54 / 96
夢から覚めて
しおりを挟む
「あんたが教会に訪ねて来た日から、今日で……一週間になる」
「いっしゅうかん!?!」
絶句してしまった。それはちょっと、想像を超えすぎてる。
「わ、わたし一週間ずっと、眠ってたの……!?」
驚きながらそう言うと、アストは頷いた。
い、一週間……数字が頭の中でぐるぐる回ってる。
全然実感がない。確かに喉は渇いてたしお腹も空いてる気はするけど、何が何でも今食べなきゃ無理、倒れる!っていう程の追い詰められた感じはないし……いや、倒れてたんだけど!
「で、でも……全然そんなに眠ってた気がしない……」
呆然と呟く。
そう、正直言うと倒れたっていう実感すらない。でも確かに、直前は気持ち悪かったんだよな……
今はすっきりしてる。そこで急に、まだ手にしたままのコップに思い至った。
「あ、もしかしてこれ、特別なお水!?これを飲んだからいろいろスッキリと……!?」
「いや、ただの水」
「あ、あれ……」
はっと思いついて言ってみるけど、スパッと否定された。
そっか、ただのお水……いやでも、すごく美味しいよ……
という事で二杯目もおいしくいただく事にした。
水を飲んでる最中も、わたしの疑問にアストが答えてくれる。
「まだ、調べてる最中……っていうか、あんたの体を診ただけじゃ、はっきりした事は言えないが……叔父貴が言うには、反動が来たんじゃないかって」
「反動?」
水を飲み終えた空のコップを、枕元の棚に戻す。
アストは、ベッドの横に置いてあった簡易な椅子を引っ張ってきて、そこに座った。
「塔に仕掛けがあるかもしれないって言われたこと、覚えてるか」
そう言われて、わたしはこくっと頷いた。
「そっちの関係がどうとか言ってた。……ああ、もう来るから、叔父貴に聞いてみたらいい」
アストが、ドアの方へ視線を送る。それとほぼ同時に、ゆっくりと……ていうか、静か~に扉が開いた。
なるべく音をたてないように、そぅっと開けてくれてるのが分かる。
「ああ、ローズ様……目が覚められたのですね」
顔を出した神官様は、カーテンが開いているのと、わたしがベッドの上で起き上がっていることでほっと安心の息を吐いたみたいだった。
「お、おはようございます……わたし、ものすごく長い間眠ってたんですね……」
そのタイミングで、アストがベッドを離れた。
「軽く腹に入れるもの貰ってくる」
入れ違うように部屋を出ていくアストに、わたしと神官様は声をかけて見送った。
「ああ、行ってらっしゃい」
「あ、ありがとう……!」
「いっしゅうかん!?!」
絶句してしまった。それはちょっと、想像を超えすぎてる。
「わ、わたし一週間ずっと、眠ってたの……!?」
驚きながらそう言うと、アストは頷いた。
い、一週間……数字が頭の中でぐるぐる回ってる。
全然実感がない。確かに喉は渇いてたしお腹も空いてる気はするけど、何が何でも今食べなきゃ無理、倒れる!っていう程の追い詰められた感じはないし……いや、倒れてたんだけど!
「で、でも……全然そんなに眠ってた気がしない……」
呆然と呟く。
そう、正直言うと倒れたっていう実感すらない。でも確かに、直前は気持ち悪かったんだよな……
今はすっきりしてる。そこで急に、まだ手にしたままのコップに思い至った。
「あ、もしかしてこれ、特別なお水!?これを飲んだからいろいろスッキリと……!?」
「いや、ただの水」
「あ、あれ……」
はっと思いついて言ってみるけど、スパッと否定された。
そっか、ただのお水……いやでも、すごく美味しいよ……
という事で二杯目もおいしくいただく事にした。
水を飲んでる最中も、わたしの疑問にアストが答えてくれる。
「まだ、調べてる最中……っていうか、あんたの体を診ただけじゃ、はっきりした事は言えないが……叔父貴が言うには、反動が来たんじゃないかって」
「反動?」
水を飲み終えた空のコップを、枕元の棚に戻す。
アストは、ベッドの横に置いてあった簡易な椅子を引っ張ってきて、そこに座った。
「塔に仕掛けがあるかもしれないって言われたこと、覚えてるか」
そう言われて、わたしはこくっと頷いた。
「そっちの関係がどうとか言ってた。……ああ、もう来るから、叔父貴に聞いてみたらいい」
アストが、ドアの方へ視線を送る。それとほぼ同時に、ゆっくりと……ていうか、静か~に扉が開いた。
なるべく音をたてないように、そぅっと開けてくれてるのが分かる。
「ああ、ローズ様……目が覚められたのですね」
顔を出した神官様は、カーテンが開いているのと、わたしがベッドの上で起き上がっていることでほっと安心の息を吐いたみたいだった。
「お、おはようございます……わたし、ものすごく長い間眠ってたんですね……」
そのタイミングで、アストがベッドを離れた。
「軽く腹に入れるもの貰ってくる」
入れ違うように部屋を出ていくアストに、わたしと神官様は声をかけて見送った。
「ああ、行ってらっしゃい」
「あ、ありがとう……!」
19
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる