34 / 41
出撃
33:魔王への道のりは倍速で
しおりを挟む
目覚めると皆さんもう出発する準備をほぼ終えていて。
まるで昨日のことは夢だったかのようで寝起きのりんごはぼんやりする。
確か夜の川に行ってエノクの正体を見てぐるぐる巻きにされて。
人魚?蛇?なんだろうとにかく長くてヌルっとしてて心地よく、ギザギザ。
「今から敵陣へ乗り込むんだからしっかりしな」
「サターヌ……」
「寝ぼけてる顔も可愛いいけど。魔王はすぐそこだよ」
「……うんっ」
そんな事よりもこれから戦いに出るのだから気を引き締めなければ。
慌てて朝食を食べて身なりを整えて。自分の綺麗な武器を確認してニヤニヤして。
他3人も準備を終えたようなので馬車に乗り込む。
「俺は別行動で行く。乗り物って好きじゃなくて」
「一緒に行動したほうが」
「君は自分の心配をするんだ」
「はい」
キトラだけは別行動になるのは馬車が狭いからりんごを思ってか、
それとも単純に狭苦しいのが嫌なのか。
彼を置いた3人で乗り込んで移動開始。
「洞窟……、魔王城には堂々と正面から入るからね。
僕が先頭を歩きりんごが真ん中。うしろにサターヌだ」
「こんな気持ち久々だなぁ。良い緊張だっ」
「はしゃぐな。今回は戦いを楽しみに来たんじゃないんだぞ」
「分かってる。悪いやつを狩るんだ。ふふ……生きてること後悔させてやる」
「サターヌ?」
「おいでりんご。もう少しおねんねしてようね」
「で、でも戦うんだよ」
「休憩は大事だ。ほらお膝においで」
魔王戦の前に膝まくらで軽く寝る雑魚モンスターが居て良いのだろうか。
でも断りきれなくて結局サタ―ヌの膝枕で寝転ぶりんご。
「……良いのかなぁ」
中々詳しく教えてもらえないのでエノクの城にあった古書を解読した所。
この世界に置いて魔王と呼べるほどの魔物は複数伝説を残しているという。
今回はそのうちの1つに挑む訳だ。
まず自分は選ばれし勇者ではないし自分の村を焼かれた村人でもなければ
お姫様が攫われた王族などの追い詰められた立場でもない。
だからこのパーティはすべてを掛けて戦うという風ではないのかも。
りんごの無駄な正義感に付き合ってくれているだけ。
時間をかけて世界を旅しながら悪を倒して世直し!最後は魔王討伐!という
当初のイメージは完全に崩れている。
こんな爆速で会いに行けて戦える魔王なんてどんな相手なんだろう。
眠りそうで眠れない中途半端な時間が過ぎて唐突に馬車は止まる。
「ここからは歩く。戦闘も覚悟して欲しい。特にりんご」
「はいっ」
「うん。可愛い」
「……へっ」
もっと何か実践的なアドバイスとか気合を入れるとか無いんですか?
サターヌとは何かコソコソと打ち合わせをしているようだった。
でもりんごには頑張ろうとか無理するなとかその手の話ししかしてくれない。
戦略的な話しをしても無駄なのは自覚しているけれど、少し寂しい。
馬車を降りると目の前には枯れ果てた岩肌が刺々しい山がそびえ立ち。
登っていった先に入り口と思われる大きな穴がポッカリと口のように開いている。
キフナ山と言うらしい。そう言えば地名など詳しい話は端折られたような。
空は一段と暗くなり風は冷たく何だか息が少々苦しい気もする。
キトラの姿はないが待つ事はしないでそのまま中へと進む。
「やけに魔物が少ない」
「私らの気配でも察知した?」
「どうだろうな。とりあえず先を急ごう」
場所柄か小型は居ないようで中型から大型の魔物との戦闘が幾つか発生。
エノクの槍であっという間に屠られるかサターヌの魔術に燃えて灰になった。
経験ゼロのりんごは短剣を握ってアタフタする間に全ては終わってしまう。
「……ここが魔王の城」
といってもまだ洞窟の入り口。この中にきっと立派な城があるのだろう。
入り口に1歩踏み込むと吹きすさむ風がまるで獣の咆哮のように聞こえる。
とても怖い。このまま馬車まで戻って震えていたいくらいに。
だけどここまで来て帰る事は絶対にしないと決めた。
「その辺の雑魚なら逃げるよ。強くなったねりんご」
「サターヌ。怖いけど1人じゃないから」
「気を引き締めて。先へ進もうか」
「はい」
今までの弱い自分を変えるためにもりんごは魔王の元へ進む。
例え自分だけ木端微塵になっても次は無かったとしても。
暗い洞窟を言われた通りの順番で歩いて行く。灯りはサターヌが用意して。
奥へ奥へと進む中で広い場所へと出た。
まさかこんなすぐに魔王のハズはないからここで四天王戦か?
「やっと来よったか。待ちわびたぞ」
ボス戦前のような台詞と共に現れたのは寝そべっている豊満な女性の顔。
真っ黒な髪の毛をてっぺんで大きな団子にして蛇のような蜘蛛のようなとにかく
気味の悪いデザインの黄金と宝石で装飾された髪留めをしていた。
口からはエノクのようなギザギザの歯と長い舌がニョロリ。
それ以上にどうやってここに入ってきたのかと思うくらいの巨大さで
りんごたちにはまだ上半身しか見えていない。
妊娠中なのかお腹が尋常でないくらい膨れていてモゴモゴ動いている。
もしかしてここでもうすぐ出産が行われる?
「エノク。何でここに夜母が居るんだよ」
「僕に言われても」
今までは余裕そうにしていた2人が明らかに動揺している。
まさか四天王じゃなくて魔王が直接迎撃に来た?
「暇すぎてここら一帯の魔物を食い尽くしたわ」
ハハハ、と無邪気に笑って未だモゴモゴ動いているお腹を撫でた。
「……お、終わった」
少しくらいの見せ場は欲しかったけれどこれは無慈悲にあっけなく死ぬやつ。
雑魚から真っ先に粉微塵になるやつ。
りんごは覚悟した。
まるで昨日のことは夢だったかのようで寝起きのりんごはぼんやりする。
確か夜の川に行ってエノクの正体を見てぐるぐる巻きにされて。
人魚?蛇?なんだろうとにかく長くてヌルっとしてて心地よく、ギザギザ。
「今から敵陣へ乗り込むんだからしっかりしな」
「サターヌ……」
「寝ぼけてる顔も可愛いいけど。魔王はすぐそこだよ」
「……うんっ」
そんな事よりもこれから戦いに出るのだから気を引き締めなければ。
慌てて朝食を食べて身なりを整えて。自分の綺麗な武器を確認してニヤニヤして。
他3人も準備を終えたようなので馬車に乗り込む。
「俺は別行動で行く。乗り物って好きじゃなくて」
「一緒に行動したほうが」
「君は自分の心配をするんだ」
「はい」
キトラだけは別行動になるのは馬車が狭いからりんごを思ってか、
それとも単純に狭苦しいのが嫌なのか。
彼を置いた3人で乗り込んで移動開始。
「洞窟……、魔王城には堂々と正面から入るからね。
僕が先頭を歩きりんごが真ん中。うしろにサターヌだ」
「こんな気持ち久々だなぁ。良い緊張だっ」
「はしゃぐな。今回は戦いを楽しみに来たんじゃないんだぞ」
「分かってる。悪いやつを狩るんだ。ふふ……生きてること後悔させてやる」
「サターヌ?」
「おいでりんご。もう少しおねんねしてようね」
「で、でも戦うんだよ」
「休憩は大事だ。ほらお膝においで」
魔王戦の前に膝まくらで軽く寝る雑魚モンスターが居て良いのだろうか。
でも断りきれなくて結局サタ―ヌの膝枕で寝転ぶりんご。
「……良いのかなぁ」
中々詳しく教えてもらえないのでエノクの城にあった古書を解読した所。
この世界に置いて魔王と呼べるほどの魔物は複数伝説を残しているという。
今回はそのうちの1つに挑む訳だ。
まず自分は選ばれし勇者ではないし自分の村を焼かれた村人でもなければ
お姫様が攫われた王族などの追い詰められた立場でもない。
だからこのパーティはすべてを掛けて戦うという風ではないのかも。
りんごの無駄な正義感に付き合ってくれているだけ。
時間をかけて世界を旅しながら悪を倒して世直し!最後は魔王討伐!という
当初のイメージは完全に崩れている。
こんな爆速で会いに行けて戦える魔王なんてどんな相手なんだろう。
眠りそうで眠れない中途半端な時間が過ぎて唐突に馬車は止まる。
「ここからは歩く。戦闘も覚悟して欲しい。特にりんご」
「はいっ」
「うん。可愛い」
「……へっ」
もっと何か実践的なアドバイスとか気合を入れるとか無いんですか?
サターヌとは何かコソコソと打ち合わせをしているようだった。
でもりんごには頑張ろうとか無理するなとかその手の話ししかしてくれない。
戦略的な話しをしても無駄なのは自覚しているけれど、少し寂しい。
馬車を降りると目の前には枯れ果てた岩肌が刺々しい山がそびえ立ち。
登っていった先に入り口と思われる大きな穴がポッカリと口のように開いている。
キフナ山と言うらしい。そう言えば地名など詳しい話は端折られたような。
空は一段と暗くなり風は冷たく何だか息が少々苦しい気もする。
キトラの姿はないが待つ事はしないでそのまま中へと進む。
「やけに魔物が少ない」
「私らの気配でも察知した?」
「どうだろうな。とりあえず先を急ごう」
場所柄か小型は居ないようで中型から大型の魔物との戦闘が幾つか発生。
エノクの槍であっという間に屠られるかサターヌの魔術に燃えて灰になった。
経験ゼロのりんごは短剣を握ってアタフタする間に全ては終わってしまう。
「……ここが魔王の城」
といってもまだ洞窟の入り口。この中にきっと立派な城があるのだろう。
入り口に1歩踏み込むと吹きすさむ風がまるで獣の咆哮のように聞こえる。
とても怖い。このまま馬車まで戻って震えていたいくらいに。
だけどここまで来て帰る事は絶対にしないと決めた。
「その辺の雑魚なら逃げるよ。強くなったねりんご」
「サターヌ。怖いけど1人じゃないから」
「気を引き締めて。先へ進もうか」
「はい」
今までの弱い自分を変えるためにもりんごは魔王の元へ進む。
例え自分だけ木端微塵になっても次は無かったとしても。
暗い洞窟を言われた通りの順番で歩いて行く。灯りはサターヌが用意して。
奥へ奥へと進む中で広い場所へと出た。
まさかこんなすぐに魔王のハズはないからここで四天王戦か?
「やっと来よったか。待ちわびたぞ」
ボス戦前のような台詞と共に現れたのは寝そべっている豊満な女性の顔。
真っ黒な髪の毛をてっぺんで大きな団子にして蛇のような蜘蛛のようなとにかく
気味の悪いデザインの黄金と宝石で装飾された髪留めをしていた。
口からはエノクのようなギザギザの歯と長い舌がニョロリ。
それ以上にどうやってここに入ってきたのかと思うくらいの巨大さで
りんごたちにはまだ上半身しか見えていない。
妊娠中なのかお腹が尋常でないくらい膨れていてモゴモゴ動いている。
もしかしてここでもうすぐ出産が行われる?
「エノク。何でここに夜母が居るんだよ」
「僕に言われても」
今までは余裕そうにしていた2人が明らかに動揺している。
まさか四天王じゃなくて魔王が直接迎撃に来た?
「暇すぎてここら一帯の魔物を食い尽くしたわ」
ハハハ、と無邪気に笑って未だモゴモゴ動いているお腹を撫でた。
「……お、終わった」
少しくらいの見せ場は欲しかったけれどこれは無慈悲にあっけなく死ぬやつ。
雑魚から真っ先に粉微塵になるやつ。
りんごは覚悟した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
男女比バグった世界で美女チート無双〜それでも私は冒険がしたい!〜
具なっしー
恋愛
日本で暮らしていた23歳喪女だった女の子が交通事故で死んで、神様にチートを貰い、獣人の世界に転生させられた!!気づいたらそこは森の中で体は15歳くらいの女の子だった!ステータスを開いてみるとなんと白鳥兎獣人という幻の種族で、白いふわふわのウサ耳と、神秘的な白鳥の羽が生えていた。そしてなんとなんと、そこは男女比が10:1の偏った世界で、一妻多夫が普通の世界!そんな世界で、せっかく転生したんだし、旅をする!と決意した主人公は絶世の美女で…だんだん彼女を囲う男達が増えていく話。
主人公は見た目に反してめちゃくちゃ強いand地球の知識があるのでチートしまくります。
みたいなはなし
※表紙はAIです
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる