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小さい頃の記憶
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わたしがこの地一帯の領主……セスティア家の長女としてこの世界に生まれたのは18年前のこと。
小さい頃はそれなりに可愛がられてた……のかもしれない?人並みにね。さすがにちょっとその記憶がない。
でも、わたしの生まれた2年後に妹が生まれてからの、そういう記憶は一切ない。
妹が生まれてから両親は、私のことをさっさと乳母に預けちゃって、妹のことばかり可愛がった。妹は平凡な容姿のわたしと違って、生まれた時から天使のような抜群のルックスと……ちょっとだけど、魔力を持ってたから。
「アナタ、この計測器を見て!?この子はきっと天才よ!」
「うむ、うむ!我が領地は安泰だな!」
妹が生まれて10日後、計測した魔力を見た両親は飛び上がって喜んだらしい。
その魔力量は通常の子供が持っているぐらいの量だった。はっきり言って多いものじゃない。凄いと呼ばれてたのは生まれたての赤ちゃんという、その年齢だったから。
うちの子がもう言葉を覚えたぞ!みたいなものです。それが結構早かったから、天才だ!ってわきたった。大事に大事に、一個の苦労もさせないように育てようー!てなったんだって。
蝶よ花よと褒めまくり、最高級の食事、ドレス。可愛い声でにこーっと笑って「欲しい~!」と言われれば、宝石だって買い与えて。
……その分の皺寄せは全部、小さい時のわたしに来てた。
使用人を雇う給金がもったいない、と最低限の人数を残して大半を解雇。当然日々の生活は不便なことになるに決まってる。
だからこの館でわたしだけは「自分のことは自分でしなさい」と言われ続けて来た。
もし家事を全部押しつけられていたら…?それはそれで大変だけど、家族の家事を自分ですることで、家族との繋がりが少しでも出来たと思って、慰められる気持ちが出来てた……かもしれない。
悪い状況の中で別の悪い状況を探す、みたいな発想だけど、家族との繋がりに飢えてたんだと思う。
でも、その繋がりもなかった。言いつけ通り自分のことを自分一人だけで終えた後は、ずーっと放っておかれるだけだったから。ないがしろにされるとか、いじめられるとかは無かったけど……その代わり、こっちを見てもらえることも無かった。
もっと可愛かったら、もっと魔力があったら可愛がってもらえたのかな?
そう考えた子供の頃のわたし。可愛さのほうは生まれてきた顔が平凡だったから難しいとして……
魔力を少しでも鍛えようと思った。
両親はわたしが近くに行ったりすると嫌な顔をしたけど、本を読むのは何も言われなかった。っていうかわたしに興味なかったんだよね。
幸いうちには本がたくさんある部屋があった。それはもう亡くなったらしい、親族のものだと古参の使用人が教えてくれた事がある。
夜も寝ないで勉強して勉強して……こっそり部屋の中で、月明かりを浴びながら修行して……
そんなことを繰り返してたら……何才ぐらいの時だったかな?
ある日、棚の後ろの方で見つけた、表紙に不思議な模様のある古い本を読んでいたら、急に頭の中で声がした。
『素質を持ち苦難にも負けず、幼きときより鍛練を惜しまぬ国の宝。そなたに力を授けましょう』
「えっ……?今の声……」
きょろきょろ周りを見渡しても、みすぼらしい自分の部屋が見えるだけ。
わたしはその時魔石を浄化する練習をしていた。
その頃はまだうちの領地でも、魔力を持ってる領民を浄化のために雇っていた。その人たちにお願いして、ちーっちゃなカケラを分けてもらったんだ。
今の声は何だったんだろう……?
そう思いながら、中断していた浄化を再開する。
両手を前に出して、力を込めた。
すると、私の両手がキラッ……と光って……
「え……っ!?」
ピカ~~~……!
溢れた光は部屋中に広がった。眩しくて眼を開けていられなくて、ギュッと目を閉じて後ろにしりもちをついてしまう。
ぽすんっ!
「あいててて……」
「なんだ!?今の光はどうした!!」
「何事なの!?」
光がようやく収まった頃、ドタドタと両親がやってくる。テーブルの上の魔石を見て、相当おどろいたみたいだった。
「これは……魔石……?」
「しかも、浄化が済んでいるわ」
「お前、これは一体……」
「お父様、お母様……これ、わたしがね……!」
パッと立ち上がって、わたしはにこにこして二人へ駆け寄った。
褒めてもらえるー!って思ってたからね。でも、投げられたのは冷たい言葉だった。
小さい頃はそれなりに可愛がられてた……のかもしれない?人並みにね。さすがにちょっとその記憶がない。
でも、わたしの生まれた2年後に妹が生まれてからの、そういう記憶は一切ない。
妹が生まれてから両親は、私のことをさっさと乳母に預けちゃって、妹のことばかり可愛がった。妹は平凡な容姿のわたしと違って、生まれた時から天使のような抜群のルックスと……ちょっとだけど、魔力を持ってたから。
「アナタ、この計測器を見て!?この子はきっと天才よ!」
「うむ、うむ!我が領地は安泰だな!」
妹が生まれて10日後、計測した魔力を見た両親は飛び上がって喜んだらしい。
その魔力量は通常の子供が持っているぐらいの量だった。はっきり言って多いものじゃない。凄いと呼ばれてたのは生まれたての赤ちゃんという、その年齢だったから。
うちの子がもう言葉を覚えたぞ!みたいなものです。それが結構早かったから、天才だ!ってわきたった。大事に大事に、一個の苦労もさせないように育てようー!てなったんだって。
蝶よ花よと褒めまくり、最高級の食事、ドレス。可愛い声でにこーっと笑って「欲しい~!」と言われれば、宝石だって買い与えて。
……その分の皺寄せは全部、小さい時のわたしに来てた。
使用人を雇う給金がもったいない、と最低限の人数を残して大半を解雇。当然日々の生活は不便なことになるに決まってる。
だからこの館でわたしだけは「自分のことは自分でしなさい」と言われ続けて来た。
もし家事を全部押しつけられていたら…?それはそれで大変だけど、家族の家事を自分ですることで、家族との繋がりが少しでも出来たと思って、慰められる気持ちが出来てた……かもしれない。
悪い状況の中で別の悪い状況を探す、みたいな発想だけど、家族との繋がりに飢えてたんだと思う。
でも、その繋がりもなかった。言いつけ通り自分のことを自分一人だけで終えた後は、ずーっと放っておかれるだけだったから。ないがしろにされるとか、いじめられるとかは無かったけど……その代わり、こっちを見てもらえることも無かった。
もっと可愛かったら、もっと魔力があったら可愛がってもらえたのかな?
そう考えた子供の頃のわたし。可愛さのほうは生まれてきた顔が平凡だったから難しいとして……
魔力を少しでも鍛えようと思った。
両親はわたしが近くに行ったりすると嫌な顔をしたけど、本を読むのは何も言われなかった。っていうかわたしに興味なかったんだよね。
幸いうちには本がたくさんある部屋があった。それはもう亡くなったらしい、親族のものだと古参の使用人が教えてくれた事がある。
夜も寝ないで勉強して勉強して……こっそり部屋の中で、月明かりを浴びながら修行して……
そんなことを繰り返してたら……何才ぐらいの時だったかな?
ある日、棚の後ろの方で見つけた、表紙に不思議な模様のある古い本を読んでいたら、急に頭の中で声がした。
『素質を持ち苦難にも負けず、幼きときより鍛練を惜しまぬ国の宝。そなたに力を授けましょう』
「えっ……?今の声……」
きょろきょろ周りを見渡しても、みすぼらしい自分の部屋が見えるだけ。
わたしはその時魔石を浄化する練習をしていた。
その頃はまだうちの領地でも、魔力を持ってる領民を浄化のために雇っていた。その人たちにお願いして、ちーっちゃなカケラを分けてもらったんだ。
今の声は何だったんだろう……?
そう思いながら、中断していた浄化を再開する。
両手を前に出して、力を込めた。
すると、私の両手がキラッ……と光って……
「え……っ!?」
ピカ~~~……!
溢れた光は部屋中に広がった。眩しくて眼を開けていられなくて、ギュッと目を閉じて後ろにしりもちをついてしまう。
ぽすんっ!
「あいててて……」
「なんだ!?今の光はどうした!!」
「何事なの!?」
光がようやく収まった頃、ドタドタと両親がやってくる。テーブルの上の魔石を見て、相当おどろいたみたいだった。
「これは……魔石……?」
「しかも、浄化が済んでいるわ」
「お前、これは一体……」
「お父様、お母様……これ、わたしがね……!」
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褒めてもらえるー!って思ってたからね。でも、投げられたのは冷たい言葉だった。
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