2 / 96
自分達のしたこと分かってます?
しおりを挟む
「はあ、そーですか」
「わたし達、ずーっと前から愛し合っていたの!それなのにお姉さま……いえ、ローズの気がきかないせいで全然話が進まないんだもの!」
「あらー、それはそれは」
「リリア……」
「子爵様……」
適当に相づち打ってたら二人の世界劇場が始まってしまった。妹は手を胸の前で組んでうるうるした目で子爵様を見つめてるし、子爵様はその妹へ熱い眼差しを送ってる。
で、話が進むって何だ。浮気?不倫?そんなに大声で自分が有責ですって言わなくていいと思う。
私の婚約期間と妹との恋人期間、ちょっと被ってるんじゃない??これじゃあなた、姉から妹に乗り換えた事が周りにもバレバレじゃないの。
『わたしたちは家の決めたことを破って男女の仲になり不義理しました』って自己紹介してることになるけどいいの??
「ついてはお前の作った魔石をすべて置いていけ。この僕を散々待たせてバカにしていた報いだ、慰謝料というには程遠いし無いよりマシ程度だが、僕たちが有効活用してやるからありがたく思ってさっさと出すんだな」
慰謝料って何?約束を破って儀式を中断に押し掛けて来たのってそっちでしょ。
さっきはあまりのショックに呆然としちゃったけど、だんだんムカムカしてきちゃった。
大体、この塔の間にあった魔石は全部もう……
「さあ、早く!!」
「……ありませんよ、そんなもの」
「なんだと!?下らん嘘をつくな!つい3日前に大量の魔石を抱え込み、この塔にこもったのはうちの側近が確認してるんだ!」
ドンっ
「いたっ……」
そういうと、わたしの肩をドンッと押して中へ入っていく子爵。
壇の上に並べられた大量の魔石を見て、勝ち誇ったように鼻息を荒くしてる。
「ほら見ろ、ここにずらっと並んでいる魔石は何だ!?まさか、独り占めする気だな!?」
「そうよそうよ!意地汚いったらありゃしない!まるで物乞いね!」
子爵に押された肩を手で押さえる。横から口を出す妹をジロッと見て、疲れきった息を吐く。
「その物乞いから魔石を強奪しようとしてるあなたたちはなんですか?乞食以下の自覚ってあります?」
「なっ……なんてこと言うのぉ!?」
私はこれまで反抗的なことを言ったことがなかったのでびっくりしたんだろーな。舐めきってた姉に口答えされて、妹のリリアは口をパクパクさせてる。
「僕の愛する人を侮辱したな!?もう許してくれと言っても許してやるものか……慰謝料だ!早く魔石を出せ!」
「そうよ!全部置いてさっさと出てけばいいのよ!!」
そのことでますます興奮する子爵。横で妹もギャーギャーわめいてる。
何の疑問も抱かず、並んだ魔石を手に入れられると信じきってる姿に、はーーーっと大きくため息をついた。この人たち、こんなに頭が回らない人たちだったのか。
一度丁寧に現実を見せてあげることにする。
「でーすーかーらー。その魔石はたった今お二人が台無しになさったではありませんか」
「「……え?」」
「わたし達、ずーっと前から愛し合っていたの!それなのにお姉さま……いえ、ローズの気がきかないせいで全然話が進まないんだもの!」
「あらー、それはそれは」
「リリア……」
「子爵様……」
適当に相づち打ってたら二人の世界劇場が始まってしまった。妹は手を胸の前で組んでうるうるした目で子爵様を見つめてるし、子爵様はその妹へ熱い眼差しを送ってる。
で、話が進むって何だ。浮気?不倫?そんなに大声で自分が有責ですって言わなくていいと思う。
私の婚約期間と妹との恋人期間、ちょっと被ってるんじゃない??これじゃあなた、姉から妹に乗り換えた事が周りにもバレバレじゃないの。
『わたしたちは家の決めたことを破って男女の仲になり不義理しました』って自己紹介してることになるけどいいの??
「ついてはお前の作った魔石をすべて置いていけ。この僕を散々待たせてバカにしていた報いだ、慰謝料というには程遠いし無いよりマシ程度だが、僕たちが有効活用してやるからありがたく思ってさっさと出すんだな」
慰謝料って何?約束を破って儀式を中断に押し掛けて来たのってそっちでしょ。
さっきはあまりのショックに呆然としちゃったけど、だんだんムカムカしてきちゃった。
大体、この塔の間にあった魔石は全部もう……
「さあ、早く!!」
「……ありませんよ、そんなもの」
「なんだと!?下らん嘘をつくな!つい3日前に大量の魔石を抱え込み、この塔にこもったのはうちの側近が確認してるんだ!」
ドンっ
「いたっ……」
そういうと、わたしの肩をドンッと押して中へ入っていく子爵。
壇の上に並べられた大量の魔石を見て、勝ち誇ったように鼻息を荒くしてる。
「ほら見ろ、ここにずらっと並んでいる魔石は何だ!?まさか、独り占めする気だな!?」
「そうよそうよ!意地汚いったらありゃしない!まるで物乞いね!」
子爵に押された肩を手で押さえる。横から口を出す妹をジロッと見て、疲れきった息を吐く。
「その物乞いから魔石を強奪しようとしてるあなたたちはなんですか?乞食以下の自覚ってあります?」
「なっ……なんてこと言うのぉ!?」
私はこれまで反抗的なことを言ったことがなかったのでびっくりしたんだろーな。舐めきってた姉に口答えされて、妹のリリアは口をパクパクさせてる。
「僕の愛する人を侮辱したな!?もう許してくれと言っても許してやるものか……慰謝料だ!早く魔石を出せ!」
「そうよ!全部置いてさっさと出てけばいいのよ!!」
そのことでますます興奮する子爵。横で妹もギャーギャーわめいてる。
何の疑問も抱かず、並んだ魔石を手に入れられると信じきってる姿に、はーーーっと大きくため息をついた。この人たち、こんなに頭が回らない人たちだったのか。
一度丁寧に現実を見せてあげることにする。
「でーすーかーらー。その魔石はたった今お二人が台無しになさったではありませんか」
「「……え?」」
34
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる