婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド

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もう朝!?

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チチ……ちゅん……

鳥の声がする。
ああ、起きなきゃ……またモンスターを退治しに行って……や、儀式…最中だっけ……?
そんなのもっと起きなきゃ……またすごく怒られちゃう……
でも、なんだか気持ちいい……ベッドが……

………………ベッド?

ガバッ
「!?!?」

勢いよく起床して、何もかもにびっくりした。
がばって起きたから被ったままのフードが取れて、周りが一気に明るくなる。

「ふあっ!?!」

何ここ、どこ!?!儀式は、塔は、モンスターは!?
思わずぎゅっとポケットを掴むと、ちくっとした感触がある。
磨いた魔石だ。まだ浄化してないそれに触れて、ようやく記憶が戻ってきた。

そう、わたし……家を追放されて……
それで、とりあえずご飯と宿をって、ここに泊まって……

そうだ、泊まったお部屋だ……!

よろ、と起きて窓にかかってるカーテンを開けに行く。
いつの間にか朝になっていて、まぶしい朝日の光に思わず目を細めた。

朝日…………何年ぶり…………?

妙な感動に浸ってしまう。
いつの間にか朝になっちゃったんだなぁ……
こんなにゆっくり眠ったのっていつぶりだろう。
ものごころついてからはずっと一人で修行してたし、魔力が増えた後はずっと魔石作ってたし……

うっ、でもまぶしい……一回カーテンは閉めておこう。



まだ眠っててもいいかな、なんて、そんな考えが一瞬よぎる。
ベッドにぽすっと座る。
そのまま吸い込まれるように寝転んじゃって、ちょっとだけごろ……って寝返りを打った。


でも、もう朝だもんね……この宿も早く出なきゃ……

……ん?朝?

ガバァッ
「朝……!?!」

慌てて起き上がって、ポケットに入れっぱなしだった魔石を取り出す。

「あぁ~~~……!!」

あたりまえだけど、浄化されて、ない!

さっき、窓の外からはさんさんと輝く朝日が入ってきてた、月光なんてどこにも見当たらない。
暴発しないように魔力で覆ってコーティングしてあるとはいえ、浄化してないからこのままでは使えない。
予定では、これでどうにかお代の代わりにしてもらうはずだったのに……!!

「ど、どっ……どうしよ……」

現在、何も間違いなく言葉通りに一文無し。

「…………お皿洗い、させてもらえるかな………!」

悩んでる場合じゃない。グッとこぶしを握って魔石をポケットの中に戻し、働かせてもらうことを決意した。
何の自慢にもならないけど、育てられた環境のせいで自分のことは自分一人でこなしていたから、掃除や洗濯は出来るんだ……!
って言ってもほとんど生活魔法だけど!

……それでダメならもう一晩待ってもらって、今日こそ月の光を浴びよう……

遠い目をしながら、握ったこぶしをゆるめた。

「よし、そうと決まれば……」

とりあえず、この部屋を掃除させてもらおう!
思いっきりきれいに磨き上げて……せめてのお礼とお詫びに……!




両手をバッ、と掲げて、ありったけの力で魔法をかけた。

「この部屋を、きれいに……!」



ぽう……

ピカァ~~~~~………!!





「へぁっ!?」

手が光って、その光が部屋へあふれる。
ちょっと待って、これって初めて魔石を浄化した時の……!?

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