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期待しちゃダメ
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わたしが初めて魔石の浄化に成功した次の日、半信半疑の両親はわたしを教会にいる神官様のところへ連れてった。
いつもは国の中央にある大教会にいる神官様が、ちょうど隣の領地の教会へ巡礼に来ているという噂を聞いたからだ。
外に行くからっていうことで、一枚だけ持ってた余所行きの服を着せられて。
妹もお母様に抱っこされて一緒に来ていて、とても上等な服を着ていた。
「とーさま、かーさまぁ。どこへいくの?」
「隣の領地までだよ、かわいいリリア」
「そこの教会にね、神官様が来ていらっしゃるんですって。まー、何かの間違いだとは思うけど……一応、そこのを鑑定してもらおうと思ったの」
「ふぅん?リリアよくわかんなぁい。甘いの食べたぁい!」
「はははっ、そうだろうそうだろう。着いたらすぐに用意してやるからな!」
「……」
舌ったらずに妹がしゃべる。お母様が優しく妹の頭をなでる。
わたしは名前も呼ばれなかった。
一応、同じ馬車に乗せられて……隅っこで体を小さくしてた。
教会へ着いた。挨拶もそこそこに、両親はリリアをつれて近くのお店に行くみたいだ。
わたしは、細い縁の丸眼鏡をかけた神官様と一緒に鑑定の間に入った。
神官様はこの国に生まれた子供達の魔力量鑑定や、その魔力が何に向いているかなんかを鑑定して教えてくれる。
私も一年前にお世話になっていたけど……
鑑定の間には、きらきらとした大きな球体の水晶が置かれていた。この部屋には神官様と、鑑定される本人しか入れず、付き添いや両親はその間応接室で待ってる。
一年前にも見た光景だ。
「一年前にやったことがあるならやり方は分かりますね?その水晶を前にして手をかざし……力を込めて魔力を注いでください。出来るだけたくさんね」
「はい、お忙しいのにありがとうございます……」
「気にしないでください。さぁ、緊張せずに……」
神官様は優しく笑ってそう言ってくれたけど、まだ自分の体に何が起こってるかわからないし……ちょっと緊張しちゃう。
水晶に向かってそっと手を出す。こうかな……?って、少しだけ力を込めると、パアッと掌から光があふれた。
あぁ、この感覚でいいんだ……じゃ、ここから出来るだけたくさん力を込めなきゃ……
「んっ……!」
「はい、ありがとう」
えっ??
しかし、さー今から力を込めるぞ!というとこで、水晶を見た神官様は私にお礼を言って中断し、ひょいっと水晶を持ち上げてしまった。
まだ全然力、込めてない!
「あっ、あのぅ……!」
「結果はすぐに出ますから、ご両親と一緒に待っていてくださいね」
慌てて声をあげたけど、そうやって神官様に優しく言われて、何も言えなくなってしまった。
どうしよう、一年前はもっと時間をかけて鑑定した気がしたのに……
それに、両親は外へ、リリアと甘いものを食べるために出かけちゃってる。
多忙な方の時間をもらって鑑定させてもらってるわけだし……ここでもし引き留めて、全然いい結果じゃなかったらどうするの?神官様の時間をムダにするだけじゃない?
そう思うと……やっぱり引き留めることは出来なかった。部屋を出るために前を歩く神官様の背中を見るだけ。
でも、本当に、全然力を込めた気がしなかった……もし一年前より数値が低くなってしまってたらどうしよう?
また両親を失望させるのかな。でも、期待されていなかったから一緒かもしれない。
わたしが体を固くしているのが分かったのかもしれない。
神官様は、優しく微笑む。
「大丈夫ですよ。これはきっと……素晴らしい数値が出ます」
そう言って、専用の分析室に入っていった。
ペコッ
「ぅ……よろしくお願いします……!」
分析室の隣にあるのは、記録部屋。
その部屋には今まで鑑定してきた子供や、大人の記録が残ってる。妹のリリアは一つ年下だから、正式な鑑定は来年になったら受けることになるだろう。
来年、妹が鑑定を受けたら……その魔力量が大きかったら。
きっと両親は今まで以上に、もっと妹に構うんだろうな……
何となく、いやな想像ばかりしてしまう。
いつもは着古した布ばかり着てたから、今日はとても久しぶりに清潔な服を着てる。応接室に行くために歩きながら、その服の胸のところを、きゅぅ…って握った。
いつもは国の中央にある大教会にいる神官様が、ちょうど隣の領地の教会へ巡礼に来ているという噂を聞いたからだ。
外に行くからっていうことで、一枚だけ持ってた余所行きの服を着せられて。
妹もお母様に抱っこされて一緒に来ていて、とても上等な服を着ていた。
「とーさま、かーさまぁ。どこへいくの?」
「隣の領地までだよ、かわいいリリア」
「そこの教会にね、神官様が来ていらっしゃるんですって。まー、何かの間違いだとは思うけど……一応、そこのを鑑定してもらおうと思ったの」
「ふぅん?リリアよくわかんなぁい。甘いの食べたぁい!」
「はははっ、そうだろうそうだろう。着いたらすぐに用意してやるからな!」
「……」
舌ったらずに妹がしゃべる。お母様が優しく妹の頭をなでる。
わたしは名前も呼ばれなかった。
一応、同じ馬車に乗せられて……隅っこで体を小さくしてた。
教会へ着いた。挨拶もそこそこに、両親はリリアをつれて近くのお店に行くみたいだ。
わたしは、細い縁の丸眼鏡をかけた神官様と一緒に鑑定の間に入った。
神官様はこの国に生まれた子供達の魔力量鑑定や、その魔力が何に向いているかなんかを鑑定して教えてくれる。
私も一年前にお世話になっていたけど……
鑑定の間には、きらきらとした大きな球体の水晶が置かれていた。この部屋には神官様と、鑑定される本人しか入れず、付き添いや両親はその間応接室で待ってる。
一年前にも見た光景だ。
「一年前にやったことがあるならやり方は分かりますね?その水晶を前にして手をかざし……力を込めて魔力を注いでください。出来るだけたくさんね」
「はい、お忙しいのにありがとうございます……」
「気にしないでください。さぁ、緊張せずに……」
神官様は優しく笑ってそう言ってくれたけど、まだ自分の体に何が起こってるかわからないし……ちょっと緊張しちゃう。
水晶に向かってそっと手を出す。こうかな……?って、少しだけ力を込めると、パアッと掌から光があふれた。
あぁ、この感覚でいいんだ……じゃ、ここから出来るだけたくさん力を込めなきゃ……
「んっ……!」
「はい、ありがとう」
えっ??
しかし、さー今から力を込めるぞ!というとこで、水晶を見た神官様は私にお礼を言って中断し、ひょいっと水晶を持ち上げてしまった。
まだ全然力、込めてない!
「あっ、あのぅ……!」
「結果はすぐに出ますから、ご両親と一緒に待っていてくださいね」
慌てて声をあげたけど、そうやって神官様に優しく言われて、何も言えなくなってしまった。
どうしよう、一年前はもっと時間をかけて鑑定した気がしたのに……
それに、両親は外へ、リリアと甘いものを食べるために出かけちゃってる。
多忙な方の時間をもらって鑑定させてもらってるわけだし……ここでもし引き留めて、全然いい結果じゃなかったらどうするの?神官様の時間をムダにするだけじゃない?
そう思うと……やっぱり引き留めることは出来なかった。部屋を出るために前を歩く神官様の背中を見るだけ。
でも、本当に、全然力を込めた気がしなかった……もし一年前より数値が低くなってしまってたらどうしよう?
また両親を失望させるのかな。でも、期待されていなかったから一緒かもしれない。
わたしが体を固くしているのが分かったのかもしれない。
神官様は、優しく微笑む。
「大丈夫ですよ。これはきっと……素晴らしい数値が出ます」
そう言って、専用の分析室に入っていった。
ペコッ
「ぅ……よろしくお願いします……!」
分析室の隣にあるのは、記録部屋。
その部屋には今まで鑑定してきた子供や、大人の記録が残ってる。妹のリリアは一つ年下だから、正式な鑑定は来年になったら受けることになるだろう。
来年、妹が鑑定を受けたら……その魔力量が大きかったら。
きっと両親は今まで以上に、もっと妹に構うんだろうな……
何となく、いやな想像ばかりしてしまう。
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