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第五章 絆をはぐくんだ三人はいざ戦いへ
第225話 精霊の術使いだとバレた
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スワンはすぐそこに脱出口の入り口にいるも関わらず、出会ってはいけない敵。しかもよりによってエリートのバカデカテと対面していた。
「ふむ……脱走者か? 女の捕虜にこのような奴はいただろうか?」
壁の隅でスワンを指で差しながら考えるバカデカテ。
(何、何、何を失敗した……)
(どうしてここまで追って来た)
(よりにもよって、どうして一番見つかりたくなかい奴に)
(いや、そんなことは、もういい)
(それより大事なことがある)
(ロードたち奇襲部隊をこいつに気づかれず中に引き入れること)
(その為にはここの墓の後ろにある)
(隠し通路を開いてさらに奥へずっと行き)
(最後の扉の仕掛け)
(石像の移動をしないといけない)
(ここに水はない)
スワンは腰の荷物袋から水の入った四本の瓶を手に持った。
「――――!?」
バカデカテが何事かと思う。
(ストックの水は全部使う!!)
スワンが四本の水の入った瓶を投げた。
「――――――水か!?」
パリパリン、パリンと四本の水がバカデカテの手の甲に防がれ割られていく。
その手のガードを死角にして、その隙にスワンは王墓の入り口から髪を揺らして逃げる。
「逃げるな!!」
振り返ってバカデカテは言う。そして手の甲を舐める。正確には付着した水を舐める。
「甘い水だ。さぞかしうまい女だろう……だが……精霊の女は生かして捕まえる。それがゴワドーン様からの命令……」
タタタタとバカデカテも王墓入り口を後にした。そして入り口前には水が残っている。それがぷくーーーーっと膨らんでいき、小さな山形の精霊が出て来た。
「ジャブ、ジャブジャブ……」
精霊は王墓の中へ入って行った。
◆ ◆ ◆ ◆
オーイワ城・正門広場。
時刻は20時。
井戸の中から突然水が噴射した。
「ん?」「なんだアレは?」「井戸から水が」「吹きあがってるぞ」
もちろんこれはスワンの精霊の術で、彼女をオーイワ城の外へ連れ出す水だった。現にスワンはその水に乗って城の塀を抜けようとしていた。そして、塀の上へ立った時、正面にはバカデカテがいた。先回りされていたのだ。
「――――!!」
タンと塀に立つスワンは驚いた。
「タテトルの言っていた精霊の術を使う女。ここへ何しに来た? 単独か? まぁいい、わざわざ墓に行ったんだ後でゆっくり何があるか調べてやる……それより問題は動き回るお前だ。まずは小鳥を捕獲する」
子供のような声で喋るバカデカテ。
(やはりわたしを追って来た)
(墓荒らしの目的の品より)
(精霊の術を使う人間)
(どこへ行ってもその価値は変わらないか)
(好都合)
(私が逃げれば、墓に向かわれることはない)
(たとえ部下に行かせたとしても)
(こいつよりはマシ)
(十分時間も稼げる)
スワンは有利な状況であることを顔に出さないよう。悔しそうな表情を浮かべた。
(あとは水の精霊ジャブちゃんがやってくれる)
(その後は……)
「人間の女だ」「かこめかこめ!」「バカデカテ様遅れました」「人間め」「脱走者か」「捕まえろ」
スワンの背後の下から魔物たちが集まって来ていた。
「――――!?」
スワンがその一旦目を離した隙に――
――ドッとバカデカテの手に押された。
その時、
(念のため確かめよう。ゴワドーン様にぬか喜びなどさせられない。精霊の術――見せてみろ)
バカデカテは期待していた。
そして、塀の上からヒューと落ちるスワン。
「落ちてくる!」「捕まえろ!」
魔物たちの出迎えは万全だった。
(絶対に捕まらない)
「水霊の手!!」
井戸の水を使って四本指の手を作り出した。そしてその下から突き上げるように出て来た手がスワンを捉えた。
「うお!」「水!」
魔物のいる下には落ちなかった。
「ほーーまさしく精霊の術だ。秘宝玉とは違うがな……」
バカデカテが自分より上の位置に着いたスワンを見上げて言った。
「一つ聞きたい……わたしは一体何を失敗した」
(とりあえず少しでも時間稼ぎをしよう)
「なーに……ささいなことだ見張り台の屋根に落ちてきた水滴を念のため舐めてみたら少し、ほんの少し、甘い味がしただけだ……」
(水滴?)
(水雲鳥の?)
(気にしたことが無かった)
(けどこの雨雲の中でそれを不審に思い)
(味を見た)
(確かに私の水は甘くなる)
(ただし、水滴のひとしずくで)
(それがわかるのはおそらく)
(味覚のいい奴くらい)
(こいつは絶対違う)
(けど、それを見破った)
(この警戒心の強さ)
(一筋縄ではいかない)
(他の魔物とは段違い)
(これが眷属使魔バカデカテ)
大きく息を吸い、吐き出すスワン。
「ロードごめんなさい、わたし……失敗しました」
スワンは腕輪の黄色い指輪を見て笑った。
「ふむ……脱走者か? 女の捕虜にこのような奴はいただろうか?」
壁の隅でスワンを指で差しながら考えるバカデカテ。
(何、何、何を失敗した……)
(どうしてここまで追って来た)
(よりにもよって、どうして一番見つかりたくなかい奴に)
(いや、そんなことは、もういい)
(それより大事なことがある)
(ロードたち奇襲部隊をこいつに気づかれず中に引き入れること)
(その為にはここの墓の後ろにある)
(隠し通路を開いてさらに奥へずっと行き)
(最後の扉の仕掛け)
(石像の移動をしないといけない)
(ここに水はない)
スワンは腰の荷物袋から水の入った四本の瓶を手に持った。
「――――!?」
バカデカテが何事かと思う。
(ストックの水は全部使う!!)
スワンが四本の水の入った瓶を投げた。
「――――――水か!?」
パリパリン、パリンと四本の水がバカデカテの手の甲に防がれ割られていく。
その手のガードを死角にして、その隙にスワンは王墓の入り口から髪を揺らして逃げる。
「逃げるな!!」
振り返ってバカデカテは言う。そして手の甲を舐める。正確には付着した水を舐める。
「甘い水だ。さぞかしうまい女だろう……だが……精霊の女は生かして捕まえる。それがゴワドーン様からの命令……」
タタタタとバカデカテも王墓入り口を後にした。そして入り口前には水が残っている。それがぷくーーーーっと膨らんでいき、小さな山形の精霊が出て来た。
「ジャブ、ジャブジャブ……」
精霊は王墓の中へ入って行った。
◆ ◆ ◆ ◆
オーイワ城・正門広場。
時刻は20時。
井戸の中から突然水が噴射した。
「ん?」「なんだアレは?」「井戸から水が」「吹きあがってるぞ」
もちろんこれはスワンの精霊の術で、彼女をオーイワ城の外へ連れ出す水だった。現にスワンはその水に乗って城の塀を抜けようとしていた。そして、塀の上へ立った時、正面にはバカデカテがいた。先回りされていたのだ。
「――――!!」
タンと塀に立つスワンは驚いた。
「タテトルの言っていた精霊の術を使う女。ここへ何しに来た? 単独か? まぁいい、わざわざ墓に行ったんだ後でゆっくり何があるか調べてやる……それより問題は動き回るお前だ。まずは小鳥を捕獲する」
子供のような声で喋るバカデカテ。
(やはりわたしを追って来た)
(墓荒らしの目的の品より)
(精霊の術を使う人間)
(どこへ行ってもその価値は変わらないか)
(好都合)
(私が逃げれば、墓に向かわれることはない)
(たとえ部下に行かせたとしても)
(こいつよりはマシ)
(十分時間も稼げる)
スワンは有利な状況であることを顔に出さないよう。悔しそうな表情を浮かべた。
(あとは水の精霊ジャブちゃんがやってくれる)
(その後は……)
「人間の女だ」「かこめかこめ!」「バカデカテ様遅れました」「人間め」「脱走者か」「捕まえろ」
スワンの背後の下から魔物たちが集まって来ていた。
「――――!?」
スワンがその一旦目を離した隙に――
――ドッとバカデカテの手に押された。
その時、
(念のため確かめよう。ゴワドーン様にぬか喜びなどさせられない。精霊の術――見せてみろ)
バカデカテは期待していた。
そして、塀の上からヒューと落ちるスワン。
「落ちてくる!」「捕まえろ!」
魔物たちの出迎えは万全だった。
(絶対に捕まらない)
「水霊の手!!」
井戸の水を使って四本指の手を作り出した。そしてその下から突き上げるように出て来た手がスワンを捉えた。
「うお!」「水!」
魔物のいる下には落ちなかった。
「ほーーまさしく精霊の術だ。秘宝玉とは違うがな……」
バカデカテが自分より上の位置に着いたスワンを見上げて言った。
「一つ聞きたい……わたしは一体何を失敗した」
(とりあえず少しでも時間稼ぎをしよう)
「なーに……ささいなことだ見張り台の屋根に落ちてきた水滴を念のため舐めてみたら少し、ほんの少し、甘い味がしただけだ……」
(水滴?)
(水雲鳥の?)
(気にしたことが無かった)
(けどこの雨雲の中でそれを不審に思い)
(味を見た)
(確かに私の水は甘くなる)
(ただし、水滴のひとしずくで)
(それがわかるのはおそらく)
(味覚のいい奴くらい)
(こいつは絶対違う)
(けど、それを見破った)
(この警戒心の強さ)
(一筋縄ではいかない)
(他の魔物とは段違い)
(これが眷属使魔バカデカテ)
大きく息を吸い、吐き出すスワン。
「ロードごめんなさい、わたし……失敗しました」
スワンは腕輪の黄色い指輪を見て笑った。
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