私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第365話

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 シアトム第二王子の国葬が、しめやかに執り行われた。
 王都内の店は全て閉まっている。
 家の前や店先には、喪に服していることを表す旗を掲げているところもある。
 建国祭とは違い、国葬中の今日と明日は王都に入ることも出ることもできない。
 これは建国祭のように王都への攻撃を抑止するための措置だった。
 国葬の最中に攻撃をすることは、暗黙の了解で禁止していた。
 あくまでも暗黙の了解だ……建国祭に攻撃を仕掛けてきたアルカントラ法国の件も解決していないからこそ、警戒を怠るわけにはいかない。
 王都に入れないことは商人たちにとっては大打撃となるが、逆らうことなどできるはずもなく、王都の外で野営をして、その時を待つ。

 シアトムの遺体は、王都内の大通りを馬車で回り、国民とも悲しい最後の別れをする。
 いまだ、復旧していない東地区と南地区では大通りも被害に遭っているため、安全な場所の巡回に変更されていた。
 シアトムとの別れをするため、リゼたちも大通りに並んでいた。

「アンジュ‼」

 近くの冒険者から声を掛けられる。
 手招きしていることから、こっちに来いということらしく、アンジュは「ちょっと行ってくる」と離れていった。
 時折、こっちを指差しているので、何かしら自分たちに関係のあることなのかもしれないと思いながらも、シアトムの遺体を乗せた馬車が近づいてきたので、姿勢を正し、シアトムに哀悼の意を表した。
 視線を落として、俯きながら馬車の音だけを聞き、通り去るのを待った。
 すすり泣く声も聞こえるので、王族が亡くなるということは、それなりの意味があるのだと感じながらも、自分の感情とは違うと思い、その声を聞いていた。
 馬車がかなり遠くへ行ったことを感じ、周囲の人の話し声から顔を上げても大丈夫だと思い、頭を上げると、多くの人が馬車を目で追っていた。

「マルコム王子とリアム王子……大丈夫だと思うけど」

 一人の老婆が独り言のように呟くと、その声に反応して近くの人たちが、

「大丈夫だ」
「エルガレム王国が覇権争いで、二つに割れることはない」
「国王様や、マルコム王子にリアム王子を今まで通りに信じればいい」
「そうだ、そうだ」

 と、諭すように話していた。
 それは暗黙の了解で、リアムが王位に興味がないことは、誰もが分かっていたことだった。

「だけど、フォークオリア法国だって――」

 内乱が起きたフォークオリア法国のことを知っている者にとっては、他人事ではなかった。
 他国と違い、エルガレム王国内の情勢は安定している……が、それはフォークオリア法国とて同じだった。
 不安を感じて生活している人々が多いことが露呈する。

「レティオール。シャルル」

 アンジュの声に二人が顔を向けると、先ほど自分が呼ばれたように二人を手招きする。

「なんスかね?」
「さぁ?」

 ジェイドも分からないようだが、自分も分からないため、会話が続かない。
 リゼとジェイドは無言のまま、アンジュたちのほうを見続ける。
 レティオールとシャルルは、恥ずかしそうに頭を下げたり、笑みを浮かべたりしていることから、悪い話ではないのだろう。
 アンジュの表情からも、そのことは分かる。
 自分の知らない間に、冒険者の友人が出来たのだろうと思い、リゼは嬉しかった。
 少しでも早く王都に馴染んでもらいたいと思っていた。
 自分と違い、レティオールとシャルルであれば冒険者に関わらず、いろいろな人と友好的な関係を築けるだろうと見ていた。
 
 アンジュたちが戻って来て、レティオールとシャルルを呼んだ理由が分かった。
 最初にアンジュを呼んだ冒険者は、建国祭の時に、街の警備クエストを受注していた冒険者たちだ。
 倒壊した建物から救助したり、治療をしていた見知らぬ二人と一緒にいたアンジュを呼んで話を聞いたそうだ。
 救助された人たちが、一言礼を言いたいと、レティオールとシャルルを探していたらしい。
 一応、冒険者ギルドにも報告はしているので、多少は報酬が出るかもしれないと教えてくれた。
 彼らも二人には感謝していたが「状況が状況なだけに仕方がなかった」と言いながら、クエスト内容が成功報酬だった場合は、揉める原因になると忠告されたそうだ。
 それはアンジュも分かっていたようだが、レティオールとシャルルはアンジュたちに迷惑をかけたと思い、申し訳なさそうに俯く。

「二人は間違ったことはしていない。二人のおかげで救われた命があることは事実よ。報酬で揉めるなら、拒否させてもらうわ」

 毅然とした態度で擁護すると、二人の体を叩いて元気づける。
 アンジュのおかげで、レティオールとシャルルの表情にも明るさが戻る。

「はい、もちろんです」
「私もです」

 二人の答えにアンジュも嬉しかったのか笑みを浮かべて、冒険者たちとの話を終えて戻ってきた。

「明日も冒険者ギルドはやっていないから、明後日になるわね。私も一緒に行ってあげるわ」
「有難う御座います」
「すみません」
「俺も一緒に行くっスよ」

 ジェイドが同行することを伝えると、リゼは「私も――」と言おうとして、国王に呼ばれていることを思い出す。
 そして、面倒なメインクエストも……。


――――――――――――――――――――


■リゼの能力値
 『体力:四十八』 
 『魔力:三十三』
 『力:三十三』 
 『防御:二十一』
 『魔法力:二十六』
 『魔力耐性:十三』
 『敏捷:百四十三』
 『回避:五十六』
 『魅力:三十八』
 『運:五十八』
 『万能能力値:零』
 
■メインクエスト
 ・謁見の間で国王の要求を全て拒否する。
 ・報酬:魅力(十増加)、運(三増加)

■サブクエスト
 ・ミコトの捜索。期限:一年
 ・報酬:慧眼けいがんの強化

■シークレットクエスト


■罰則
 ・身体的成長速度停止。期限:一生涯
 ・恋愛感情の欠落。期限:一生涯
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