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稼業が嫌で逃げたらそこは異世界だった
11.一方そのころ勇者様は……
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「はぁ、諸刃のやつ、一体どこをうろついているのかしら」
私は窓から外を眺めながらため息をはいた。私の頭の中に浮かんでくるのは、魔法陣からはじき出されて奈落に落ちていった諸刃のことばかり。きっとあいつもこの世界に召喚されていると思うのだが、一体どこに行ったのだろうか。早く会いたい。
「あ、こんなところにいたんですか飛鳥様、早く訓練に戻りましょう」
迎えに来た騎士に視線を移し、そして強く思った。
早くこんな場所から逃げ出したいと。
諸刃を弾き飛ばした魔法陣は、ザ・謁見の間的な場所に私を運んだ。ぶっちゃけ、感覚的にはエレベーターに乗っているのと一緒だった。
漫画やゲームに出てくる作りと一緒だから現状が把握しやすかった。しかも王様ぽい人が最初に言った「勇者よ、よく参られた」てきな言葉。フィクションだったから今まで面白く感じたけど、その当人になるとイラっと来るものがある。何だこいつと思い、私はいきなり王様を殴り飛ばした。このまま革命でも起こして、民主化でもしてやろうかなんて思っていたけど、幼い王様の娘さんに「パパ虐めないで」なんて言われたら、手を止めざる負えない。
ちなみに、私と娘さんは仲直りしています。悪いのはパパと言うことで決定したので。
その後色々ともめた。特に諸刃がいなくなったことについては凄くもめた。一緒にいたはずなのにはじき出されて奈落落ち。このことについて、私を召喚した人達なら知っているであろうと思ったのだが、使った魔法自体が、伝承だよりに試しに行ってみたものだったので誰一人として分からない。
娘さん、王様の娘だからお姫様かな? お姫様と一緒に、皆を言葉攻めして、諸刃探索チームを作ってもらうことになった。
その点に関しては、素直にうれしい。私の要望が通ってよかったと思っている。
一つのことに対して満足したら、また新たに不満が生まれた。
この世界、剣がない……。
魔法のある世界と言われても剣士はいると思っていた。洋風な世界観、ゲームのような設定、だったら当然剣をメインに戦う人だっているはずだ。そう、いるはずなんだよ。
でも、この世界は……魔法が発展して剣が廃れた世界。剣で戦うすべをあまり持っていない。
そりゃそうだ。現代でも、剣で戦うより銃などを使って戦った方がいい。手軽で強い。
魔法なんて便利なモノがあれば、誰だって使うに決まっている。誰だって、怪我をしたくない。
でもそこであえて剣を使うのがファンタジーってもんでしょう。
あれか、私は異世界というものに夢を見過ぎてしまっているのだろうか。でも、剣術の道場に通っていた身としては、異世界でも剣術で戦っていきたいという想いがある。
「という訳で、剣術の指導しまーす」
広い場所を用意してくれと言ったら、兵士の訓練場を案内された。ないなら作ればいいじゃない。諸刃なんて後で見つければいいわ。その前に、あいつもちゃんと訓練できる場所を作ってあげないとね。
私ってなんて諸刃想いなのかしら、きゃ、なんて馬鹿なことを考えながら、立ち向かってくる兵士たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……。
たまに「もうやってられるかっ」と怒鳴り散らして魔法を打ち込んでくる輩もいたけど、ちぎっては投げてやった。
私の我儘を聞いてもらう代わりに、魔法の授業もきちんとこなすように言われてしまい、剣術の修行の後に魔法講義を受けることになった。
教えてくれるのは、私がぼこぼこにした兵士たち。仕返しのつもりか、魔法を実践式で教えてくれるという。
なんだろうか、感覚的にどうやって魔法を使えばいいのか分かった。なんかこう、体にまとわりつく、ほわほわしたモノをこねて形にして放出したようなもの、それが魔法じゃないのかなと獣の本能で理解した。私には水の魔力があるらしいので、試しに水を出してみたら。
手のひらからちょろちょろ出る水を見ていると、なんだか私の体の一部が噴水のようなものになった気分になった。
そこでふと閃く。これは試しにやってみなければと人にやったら危ないと思い、動く土くれ人形、ゴーレムを用意してもらった。
ゴーレムかっけー。
そんなことは置いておいて、私は手に魔力を集め、イメージする。私の目の前にできたのは水の刀。ただし高圧で噴出されたやばい水がチェーンソーのように刃にまとわりついている。まとわりついているという表現でいいのだろうか。ん、あれ?
まあいい。私はゴーレムめがけて水の刀を振るった。距離はあるが、あれだ。必殺技という奴だ。
「月牙○衝っ!」
某死神代行な漫画の技を叫びながら水の刀を振ると、水が細いビームのように噴射された。高圧噴射、いわゆるウォータージェットという奴だ。それが私の刀に合わせて噴射されるため、私より距離の離れたゴーレムがまるで斬撃で切られたように真っ二つになる。
「で、できた。月○天衝、できたっ!」
私は異世界で、夢を一つ叶えた。
私がこの世界に来てから数日が経った。私の弟子たちに諸刃の捜索をしてもらっているが、なかなか見つからない。あいついったいどこにいるのよ。全く、私がいないとダメなんだから。
そう思いながら、私はうきうきして訓練場に行く。魔法、楽しい。
あれから思いつく漫画の必殺技を再現しまくった。いや、魔法なんてあるんだから試さなきゃだめだよね。魔法はイメージ。イメージさえあれば何でもできる。
つまり、あの漫画のあれや、あの漫画のアレなんかを再現できるわけで……。
私的には非常にうれしい展開だった。新しゲームにドはまりして、徹夜でゲームをしまくるあの頃に戻った気分だった。
今日は何をして遊ぼうか……じゃなくてどんな訓練をしようかを考え始めたところで、声をかけられる。
「勇者様、陛下がお呼びです」
「は~い、今行きます。とりゃっ!」
的に向かって「アトミッ○斬」的な技を繰り出した後、私を呼びに来た全身黒タイツの変態さんの後をついていった。
ずっと気にしないようにしていたけど、アレ何っ。
気になりつつもできるだけ気にしないようにしながら後をついていき、国王様のもとにたどり着く。
「どうしましたか、王様?」
「すまぬな、急に呼び出して。本来なら魔王討伐の為に力をつけてもらいたいところだが、そうもいっていられなくなった」
「と、言うことは、何か問題があったんですね」
「うむ、ここ最近、小鬼どもが急に増え始めてな。別に小鬼が現れるぐらいなら冒険者たちが勝手に狩ってくれるのだが。問題は増えた量なのだ。異常すぎる増え方と言ってもいい。これは何かしらの問題が起こる予兆と言えよう。勇者飛鳥よ。我が兵を率いて、小鬼どもを討伐、駆逐せよ」
「よっしゃあああああ、実践じゃあああああああ、野郎ども、私についてこーいっ」
王様の近くにいた、いつも訓練に参加する兵士たちに、私は声をかける。
そんな私のあれな態度を見て、王様は凄く困ったような表情になった。
「なんかすごいのを呼んでしまったような気がするのだが、気のせいだろうか」
内心、こいつ失礼な奴だなと思ったが、相手は国王、私、自嘲できる子。
私は、門下生という名の部下を引き連れて、初めての実践に向かった。
ずっとやりたかった実践。これを諸刃に言うと「お前狂気じみているよ」なんて言われそうだけど……。
グロいゲームのように内臓ドバドバするのかな?
女としての趣味としてはどうだろうと自分でも思うところがあるけれど、好きなモノは好きなんだからしかたない。
小鬼どもをぶっこわ~す。
待っててね諸刃、小鬼倒すついでにアンタも見つけてやるんだからっ!
私は窓から外を眺めながらため息をはいた。私の頭の中に浮かんでくるのは、魔法陣からはじき出されて奈落に落ちていった諸刃のことばかり。きっとあいつもこの世界に召喚されていると思うのだが、一体どこに行ったのだろうか。早く会いたい。
「あ、こんなところにいたんですか飛鳥様、早く訓練に戻りましょう」
迎えに来た騎士に視線を移し、そして強く思った。
早くこんな場所から逃げ出したいと。
諸刃を弾き飛ばした魔法陣は、ザ・謁見の間的な場所に私を運んだ。ぶっちゃけ、感覚的にはエレベーターに乗っているのと一緒だった。
漫画やゲームに出てくる作りと一緒だから現状が把握しやすかった。しかも王様ぽい人が最初に言った「勇者よ、よく参られた」てきな言葉。フィクションだったから今まで面白く感じたけど、その当人になるとイラっと来るものがある。何だこいつと思い、私はいきなり王様を殴り飛ばした。このまま革命でも起こして、民主化でもしてやろうかなんて思っていたけど、幼い王様の娘さんに「パパ虐めないで」なんて言われたら、手を止めざる負えない。
ちなみに、私と娘さんは仲直りしています。悪いのはパパと言うことで決定したので。
その後色々ともめた。特に諸刃がいなくなったことについては凄くもめた。一緒にいたはずなのにはじき出されて奈落落ち。このことについて、私を召喚した人達なら知っているであろうと思ったのだが、使った魔法自体が、伝承だよりに試しに行ってみたものだったので誰一人として分からない。
娘さん、王様の娘だからお姫様かな? お姫様と一緒に、皆を言葉攻めして、諸刃探索チームを作ってもらうことになった。
その点に関しては、素直にうれしい。私の要望が通ってよかったと思っている。
一つのことに対して満足したら、また新たに不満が生まれた。
この世界、剣がない……。
魔法のある世界と言われても剣士はいると思っていた。洋風な世界観、ゲームのような設定、だったら当然剣をメインに戦う人だっているはずだ。そう、いるはずなんだよ。
でも、この世界は……魔法が発展して剣が廃れた世界。剣で戦うすべをあまり持っていない。
そりゃそうだ。現代でも、剣で戦うより銃などを使って戦った方がいい。手軽で強い。
魔法なんて便利なモノがあれば、誰だって使うに決まっている。誰だって、怪我をしたくない。
でもそこであえて剣を使うのがファンタジーってもんでしょう。
あれか、私は異世界というものに夢を見過ぎてしまっているのだろうか。でも、剣術の道場に通っていた身としては、異世界でも剣術で戦っていきたいという想いがある。
「という訳で、剣術の指導しまーす」
広い場所を用意してくれと言ったら、兵士の訓練場を案内された。ないなら作ればいいじゃない。諸刃なんて後で見つければいいわ。その前に、あいつもちゃんと訓練できる場所を作ってあげないとね。
私ってなんて諸刃想いなのかしら、きゃ、なんて馬鹿なことを考えながら、立ち向かってくる兵士たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……。
たまに「もうやってられるかっ」と怒鳴り散らして魔法を打ち込んでくる輩もいたけど、ちぎっては投げてやった。
私の我儘を聞いてもらう代わりに、魔法の授業もきちんとこなすように言われてしまい、剣術の修行の後に魔法講義を受けることになった。
教えてくれるのは、私がぼこぼこにした兵士たち。仕返しのつもりか、魔法を実践式で教えてくれるという。
なんだろうか、感覚的にどうやって魔法を使えばいいのか分かった。なんかこう、体にまとわりつく、ほわほわしたモノをこねて形にして放出したようなもの、それが魔法じゃないのかなと獣の本能で理解した。私には水の魔力があるらしいので、試しに水を出してみたら。
手のひらからちょろちょろ出る水を見ていると、なんだか私の体の一部が噴水のようなものになった気分になった。
そこでふと閃く。これは試しにやってみなければと人にやったら危ないと思い、動く土くれ人形、ゴーレムを用意してもらった。
ゴーレムかっけー。
そんなことは置いておいて、私は手に魔力を集め、イメージする。私の目の前にできたのは水の刀。ただし高圧で噴出されたやばい水がチェーンソーのように刃にまとわりついている。まとわりついているという表現でいいのだろうか。ん、あれ?
まあいい。私はゴーレムめがけて水の刀を振るった。距離はあるが、あれだ。必殺技という奴だ。
「月牙○衝っ!」
某死神代行な漫画の技を叫びながら水の刀を振ると、水が細いビームのように噴射された。高圧噴射、いわゆるウォータージェットという奴だ。それが私の刀に合わせて噴射されるため、私より距離の離れたゴーレムがまるで斬撃で切られたように真っ二つになる。
「で、できた。月○天衝、できたっ!」
私は異世界で、夢を一つ叶えた。
私がこの世界に来てから数日が経った。私の弟子たちに諸刃の捜索をしてもらっているが、なかなか見つからない。あいついったいどこにいるのよ。全く、私がいないとダメなんだから。
そう思いながら、私はうきうきして訓練場に行く。魔法、楽しい。
あれから思いつく漫画の必殺技を再現しまくった。いや、魔法なんてあるんだから試さなきゃだめだよね。魔法はイメージ。イメージさえあれば何でもできる。
つまり、あの漫画のあれや、あの漫画のアレなんかを再現できるわけで……。
私的には非常にうれしい展開だった。新しゲームにドはまりして、徹夜でゲームをしまくるあの頃に戻った気分だった。
今日は何をして遊ぼうか……じゃなくてどんな訓練をしようかを考え始めたところで、声をかけられる。
「勇者様、陛下がお呼びです」
「は~い、今行きます。とりゃっ!」
的に向かって「アトミッ○斬」的な技を繰り出した後、私を呼びに来た全身黒タイツの変態さんの後をついていった。
ずっと気にしないようにしていたけど、アレ何っ。
気になりつつもできるだけ気にしないようにしながら後をついていき、国王様のもとにたどり着く。
「どうしましたか、王様?」
「すまぬな、急に呼び出して。本来なら魔王討伐の為に力をつけてもらいたいところだが、そうもいっていられなくなった」
「と、言うことは、何か問題があったんですね」
「うむ、ここ最近、小鬼どもが急に増え始めてな。別に小鬼が現れるぐらいなら冒険者たちが勝手に狩ってくれるのだが。問題は増えた量なのだ。異常すぎる増え方と言ってもいい。これは何かしらの問題が起こる予兆と言えよう。勇者飛鳥よ。我が兵を率いて、小鬼どもを討伐、駆逐せよ」
「よっしゃあああああ、実践じゃあああああああ、野郎ども、私についてこーいっ」
王様の近くにいた、いつも訓練に参加する兵士たちに、私は声をかける。
そんな私のあれな態度を見て、王様は凄く困ったような表情になった。
「なんかすごいのを呼んでしまったような気がするのだが、気のせいだろうか」
内心、こいつ失礼な奴だなと思ったが、相手は国王、私、自嘲できる子。
私は、門下生という名の部下を引き連れて、初めての実践に向かった。
ずっとやりたかった実践。これを諸刃に言うと「お前狂気じみているよ」なんて言われそうだけど……。
グロいゲームのように内臓ドバドバするのかな?
女としての趣味としてはどうだろうと自分でも思うところがあるけれど、好きなモノは好きなんだからしかたない。
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