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宛はあれど
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おかみさんと店主さんが用立ててくれたお金を使って、中央の大教会へ行くことにした。
たぶん長距離の移動になるから……乗合馬車がいいのかな。
そう思って、乗合馬車の乗り場へ向かう事にする。
馬車の乗り場は町の外れにもあるはず。地図でしか見たことないけど、確かこっちの方……
きょろ、と辺りを見回すと、道の分岐に看板を見つける。
「馬車 停留所」の文字を見つけて、わたしはその看板が示す道へと歩き始めた。
……迷った。
フードのせいで視界が狭い上に方向感覚もよく分からない。
それに天気がとっても良くて、日の光を長時間浴びてるとやっぱり……何となく、体力を奪われてるような……
魔力はみなぎってるんだけどな……
うぅ……早々と宿を出てきたのに、こんな……迷子になってるなんて……
町看板の案内によると、この辺りだと思うんだけど……
確信のないまま、ちょっとした広場に出た。
「ちょ、ちょっと休憩……」
木陰を見つけてよろよろと立ち寄る。
ふか、と草むらへ腰を下ろす。両手を合わせてお椀の形に丸くしてから、魔法で水を作り出して注ぎ入れた。
ちゃぽんっ
「んん……ぷはぁ」
こく、こく、と喉を鳴らして水を飲む。
一息ついて、木の幹へ寄りかかっていると……急にある事に気づいた。
「!!」
お肉があると……座った時に痛くない……!
今までは、骨でごつごつしてしまってて、儀式の為に座っている時も魔力で空気のクッションを作っていないとじっとしていられない程だった。
ほとんど無意識レベルで使ってた魔法だったけど……
それが、きちんと成長した体になった今はそんな事がない。
自分の体だけで座ってるみたいだ。
脂肪っていうのは、生きるために必要なように付くようになってるんだな……なんて、人体の不思議について考えたりなんかしちゃった。
「わー……」
気を抜くと自分の体の肉付きを実感するためにあちこち触りたくなっちゃう。
街中でそんなこと出来るはずもないから、わたしはすらっとした手だけを眺めた。少しは年頃の女性みたいになったかな……?
くぅ……
「あ。」
たくさん歩いて、そんなこと考えてたらおなかがすいてしまった。
一枚だけ、いいよね……そんな気持ちでクッキーを手に取る。
神からのお恵みと、それから、店主さんとおかみさんに感謝して。
ぱくん。
「……おいしい……」
ちょっと厚くてしっとりした小麦の焼き菓子に、ナッツとドライフルーツが入ってる。
生地は自然な甘み。その代わりに少しだけ入ってるフルーツがとっても甘くて、ナッツの歯ごたえもこりこりしてて楽しい。
やっぱり、ご飯食べると元気が出るなぁ……
ゴトン……
あっ!
車輪の音がした。広場の反対側の方へ、馬車が入ってくるのが見える。
あそこが停留所だったのね……!
立ち上がって裾を払うと、ぱらぱらとクッキーのかけらが落ちていった。
おっと、と思ったけど、すぐに鳥たちが集まって啄んでくれた。
お掃除を小鳥たちへとお願いして、馬車の方へパッと駆け出す。
「ん……?」
ふとした違和感に一度振り返ると、ちょうど今までわたしが座り込んでたところに一人、男の人がやってきたのが見える。
鳥の集まりに向かって、熱心に何か話しかけてるみたい?
頭の後ろで結んだ髪が、短い尻尾のようにぴょこんと出てるのが見える。
遠目には、そう。まるで鳥を説得しているような……
わたしは首を傾げてから、前を向いてもう一度走り出し、馬車の方へと急いだ。
たぶん長距離の移動になるから……乗合馬車がいいのかな。
そう思って、乗合馬車の乗り場へ向かう事にする。
馬車の乗り場は町の外れにもあるはず。地図でしか見たことないけど、確かこっちの方……
きょろ、と辺りを見回すと、道の分岐に看板を見つける。
「馬車 停留所」の文字を見つけて、わたしはその看板が示す道へと歩き始めた。
……迷った。
フードのせいで視界が狭い上に方向感覚もよく分からない。
それに天気がとっても良くて、日の光を長時間浴びてるとやっぱり……何となく、体力を奪われてるような……
魔力はみなぎってるんだけどな……
うぅ……早々と宿を出てきたのに、こんな……迷子になってるなんて……
町看板の案内によると、この辺りだと思うんだけど……
確信のないまま、ちょっとした広場に出た。
「ちょ、ちょっと休憩……」
木陰を見つけてよろよろと立ち寄る。
ふか、と草むらへ腰を下ろす。両手を合わせてお椀の形に丸くしてから、魔法で水を作り出して注ぎ入れた。
ちゃぽんっ
「んん……ぷはぁ」
こく、こく、と喉を鳴らして水を飲む。
一息ついて、木の幹へ寄りかかっていると……急にある事に気づいた。
「!!」
お肉があると……座った時に痛くない……!
今までは、骨でごつごつしてしまってて、儀式の為に座っている時も魔力で空気のクッションを作っていないとじっとしていられない程だった。
ほとんど無意識レベルで使ってた魔法だったけど……
それが、きちんと成長した体になった今はそんな事がない。
自分の体だけで座ってるみたいだ。
脂肪っていうのは、生きるために必要なように付くようになってるんだな……なんて、人体の不思議について考えたりなんかしちゃった。
「わー……」
気を抜くと自分の体の肉付きを実感するためにあちこち触りたくなっちゃう。
街中でそんなこと出来るはずもないから、わたしはすらっとした手だけを眺めた。少しは年頃の女性みたいになったかな……?
くぅ……
「あ。」
たくさん歩いて、そんなこと考えてたらおなかがすいてしまった。
一枚だけ、いいよね……そんな気持ちでクッキーを手に取る。
神からのお恵みと、それから、店主さんとおかみさんに感謝して。
ぱくん。
「……おいしい……」
ちょっと厚くてしっとりした小麦の焼き菓子に、ナッツとドライフルーツが入ってる。
生地は自然な甘み。その代わりに少しだけ入ってるフルーツがとっても甘くて、ナッツの歯ごたえもこりこりしてて楽しい。
やっぱり、ご飯食べると元気が出るなぁ……
ゴトン……
あっ!
車輪の音がした。広場の反対側の方へ、馬車が入ってくるのが見える。
あそこが停留所だったのね……!
立ち上がって裾を払うと、ぱらぱらとクッキーのかけらが落ちていった。
おっと、と思ったけど、すぐに鳥たちが集まって啄んでくれた。
お掃除を小鳥たちへとお願いして、馬車の方へパッと駆け出す。
「ん……?」
ふとした違和感に一度振り返ると、ちょうど今までわたしが座り込んでたところに一人、男の人がやってきたのが見える。
鳥の集まりに向かって、熱心に何か話しかけてるみたい?
頭の後ろで結んだ髪が、短い尻尾のようにぴょこんと出てるのが見える。
遠目には、そう。まるで鳥を説得しているような……
わたしは首を傾げてから、前を向いてもう一度走り出し、馬車の方へと急いだ。
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