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ミモザ、それは愛の告白
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振り返るとつい先ほど思い浮かべていた店員もといい雨くんが立っていた。
至ってシンプルな黒のシャツに、黒のズボン。けれど飾り気がないのではなく、首に下げているネックレスを際立たせるファッションだった。指輪みたいなデザインのネックレス、そこに埋め込まれた石は太陽光に反射して輝いていた。
どっかの雑誌のモデルが飛び出てきた様な雰囲気を倍増させているのは、ファッションだけでなく。彼が手にしたミモザの花束で、
「本当はもっと早くに会いたかったんだ」
これは邦美に、そう言われて条件反射で受け取ってしまった花束と雨くんを交互に見やる。
いまいち状況が掴めず頭の中はクエスチョンマークが大量発生中だ。
「えっ、…と、コレはいったい、」
「いつも邦美この店に来てくれてただろ」
「あ、……お店、閉店した事今知って…びっくりして、」
「あぁ、本当はゲーム内で話そうって思ってたんだけど。邦美気づいてなさそーだったから」
ぽつり、と呟かれた言葉にさらにハテナが増えて首を傾げた。
(雨くん、今“ゲーム”ってゆった…?ていうか…ちょっと待って、あれ、なんで雨くん)
俺の事“邦美”って呼んだ…?
聞き間違いだろうか、と考えるも確かに彼は俺の事をそう呼んだ。雨くんがその名前を知る筈がないのに、
だって邦美って名前は、
俺がハマっているシューティングゲームで付けた名前だからだ。
本名は三國 弌矢。苗字を少し弄って、出来た架空の名前。
「ほら、やっぱり気付いてなかった」
「雨、くん…何言って、」
「ゲーム名そのままなのに。
“雨宮”とame miyaは同一人物、つまりね俺だよ」
予想外すぎる答え合わせに、開いた口が塞がらない。
「な、…だっ、…ぇ?だって、ネームタグ“あめ みや”ってなってて」
だから苗字が雨で名前が宮、なのかと思っていたのだが、どうやら誤解だったらしく。
「ネームタグ、名前ん所ミス発注したんだよ。んで、変えるのも面倒くさいからそのまま。」
「つまり今日待ち合わせした相手は、雨くん…ってこと?」
「まぁそーなるね」
肩を竦めながら雨くんはやや苦笑い。小さい声で“俺は気付いてたけど”と付けた言葉は
届けたい相手の耳には届いておらず、
「すごい偶然だ」
そう溢した相手を前に、若干雨宮の目が泳ぐ。
邦美…いや、三國は知らない。この男、雨宮がスマホを触ってスマホ決済しようとした時
スマホ画面にアプリがあった事を知った事
三國は知らない、
アプリには“付近の人”という表示が出る事を。
けれどどのアイコンが三國のものかはまったく分からず、似た様な名前やプロフィール欄をしらみ潰しに見て読んだ。
そして目を付けた相手が数名に絞られた時、
たまたまボイスを消し忘れてゲームしていた三國と出会えた。優しい穏やかな声は間違いようがなく、
怪しまれない様にゆっくり距離を縮め、フレンドになった。
三國は知らない、
静かにけれど確実に真綿に包む様に逃げ手を防がれていた事に。
「偶然、そうかもしれない。最初は本当に偶然だった」
あの日三國が始めて店に来た時、間違いなく救われた。出会いは偶然だったかもしれない
それでもいい、
ただ嬉しかったのだ。
祖父に真似て作った洋服は余りにも不格好で、不出来で、
数着だけ作った俺の作品だけが売れ残っていた。
“値段は関係なくて、…まぁ、高いんですけど。でも手が届かないから買った時、大事にしよー!って思いませんか?”
“特にこのズボンは絶対に欲しいですね”
“そうなんですか!?なら俺がぜっっったいに買います!このチェーン最高だもんっ!”
きっと発した言葉に深い意味はなかったのだろう。頭ではそう理解しているのに、
心臓がきゅ、と締め付けられ目元が熱くなった。
「三國俺と結婚してほしい」
ずっと好きだった、
そんなキザなセリフは吐けないが、精一杯の想いを花束に乗せて。
もし願いが叶うなら、
かなり大きめなスーパーの中に移店するJINの店員として、働いてくれないだろうか
まだ見ぬ未来に想いを馳せて。
⚠︎ミモザの花言葉、『感謝』『秘密の恋』そして『真実の愛』
◆◆◆◆◆
ここまで読んでくださりありがとうございました!!!!この後も機会があれば書きたいですね。
コメント欄は閉じさせて頂きますね(コメント欲しいけど貰えなかったら悲しいから)
そしてまだ他の作品を読む気力?がある方
読んでやってもいいよー!って方は過去作等も是非読んでくださると…
有難いでごさいます。
【完】
至ってシンプルな黒のシャツに、黒のズボン。けれど飾り気がないのではなく、首に下げているネックレスを際立たせるファッションだった。指輪みたいなデザインのネックレス、そこに埋め込まれた石は太陽光に反射して輝いていた。
どっかの雑誌のモデルが飛び出てきた様な雰囲気を倍増させているのは、ファッションだけでなく。彼が手にしたミモザの花束で、
「本当はもっと早くに会いたかったんだ」
これは邦美に、そう言われて条件反射で受け取ってしまった花束と雨くんを交互に見やる。
いまいち状況が掴めず頭の中はクエスチョンマークが大量発生中だ。
「えっ、…と、コレはいったい、」
「いつも邦美この店に来てくれてただろ」
「あ、……お店、閉店した事今知って…びっくりして、」
「あぁ、本当はゲーム内で話そうって思ってたんだけど。邦美気づいてなさそーだったから」
ぽつり、と呟かれた言葉にさらにハテナが増えて首を傾げた。
(雨くん、今“ゲーム”ってゆった…?ていうか…ちょっと待って、あれ、なんで雨くん)
俺の事“邦美”って呼んだ…?
聞き間違いだろうか、と考えるも確かに彼は俺の事をそう呼んだ。雨くんがその名前を知る筈がないのに、
だって邦美って名前は、
俺がハマっているシューティングゲームで付けた名前だからだ。
本名は三國 弌矢。苗字を少し弄って、出来た架空の名前。
「ほら、やっぱり気付いてなかった」
「雨、くん…何言って、」
「ゲーム名そのままなのに。
“雨宮”とame miyaは同一人物、つまりね俺だよ」
予想外すぎる答え合わせに、開いた口が塞がらない。
「な、…だっ、…ぇ?だって、ネームタグ“あめ みや”ってなってて」
だから苗字が雨で名前が宮、なのかと思っていたのだが、どうやら誤解だったらしく。
「ネームタグ、名前ん所ミス発注したんだよ。んで、変えるのも面倒くさいからそのまま。」
「つまり今日待ち合わせした相手は、雨くん…ってこと?」
「まぁそーなるね」
肩を竦めながら雨くんはやや苦笑い。小さい声で“俺は気付いてたけど”と付けた言葉は
届けたい相手の耳には届いておらず、
「すごい偶然だ」
そう溢した相手を前に、若干雨宮の目が泳ぐ。
邦美…いや、三國は知らない。この男、雨宮がスマホを触ってスマホ決済しようとした時
スマホ画面にアプリがあった事を知った事
三國は知らない、
アプリには“付近の人”という表示が出る事を。
けれどどのアイコンが三國のものかはまったく分からず、似た様な名前やプロフィール欄をしらみ潰しに見て読んだ。
そして目を付けた相手が数名に絞られた時、
たまたまボイスを消し忘れてゲームしていた三國と出会えた。優しい穏やかな声は間違いようがなく、
怪しまれない様にゆっくり距離を縮め、フレンドになった。
三國は知らない、
静かにけれど確実に真綿に包む様に逃げ手を防がれていた事に。
「偶然、そうかもしれない。最初は本当に偶然だった」
あの日三國が始めて店に来た時、間違いなく救われた。出会いは偶然だったかもしれない
それでもいい、
ただ嬉しかったのだ。
祖父に真似て作った洋服は余りにも不格好で、不出来で、
数着だけ作った俺の作品だけが売れ残っていた。
“値段は関係なくて、…まぁ、高いんですけど。でも手が届かないから買った時、大事にしよー!って思いませんか?”
“特にこのズボンは絶対に欲しいですね”
“そうなんですか!?なら俺がぜっっったいに買います!このチェーン最高だもんっ!”
きっと発した言葉に深い意味はなかったのだろう。頭ではそう理解しているのに、
心臓がきゅ、と締め付けられ目元が熱くなった。
「三國俺と結婚してほしい」
ずっと好きだった、
そんなキザなセリフは吐けないが、精一杯の想いを花束に乗せて。
もし願いが叶うなら、
かなり大きめなスーパーの中に移店するJINの店員として、働いてくれないだろうか
まだ見ぬ未来に想いを馳せて。
⚠︎ミモザの花言葉、『感謝』『秘密の恋』そして『真実の愛』
◆◆◆◆◆
ここまで読んでくださりありがとうございました!!!!この後も機会があれば書きたいですね。
コメント欄は閉じさせて頂きますね(コメント欲しいけど貰えなかったら悲しいから)
そしてまだ他の作品を読む気力?がある方
読んでやってもいいよー!って方は過去作等も是非読んでくださると…
有難いでごさいます。
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