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仕掛けの正体
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「さて……改めて。おはようございます、ローズ様」
「お、おはようございます……」
と言っても、今が何時なのかはよく分からない、んだけど。
そう思って尋ねてみたら、朝食を終えたぐらいの時間だと教えてもらった。
神官様は、アストが引き寄せておいた椅子に座ってから、わたしの具合を確かめるように話を始める。
「頭痛はしますか。吐き気や……ほかに、何か不調があれば」
「えぇっと……どれも、特には。ちょっとお腹が空いてるかな、ぐらいで……?」
アストに伝えた事を、もう一度伝えた。
何回も伝えてると、自分の食欲すごい……ってなりそうだけど、本当のことだから……!
「お腹が、ですか……胃腸も大丈夫そうですね」
茶化すわけでもなく、神官様はそう伝えてくれた。
あんまり長い間ご飯を食べないでいると、急にたくさんはご飯を食べられないっていう話を教えてくれて……
あ、それって、家を追放されたころのわたしじゃない??なんて思い当たったりもして。
儀式係をしてる時も一応食べてたんだけどね。一応。ちょっとずつだけ。
でも、そんな感じもしない。
とは言え神官様はお医者様とはまた別だから……アストが持ってきてくれるご飯も、軽いものになりそうだ、っていう話だった。
「それで、わたしが倒れた原因……アストが、反動かもしれない、って言ってました。塔の仕掛けが、とか……」
「……うん」
わたしがそう切り出すと、神官様は表情を硬くした。
「恐らく、ですが。ローズ様は……長い間……そう、年単位の時間で、悪意ある魔力に晒され続けて来ています」
「悪意のある……ですか」
それも、年単位に。
…………実感は、こっちもまるでなくって。ぽかんとしてしまった。
「水晶へ魔力を込めて頂き、ここ数日の変化を見せてもらった際に……妙な残滓がある、とお伝えしましたね」
「はい」
「あなたが眠られている間、もう少し見てみたのですが……あれは、術の残滓です。
掛けられた者の持ち前の魔力を阻害し、思考をマヒさせるような効果を持っているようでした」
「それは……そんな仕掛けが、塔にあったという事ですか……?」
だとしたら、何の為に……?
「ほとんどは、洗脳の為だと思います……塔にいる間、考えられなかった事や、逆に執着していた事などはありましたか?」
「考えられなかった事……執着……」
神官様は、急かすわけでもなく。穏やかに、でも真剣に話を聞いてくれている。
「そう、いえば」
一つ、思い当たることがあって。
水をたくさん飲んだはずの喉が、再び渇いていくのを感じた。
「魔石を……魔石、を。作ることしか……頭に、なかったような。……気が、します」
「お、おはようございます……」
と言っても、今が何時なのかはよく分からない、んだけど。
そう思って尋ねてみたら、朝食を終えたぐらいの時間だと教えてもらった。
神官様は、アストが引き寄せておいた椅子に座ってから、わたしの具合を確かめるように話を始める。
「頭痛はしますか。吐き気や……ほかに、何か不調があれば」
「えぇっと……どれも、特には。ちょっとお腹が空いてるかな、ぐらいで……?」
アストに伝えた事を、もう一度伝えた。
何回も伝えてると、自分の食欲すごい……ってなりそうだけど、本当のことだから……!
「お腹が、ですか……胃腸も大丈夫そうですね」
茶化すわけでもなく、神官様はそう伝えてくれた。
あんまり長い間ご飯を食べないでいると、急にたくさんはご飯を食べられないっていう話を教えてくれて……
あ、それって、家を追放されたころのわたしじゃない??なんて思い当たったりもして。
儀式係をしてる時も一応食べてたんだけどね。一応。ちょっとずつだけ。
でも、そんな感じもしない。
とは言え神官様はお医者様とはまた別だから……アストが持ってきてくれるご飯も、軽いものになりそうだ、っていう話だった。
「それで、わたしが倒れた原因……アストが、反動かもしれない、って言ってました。塔の仕掛けが、とか……」
「……うん」
わたしがそう切り出すと、神官様は表情を硬くした。
「恐らく、ですが。ローズ様は……長い間……そう、年単位の時間で、悪意ある魔力に晒され続けて来ています」
「悪意のある……ですか」
それも、年単位に。
…………実感は、こっちもまるでなくって。ぽかんとしてしまった。
「水晶へ魔力を込めて頂き、ここ数日の変化を見せてもらった際に……妙な残滓がある、とお伝えしましたね」
「はい」
「あなたが眠られている間、もう少し見てみたのですが……あれは、術の残滓です。
掛けられた者の持ち前の魔力を阻害し、思考をマヒさせるような効果を持っているようでした」
「それは……そんな仕掛けが、塔にあったという事ですか……?」
だとしたら、何の為に……?
「ほとんどは、洗脳の為だと思います……塔にいる間、考えられなかった事や、逆に執着していた事などはありましたか?」
「考えられなかった事……執着……」
神官様は、急かすわけでもなく。穏やかに、でも真剣に話を聞いてくれている。
「そう、いえば」
一つ、思い当たることがあって。
水をたくさん飲んだはずの喉が、再び渇いていくのを感じた。
「魔石を……魔石、を。作ることしか……頭に、なかったような。……気が、します」
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