、制御を失いかけたかのように、その体が大きく揺らいだ。
鷹津は冷静を装い、ツバサに視線を送る。
それだけでツバサは意図を汲み取った。
ツバサは震える手でスマホを操作しながら、それでも状況を記録しようとレンズを向けていた。
彼女の顔は蒼白だ。だが、その瞳の奥には、恐怖を凌駕する狂気のような好奇心が宿っている。
「こんなん、ほっといてええん……?でも、撮らなあかん……ウチが、ここにおったって証明できへん……」
ツバサが葛藤するように呟くが、彼女の指は動画を止めない。
その頃、市川繭子は、公安の符札を指先で弄んでいた。
彼女の表情は変わらない。
だが、その瞳の奥には、確かな緊張感が宿っている。
無線越しに、たかしへと指示が飛ぶ。
その無線からは、祭りの騒音を突き破るように、「記録班は映像全カット!」「これ以上のデータ流出は許さない!」と、公安上層部の焦りが聞こえてきた。
「たかしさん。現場封鎖をお願いします。これ以上の外部へのズレの拡散は避けたい」
市川の声は、無線を通して、焼きそば屋台のたかしに届いた。
たかしは一瞬顔をしかめたが、すぐに頷く。
「へいへい。面倒なことになったな、ホンマ」
静流が、手際よく店の周囲に簡易的な結界を張り始める。
祭りの入り口や、川沿いの道を、警察官たちが静かに封鎖していく。
不審がる一般客には、祭りの終了を告げ、穏やかに帰宅を促している。
だが、彼らの目もまた、どこか虚ろだった。ズレの影響が、すでに広範囲に及んでいることを示している。
たかしが、祭りの中心に向けられた櫓を見上げた。
そこに、普段は使われることのない、古びたスピーカーが吊るされている。
たかしはポケットから符札を取り出すと、そのスピーカーに叩きつけた。
「静流!祈導スピーカー起動や!祭り囃子に混じった呪いの音、こっちで掻き消したる!」
たかしの声が響く。
スピーカーから、祭りの熱気をさらに煽るような、しかしどこか清らかな祭囃子が、大音量で流れ始めた。
それは、踊る人々の耳鳴りのような不気味な音をかき消し、わずかに彼らの動きを鈍らせる。
モモカは、怨念へと向かって突き進む。
その行く手を、ズレた人間たちが無言で阻もうとするが、彼女は容赦なく体当たりで吹き飛ばしていく。
「これだけは止めなあかん……!バチが当たってもええ、やるで!あの時、守れなかった奴のためにも……!」
モモカの口から、決意に満ちた呟きが漏れた。
彼女は符札棍棒を握りしめた。
その表面に複雑な呪符が浮かび上がり、刃のように青白い呪力が先端に収束していく。
彼女は迷いなく、燃え盛る怨念の本体へ向かって跳躍した。
その視線の先では、影の怨念が、さらに大きく、禍々しく燃え盛っていた。
祭りの夜の狂宴は、いま、祓い屋と怪異の本体による、命を懸けた戦場へと変貌しようとしていた。
🔶 Dパート:終息と現実
モモカの渾身の一撃が、影の怨念の中心を貫いた。
札棍から放たれた光が、禍々しい炎を吸い上げ、怨念の形を歪ませていく。
瘴気が悲鳴のように夜空に響き渡り、やがて光の柱となって天空へと吸い込まれていった。
祭りの中心を覆っていた巨大な怨念は、まるで幻だったかのように消え去った。
怨念が消滅すると、踊り続けていた人々は、糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。
カラクサが、安堵したように小さく唸り、モモカの足元へと戻っていく。
警察官たちが、倒れ込んだ人々を次々と運び出す。
彼らは皆、疲弊しきった顔をしているが、自分たちが何をしていたのか、何が起こったのか、その記憶はひどく曖昧なままだった。
「あの踊り……あれ、ほんまに踊ってたんやろか……」
倒れ伏した群衆の中から、一人の男がうわごとのように呟いた。
その隣にいた子供が、母親の浴衣の袖を引っ張り、小さな声で怯えたように尋ねる。
「ママ……炎の中に、誰かいたね……?」
市川繭子が、冷徹な声で呟いた。
彼女は、符札をポケットにしまいながら、モモカに近づいてくる。
祭りの喧騒はすっかり消え失せ、残されたのは、不自然な静寂と、散乱した屋台の残骸だけだった。
「私が動く前に、終わってたのね。やっぱりあんたら民間のが早いな」
市川の言葉に、モモカは鼻で笑う。
「今回の件は、夏祭りでの集団熱中症騒ぎとして処理されます。一部、興奮した若者が暴れた、という形になるでしょう」
市川の言葉に、モモカは鼻で笑う。
「はいはい。また誰にも見えん祓いやっとるわけやな。おかげで汗だくやわ、アホ」
モモカは煙草に火をつけ、大きく紫煙を吐き出した。
その煙が、祭りの後の静まり返った夜空に、ゆっくりと溶けていく。
たかしが、静流と共に、屋台を片付けながら、モモカたちのもとへやってくる。
静流は、黙々とノートに記録を続けている。その顔に、一瞬だけ、微かな笑みが浮かんだような気がした。
「稼ぎは出すから、文句言うなや。早よ帰って休め」
たかしの言葉に、モモカは「定食屋の主人らしい言葉やな」と呟く。
「なんぼ稼いでも、命の値段はつけられんけどな」
たかしが、ふと、遠い目をしながら呟いた。
その言葉は、祭りの後の静けさに、じんわりと染み渡る。
桝川に戻った後。静流は、誰にも見られぬように、自分のノートの最後の一文を書き加えていた。
インクが滲んだように、微かに「未収束。兆候、残存。……次はないかもしれません」と書き残されていた。
祭りの賑やかさは消え失せたが、言埜の街には、またいつも通りの日常が戻ってくるだろう。
だが、彼ら祓い屋にとっては、ズレの脅威は決して終わらない。
祭りの夜の不穏な空気は、まだ、言埜の街のどこかに潜んでいるかのようだった。
🔶 ラストシーン
(桝川のカウンター席。提灯の明かりの下、ジョッキがずらりと並ぶ)
モモカ「ほな、みんなご苦労さん。よくぞ今日も生き延びたなあ~!」
市川「……死人出んかっただけ奇跡やで、ホンマに」
モモカ&市川「かんぱーい!」
(乾杯、笑い声、グラスの音)
ツバサ「いやでも!あれマジでヤバかったって!私もう踊り出した時点で無理って思ったし、あの地鳴りのときとか、ふつーに泣いてたからね!?」
鷹津「……ああ、泣いとったな。鼻すする音、風鈴より響いてたぞ」
ツバサ「それ今ここで言う!?ひどーっ!」
たかし「まぁまぁ。泣くくらいなら正常やで。わしなんか昔、もっとヤバいもん見て声出んようなったことあるさかいな」
モモカ「へえ。で、そのときも呑気に焼き鳥焼いてたん?」
たかし「焼いてへんわ。……そんときは茹で卵や」
(一同、絶妙な間のあとに笑い)
ツバサ「でも結局いちばん怖かったのって——モモカさんがキレた時じゃない?」
(空気が止まる)
カラクサ(低く)「そらそうやろ……あれはもう、怪異やもん……
……あ、同じか」
(一同爆笑)
モモカ「ほなカラクサ、今から踊らしたろか?踊ってる間だけ許したるわ」
カラクサ「それ"永遠に踊れ"って意味やろ。こわ……
……あ、同じか(二回目)」
市川「そのセリフ、クセになってきたわ」
鷹津「ていうかツバサ、あんたもうちょい年上に敬意持てや。わいらまだ20代やけど、お姉さんやで?」
ツバサ「え~、20代後半なんて、もう"アラサー"ってやつでしょ?」
(凍る空気)
たかし「……お嬢さん、それ以上は自己責任や」
(沈黙のあと、爆笑)
(引きのカット。桝川の外観。笑い声と灯りが夏の夜へと溶けていく)
——エンディングへ
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