婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド

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おいしいスープ

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<途中で視点がお店の中の厨房にかわります>






おすすめ通りにスタミナスープを頼んでみる。

「ちょっと待ってな、すぐ持ってくるからね」

おかみさんはそういうと、厨房の方へ行って、ほんとにすぐ戻ってきた。
お盆にあつあつのスープとパンが乗ってる。

きゅ~……
「あっ……!」

思わずおなかが鳴ってしまい、おかみさんに笑われちゃった。

「あはははっ、さあ召し上がれ。熱いから気をつけんだよ」

おかみさんは、とん、とんとテーブルへそれらを置いてから、そういって席を離れていった。



「おいしそ……」

手を組んで目をつむり、食事への感謝を神様に捧げる。
そして、スープをスプーンですくって……わぁ、湯気がすごい。ほんとにアツアツだぁ……
火傷しないように……っと。

「ふぅ、ふぅ……」
ぱくっ

…………!
おいしい!

ふぅふぅ吹き冷ましてから口に含む。でもやっぱり熱くて、喉のどこをスープが通っていくのかがはっきりわかる。
そのまま、お腹に落ちていった。ふわっと体の中から暖かくなる。

おいしい……温かくて、野菜と肉が柔らかくなるまで煮込んであって、塩味も優しい。きっと、わたしがガリガリだから体に優しいものを……って選んでくれたんだろーな。
初めて食べるはずなのに、何だか懐かしい気もする……

体にしみるよぅ……

わたしは、夢中になって食べた。



□□□




「おいおい、あのテーブルの端っこのあの子……食べながら泣いてないかい?あんなに下向いてよぉ」

「旅人だって言ってたよ、今日はうちに泊まってくそうだ。あんな若いのに大変だねぇ……ここいらは領主様のおかげでとっても平和だから、ゆっくり体を休めてほしいよ」

「ああ、そーだな。領主様様だ……しかしあの子、どっかで見た気がするんだよなぁ……」

「あんた!店の客に手ぇ出したりすんじゃないよ!」

ぼかっ
「いてぇっ!ばかっ、そんなんじゃねぇや!大体俺はお前みたいにがっしりふくよかな体の方がだなぁ!」

「おおお大声でばかなこと言ってんじゃないよーーー!!!」




□□□




はぁ~~~おいしい………
正体がバレないようにあんまり顔を上げて食べられないから、食べてる姿もちょっと不審かもしれないけど、こればっかりは許されたい。

それにしても元気なお店だなぁ……?
さっきから厨房の方で何か言い合ってる声が聞こえる気がする。
ケンカって言うより、もっと明るい声がしてるような。


そんなこと考えながらも、意識はほとんどご飯に行ってる。
アツアツのスープをふーふー冷ましながら何度も口に運んで……
教えてもらったとおり、パンをスープに浸して食べたりするともう最高。すぐにぺろっと食べ終えちゃった。

「ふー……ごちそうさまでしたぁ」

ごはん、とってもおいしかった!
今日はゆっくり休もうっと。
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