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願った場所へ3
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『アッ繋がった!!ブラン様ーーー!!』
『アスト、ローズ様!無事ですか!』
「それなら教会と連絡が取りたい」と言ったアストの声に応えて、子爵は掌で休んでいた小鳥を指先で撫でる。小鳥は首を傾げて「ピ、ピ」と鳴いた後で、おもむろにバサッと羽根を広げた。神官様と、アルの声が一斉に飛び込んでくる。
「常時受信するわけじゃないのか」
「……受信はするが、こちらが許可を出さないと通信に入らない」
アストが興味を示して尋ねると、子爵は少し黙った後で彼に応える。
わたしは彼らの横から小鳥に応えた。
「神官様!無事です、わたしもアストも。なぜか領地に……子爵のところに……来てしまって……」
なぜっていうかおそらくたぶんわたしが何かを発動させてしまって、そこに飛び込んでしまったからなんだけども。……一秒でも早く来たかったからなの……!?改めて考えてみると本当に結構危うい気がするんだけど、今わたしの頭を占めていることは、別のことだった。
『そちらは……セスティア管轄の領地ですか。本当に移動してしまわれたのですね……』
感嘆のような、茫然としているような神官様の声が聞こえる。
「それで……森の様子が変なんです。アストが言うには、魔獣が増えて邪気が溜まってるかもしれないらしくて」
『森が?』
「はい……」
「少し見てくる。その間、偽造だの何だのは一旦保留にさせてもらう。……場合によるなら、貫き通すことになるかもしれないからな」
「え?」
「……それも選択肢のひとつということだ。あとあと突き出すならそれはそれで、騙されたことにするのが都合がいい」
「なあ?」と、アストが子爵へと話しかけた。彼は眼を閉じるようにして応える。
「……甘んじて受ける」
……なんか思いつめさせてない?自業自得と言えばそうかもしれないけど。
はっと思いついてアストの腕を引くと、ささっと部屋の隅まで行って小声で尋ねる。
「……ちなみに文書偽造って、どんな罪になるの……?」
「訴え方と騙ったもの、人物によって変わるが。今回の場合は……まあ、厳重注意ぐらいじゃないか」
「そんなものなの……!?」
……まあ、それぐらいなら。ちょっと被ってもらおうかななんて邪な気持ちが浮かんでしまう。中央にいた時は、わたしがこの地に不要だと思ってたけど。今帰ってきて目の当たりにしてみると、せめて浄化係がどうなってるか確かめないと、ちょっとこの地を離れられない気がして。
「もしくは私財没収の上禁固刑」
「振り幅!!」
それは全然被せらんない!!
「な、なんだ」
隅でこそこそ話してたっていうのに思い切り叫んでしまったおかげで子爵がびっくりした顔でこっちを見た。あ、結界張ればよかった。でもそれもなんか怪しい……いや、そうじゃなくて……
頭を抱えているわたしに構わず、さっさとアストは小鳥の前に戻る。ど、どうしようかな……
「そういうわけで、森に行くつもりだ」
『分かりました、くれぐれも気をつけて。それから、彼ですが、少し休むことになると思うので報告を』
『えっ、俺!?』
彼っていうのはアルのこと?なんか本人も驚いている声が聞こえたんだけど。
「この方は?」
「教会仕えの神官だ」
子爵は頷いて、小鳥へと話しかける。
「……ご配慮をありがとうございます。アル、回復に努めろ」
『ええ……ええ~……はーい……』
……そういえば、ちょっと顔色が悪かった気はする。この術にどれぐらいエネルギーが要るかは分からないけど……塔の結界に弾かれた影響もありそうって言ってたから、そのことかな。
通信を切る、という時に。神官様が、わたしへと言った。
『ローズ様。あなたはご自身の意思で道を選べるということ、お忘れなきよう』
『アスト、ローズ様!無事ですか!』
「それなら教会と連絡が取りたい」と言ったアストの声に応えて、子爵は掌で休んでいた小鳥を指先で撫でる。小鳥は首を傾げて「ピ、ピ」と鳴いた後で、おもむろにバサッと羽根を広げた。神官様と、アルの声が一斉に飛び込んでくる。
「常時受信するわけじゃないのか」
「……受信はするが、こちらが許可を出さないと通信に入らない」
アストが興味を示して尋ねると、子爵は少し黙った後で彼に応える。
わたしは彼らの横から小鳥に応えた。
「神官様!無事です、わたしもアストも。なぜか領地に……子爵のところに……来てしまって……」
なぜっていうかおそらくたぶんわたしが何かを発動させてしまって、そこに飛び込んでしまったからなんだけども。……一秒でも早く来たかったからなの……!?改めて考えてみると本当に結構危うい気がするんだけど、今わたしの頭を占めていることは、別のことだった。
『そちらは……セスティア管轄の領地ですか。本当に移動してしまわれたのですね……』
感嘆のような、茫然としているような神官様の声が聞こえる。
「それで……森の様子が変なんです。アストが言うには、魔獣が増えて邪気が溜まってるかもしれないらしくて」
『森が?』
「はい……」
「少し見てくる。その間、偽造だの何だのは一旦保留にさせてもらう。……場合によるなら、貫き通すことになるかもしれないからな」
「え?」
「……それも選択肢のひとつということだ。あとあと突き出すならそれはそれで、騙されたことにするのが都合がいい」
「なあ?」と、アストが子爵へと話しかけた。彼は眼を閉じるようにして応える。
「……甘んじて受ける」
……なんか思いつめさせてない?自業自得と言えばそうかもしれないけど。
はっと思いついてアストの腕を引くと、ささっと部屋の隅まで行って小声で尋ねる。
「……ちなみに文書偽造って、どんな罪になるの……?」
「訴え方と騙ったもの、人物によって変わるが。今回の場合は……まあ、厳重注意ぐらいじゃないか」
「そんなものなの……!?」
……まあ、それぐらいなら。ちょっと被ってもらおうかななんて邪な気持ちが浮かんでしまう。中央にいた時は、わたしがこの地に不要だと思ってたけど。今帰ってきて目の当たりにしてみると、せめて浄化係がどうなってるか確かめないと、ちょっとこの地を離れられない気がして。
「もしくは私財没収の上禁固刑」
「振り幅!!」
それは全然被せらんない!!
「な、なんだ」
隅でこそこそ話してたっていうのに思い切り叫んでしまったおかげで子爵がびっくりした顔でこっちを見た。あ、結界張ればよかった。でもそれもなんか怪しい……いや、そうじゃなくて……
頭を抱えているわたしに構わず、さっさとアストは小鳥の前に戻る。ど、どうしようかな……
「そういうわけで、森に行くつもりだ」
『分かりました、くれぐれも気をつけて。それから、彼ですが、少し休むことになると思うので報告を』
『えっ、俺!?』
彼っていうのはアルのこと?なんか本人も驚いている声が聞こえたんだけど。
「この方は?」
「教会仕えの神官だ」
子爵は頷いて、小鳥へと話しかける。
「……ご配慮をありがとうございます。アル、回復に努めろ」
『ええ……ええ~……はーい……』
……そういえば、ちょっと顔色が悪かった気はする。この術にどれぐらいエネルギーが要るかは分からないけど……塔の結界に弾かれた影響もありそうって言ってたから、そのことかな。
通信を切る、という時に。神官様が、わたしへと言った。
『ローズ様。あなたはご自身の意思で道を選べるということ、お忘れなきよう』
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