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具体的なプラン
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「まずは『進藤』を倒しに行くわよ」
狂乱も一通り収まった所で、朱槻(すずき)はそう宣言した。
「なんでだ!?敵のボスは『佐藤』なんだろ?だったらそいつからまずやるべきじゃねえか!」
そう声を上げたのは鷹端(たかはし)と呼ばれた大柄な男。
確かにシンプルに考えればそうかもしれない。
しかし…
「それはダメよ。今の私達がいきなり『十六藤』トップの『佐藤』に挑んだ所で返り討ちにあうのが目に見えてるわ」
ゲームと同じで初期状態でボスに挑んでも敵うはずがない。
そしてこの世界に数多いる藤原一族…名字の最後に『藤』がつくものの中でも特に有力とされている十六の名字を『十六藤』と呼び、その筆頭とされるのが『佐藤』であった。
「ここに集まった人間の団結力は高い。けれど私達にはいかんせん実践経験が足りないわ。だからまず手頃な藤原一族である『進藤』を倒して勢いをつけようってワケ」
「なんだその突っ込み所満載のセリフは」
今まで黙って話を聞いていた棚架(たなか)が我慢できないとばかりに口を挟んだ。
「団結が固いも何も俺たちは今日が殆ど初対面だし、実践経験が足りないどころか皆無だし何より『手頃な藤原一族』ってなんだよ。そいつら最強格の集団だぞ?」
例えるなら念能力に目覚めたばかりでどこぞの旅団の1人を相手取るようなものか。
或いは呼吸を使えるようになったばかりで目に数字の入った鬼に挑むとでも言った方が良いか。
そして実はもう一つ、今の言葉には気になる点があった。
「しかし、そうなると気になりますね。それならどうして初戦の相手が『十六藤』序列最下位の『春藤』ではなく13位の『進藤』なのです?」
そう声を上げたのは那加叢(なかむら)と呼ばれた眼鏡をかけた少年。
確かにそれは棚架(たなか)も気になっていた事であった。
「簡単よ。下位3人…『新藤』『神藤』『春藤』に関してはデータが無さ過ぎる。知名度に関しては他の『藤原一族』に大きく劣るにも関わらず何故か『十六藤』に数えられてる。はっきり言って異質な存在なのよ。どんな能力を持ってるかわからない以上、うかつに手は出せないわ」
教室がシンと静まり返る。
下位にも得体の知れない存在がいる。
その事実は今までの浮かれた気分を現実に引き戻し、打倒藤原一族の難しさを再認識するには十分な内容だった。
「でもさー、それって結局下の連中なワケでしょ?だったらあたし達の目的にはカンケーない相手なワケだし、無視しちゃって良くない?」
静まりかえった空気を打ち破るように陽気な声を発したのは古囃(こばやし)と呼ばれた派手な少女。
軽いノリではあるが、その発言は非常に的を得ていた。
「そうね。その通りよ。私達の目的はあくまで『佐藤』。下位の連中がどんな能力を持っていようが知った事じゃないわ。そしてこれから私達が戦う『進藤』から先の相手は能力も戦力も全てわかりきってる。なら、負ける要素なんてどこにもないわ!」
おおおお、と再び活気を取り戻す教室。
「さて、それじゃあ一丁かましてやりましょう!」
6人の戦士は連れだって教室を出た。
狂乱も一通り収まった所で、朱槻(すずき)はそう宣言した。
「なんでだ!?敵のボスは『佐藤』なんだろ?だったらそいつからまずやるべきじゃねえか!」
そう声を上げたのは鷹端(たかはし)と呼ばれた大柄な男。
確かにシンプルに考えればそうかもしれない。
しかし…
「それはダメよ。今の私達がいきなり『十六藤』トップの『佐藤』に挑んだ所で返り討ちにあうのが目に見えてるわ」
ゲームと同じで初期状態でボスに挑んでも敵うはずがない。
そしてこの世界に数多いる藤原一族…名字の最後に『藤』がつくものの中でも特に有力とされている十六の名字を『十六藤』と呼び、その筆頭とされるのが『佐藤』であった。
「ここに集まった人間の団結力は高い。けれど私達にはいかんせん実践経験が足りないわ。だからまず手頃な藤原一族である『進藤』を倒して勢いをつけようってワケ」
「なんだその突っ込み所満載のセリフは」
今まで黙って話を聞いていた棚架(たなか)が我慢できないとばかりに口を挟んだ。
「団結が固いも何も俺たちは今日が殆ど初対面だし、実践経験が足りないどころか皆無だし何より『手頃な藤原一族』ってなんだよ。そいつら最強格の集団だぞ?」
例えるなら念能力に目覚めたばかりでどこぞの旅団の1人を相手取るようなものか。
或いは呼吸を使えるようになったばかりで目に数字の入った鬼に挑むとでも言った方が良いか。
そして実はもう一つ、今の言葉には気になる点があった。
「しかし、そうなると気になりますね。それならどうして初戦の相手が『十六藤』序列最下位の『春藤』ではなく13位の『進藤』なのです?」
そう声を上げたのは那加叢(なかむら)と呼ばれた眼鏡をかけた少年。
確かにそれは棚架(たなか)も気になっていた事であった。
「簡単よ。下位3人…『新藤』『神藤』『春藤』に関してはデータが無さ過ぎる。知名度に関しては他の『藤原一族』に大きく劣るにも関わらず何故か『十六藤』に数えられてる。はっきり言って異質な存在なのよ。どんな能力を持ってるかわからない以上、うかつに手は出せないわ」
教室がシンと静まり返る。
下位にも得体の知れない存在がいる。
その事実は今までの浮かれた気分を現実に引き戻し、打倒藤原一族の難しさを再認識するには十分な内容だった。
「でもさー、それって結局下の連中なワケでしょ?だったらあたし達の目的にはカンケーない相手なワケだし、無視しちゃって良くない?」
静まりかえった空気を打ち破るように陽気な声を発したのは古囃(こばやし)と呼ばれた派手な少女。
軽いノリではあるが、その発言は非常に的を得ていた。
「そうね。その通りよ。私達の目的はあくまで『佐藤』。下位の連中がどんな能力を持っていようが知った事じゃないわ。そしてこれから私達が戦う『進藤』から先の相手は能力も戦力も全てわかりきってる。なら、負ける要素なんてどこにもないわ!」
おおおお、と再び活気を取り戻す教室。
「さて、それじゃあ一丁かましてやりましょう!」
6人の戦士は連れだって教室を出た。
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