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暴走する力
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「あのっ……この馬車、中央まで行きますか……!?」
馬車に近づいて、御者の人に声をかける。
「中央行きならこの馬車が一番!もーちょっとしたら出発しますんで、中入っててください」
「あ、ありがとうございますっ」
よかった……!
御者の人へお礼を行って乗り込もうと、ステップのある方へ回る。
と、今まさに乗り込もうとしているお客さんが先にいた。
杖をついてるおばあさん……ちょっと、足元がおぼつかない。
段差にこつ、こつと杖をあててから上ろうとしているが、ちょっとよろめいていて……
「あっ……大丈夫ですか?」
思わず、後ろからおばあさんの背中を支えるように手をあててしまった。
「あら、ごめんねぇ。目が悪くって……」
「いえいえー、一緒に乗っちゃいましょう。あ、足元気を付けてくださいね」
先導するように隣へ立って、手を支える。そのまま一緒に馬車へと乗り込んだ。
4~6人乗りだろう馬車には、他のお客さんは入ってなくて、わたしとおばあさんだけみたい。
しばらくすると御者の人が一度馬車を覗きに来た。
人数を確かめて「出発しまーす!」と御者台のほうへ戻っていく。
おばあさんはわたしに対してお礼を言った後、中央にいる息子さんに会いに行くんだと話をしてくれた。
息子さんは中央で職人の弟子をしていたんだけど、この度めでたく独立することが決まったんだそうだ。
中央までの交通費も送ってくれたんだって。
本当は、馬車に乗るまでを付き添いに来てくれるはずの人がいたんだけど、直前で急用が入ってしまったんだそう……
それで、一人で乗ろうとしてたんだ。
「ここから中央までだと長くなるんでしょうけどねぇ……でも、あっちで店を構えることが決まったっていうから。お祝いに行くのよ」
誰かの門出に行き会えるなんて幸先がいいな。
嬉しくなって、おばあさんとは向かい合って座りながら弾んだ気持ちを伝える。
「素敵!きっとこの馬車なら、すぐに着きます。馬もとっても元気だったし……」
そうやって口にした途端、ふわ……っと光の感覚を覚える。
まさか!?
「んんーーーっ」
ぱしっと自分の口を手で抑えたけど遅かった!
ピカァッと体が発光して、同時に、馬車の外から馬がいななくのが聞こえる。
ていうか薄々感じてたけど、この魔法ってわたし自身が光るのね、お風呂とか馬じゃなくて!
「うわぁっ、どうしたお前ら!」
御者の人の慌てる声が聞こえる。
わけが分からないだろうけど中で謝ってしまうわたし。
「わーーーっ、ごめんなさいいっっ!」
「??どうしたの、お嬢さん。あら、ずいぶん外が騒がしいね……?」
目が悪いと言ってたおばあさんは、真っ昼間ということもあって発光には気づかなかったみたいだ。
暴れ馬のように猛進を始める馬車の中で、慌てて空気の層でクッションを作っておばあさんを包んだ。
「うわっ、わぁっ、えぇとっ……!」
シールド!シールドも!!
御者も併せて包み込めるように馬車の周囲へ展開する。
これで多分、風や重力の影響を受けずに、受けずに……
「あぎっっ」
自分の分のクッション忘れてた!
思いっきり舌を噛んでしまって口を抑えたけど、悲鳴はしっかり聞こえちゃったみたいで「大丈夫かい?」なんておばあさんに声をかけてもらう。
「らいひょうぶでしゅ……」
口を抑えて自分の体も厚めのエアークッションで包み込む。
これで、たぶん、ちょっと荒い運転ぐらいの感覚で……いける……??
「うわーーーーっっ!!」
外から御者の人の叫び声が聞こえる。
いくら体にかかる衝撃を和らげたって、外で実際に御者の人が目にしてる速度や馬の勢いはたぶん、すごいことになっちゃってるはず。
ご、ごめんなさい………
そんな感じで、トップスピードを維持したまま国の中央まで駆け抜けることになってしまった。
領地を抜ける感慨も何もあったものじゃない。
無意識にできてた魔法ができなくなってたり、願ってもないのに口に出しただけで発動したり!
教会に着いたら、何よりもまず!
絶対にこの力について相談しなくっちゃ……!!
馬車に近づいて、御者の人に声をかける。
「中央行きならこの馬車が一番!もーちょっとしたら出発しますんで、中入っててください」
「あ、ありがとうございますっ」
よかった……!
御者の人へお礼を行って乗り込もうと、ステップのある方へ回る。
と、今まさに乗り込もうとしているお客さんが先にいた。
杖をついてるおばあさん……ちょっと、足元がおぼつかない。
段差にこつ、こつと杖をあててから上ろうとしているが、ちょっとよろめいていて……
「あっ……大丈夫ですか?」
思わず、後ろからおばあさんの背中を支えるように手をあててしまった。
「あら、ごめんねぇ。目が悪くって……」
「いえいえー、一緒に乗っちゃいましょう。あ、足元気を付けてくださいね」
先導するように隣へ立って、手を支える。そのまま一緒に馬車へと乗り込んだ。
4~6人乗りだろう馬車には、他のお客さんは入ってなくて、わたしとおばあさんだけみたい。
しばらくすると御者の人が一度馬車を覗きに来た。
人数を確かめて「出発しまーす!」と御者台のほうへ戻っていく。
おばあさんはわたしに対してお礼を言った後、中央にいる息子さんに会いに行くんだと話をしてくれた。
息子さんは中央で職人の弟子をしていたんだけど、この度めでたく独立することが決まったんだそうだ。
中央までの交通費も送ってくれたんだって。
本当は、馬車に乗るまでを付き添いに来てくれるはずの人がいたんだけど、直前で急用が入ってしまったんだそう……
それで、一人で乗ろうとしてたんだ。
「ここから中央までだと長くなるんでしょうけどねぇ……でも、あっちで店を構えることが決まったっていうから。お祝いに行くのよ」
誰かの門出に行き会えるなんて幸先がいいな。
嬉しくなって、おばあさんとは向かい合って座りながら弾んだ気持ちを伝える。
「素敵!きっとこの馬車なら、すぐに着きます。馬もとっても元気だったし……」
そうやって口にした途端、ふわ……っと光の感覚を覚える。
まさか!?
「んんーーーっ」
ぱしっと自分の口を手で抑えたけど遅かった!
ピカァッと体が発光して、同時に、馬車の外から馬がいななくのが聞こえる。
ていうか薄々感じてたけど、この魔法ってわたし自身が光るのね、お風呂とか馬じゃなくて!
「うわぁっ、どうしたお前ら!」
御者の人の慌てる声が聞こえる。
わけが分からないだろうけど中で謝ってしまうわたし。
「わーーーっ、ごめんなさいいっっ!」
「??どうしたの、お嬢さん。あら、ずいぶん外が騒がしいね……?」
目が悪いと言ってたおばあさんは、真っ昼間ということもあって発光には気づかなかったみたいだ。
暴れ馬のように猛進を始める馬車の中で、慌てて空気の層でクッションを作っておばあさんを包んだ。
「うわっ、わぁっ、えぇとっ……!」
シールド!シールドも!!
御者も併せて包み込めるように馬車の周囲へ展開する。
これで多分、風や重力の影響を受けずに、受けずに……
「あぎっっ」
自分の分のクッション忘れてた!
思いっきり舌を噛んでしまって口を抑えたけど、悲鳴はしっかり聞こえちゃったみたいで「大丈夫かい?」なんておばあさんに声をかけてもらう。
「らいひょうぶでしゅ……」
口を抑えて自分の体も厚めのエアークッションで包み込む。
これで、たぶん、ちょっと荒い運転ぐらいの感覚で……いける……??
「うわーーーーっっ!!」
外から御者の人の叫び声が聞こえる。
いくら体にかかる衝撃を和らげたって、外で実際に御者の人が目にしてる速度や馬の勢いはたぶん、すごいことになっちゃってるはず。
ご、ごめんなさい………
そんな感じで、トップスピードを維持したまま国の中央まで駆け抜けることになってしまった。
領地を抜ける感慨も何もあったものじゃない。
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教会に着いたら、何よりもまず!
絶対にこの力について相談しなくっちゃ……!!
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