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望み
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「…………ごめんね、ハイノ。また、急に倒れちゃったみたいで」
「謝らないで、エルナ。それより、目を覚まして本当に良かった。……本当に、良かった……」
「……うん、ありがとハイノ」
それから、数時間後。
総合病院の一室――以前と同じ病院の一室にて、力なく微笑みそう口にするエルナ。だけど、謝らないでほしい。言うまでもなく、エルマは何も悪くないんだから。
あの時――あの帰り道、ふっと倒れたエルナ。以前のように、苦しそうにする様子もなく本当に突然――まるで、時間が止まったかのように。
だけど、ぼおっとしてる場合じゃない。すぐに救急車に来てもらい、エルナを病院に――そして恐怖をどうにか抑え、ただ一心に祈り……そして、少し前に目を覚ましてくれたというわけで。……いや、もちろんぼくの祈りのお陰で覚ましたわけじゃないけども。懸命にエルナを助けようとしてくれた皆さん――そして、エルナ自身の強い意志のお陰だろう。
その後ほどなく、パパとママも病室の中へ。目覚めたエルナを見るやいなや、涙を流しながらエルナをぎゅっと抱きしめるパパとママ。そして、そんな二人に応えるようにエルナも二人をぎゅっと抱きしめて……うん、ほんとに良かった。
それからしばらく、今日のこと――コンクールのことも含め四人で楽しくお話を。優勝したことなんて、もうすっかり忘れてしまっていたけれど……それでも、パパもママも喜んでくれたし……何より、エルナが自分のことのように嬉しそうに話してくれるのがぼくも本当に嬉しくて。
そして、すっかり外も暗くなった頃――再び二人きりになった病室で、穏やかに微笑むエルナ。そして、ゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。
「……ごめんね、ハイノ。もう、お別れかな」
『……実はね、ハイノ。わたしね……もう、永くは生きられないと思うの』
『………………え?』
あれは、一ヶ月ほど前のこと。
もう一つ、聞いてほしいことがあるの――この病院の一室にて、そんな前置きの後ゆっくりと切り出したエルナの言葉。だけど、最初は何を言っているのか分からなかった。……いや、分かりたくなかった。ただの聞き間違い――あるいは、冗談だと思いたかったのだろう。
――だけど、聞き間違いでもなく冗談でもなく。そもそも、エルナがこんな冗談を言うわけもなく。
それから、続けてゆっくりと言葉を続けるエルナ。生来、難病を抱えていたこと。少しでも生命を永らえらせるため、本来なら入院していなければならなかったことを。
それでも、エルナは望んだ。外の世界で、みんなと同じようで生きていくことを。わたしが必死でお願いしたことだから、どうかパパとママを責めないでほしい――そう、本当に念を押すように言うエルナ。……でも、心配しなくていいのにね、そんなこと。エルナ自身を除けば、パパとママが一番辛かったはず。それでも、エルナの思いを一番に尊重して……流石に、それくらいのことは分かってるつもりだから。
「謝らないで、エルナ。それより、目を覚まして本当に良かった。……本当に、良かった……」
「……うん、ありがとハイノ」
それから、数時間後。
総合病院の一室――以前と同じ病院の一室にて、力なく微笑みそう口にするエルナ。だけど、謝らないでほしい。言うまでもなく、エルマは何も悪くないんだから。
あの時――あの帰り道、ふっと倒れたエルナ。以前のように、苦しそうにする様子もなく本当に突然――まるで、時間が止まったかのように。
だけど、ぼおっとしてる場合じゃない。すぐに救急車に来てもらい、エルナを病院に――そして恐怖をどうにか抑え、ただ一心に祈り……そして、少し前に目を覚ましてくれたというわけで。……いや、もちろんぼくの祈りのお陰で覚ましたわけじゃないけども。懸命にエルナを助けようとしてくれた皆さん――そして、エルナ自身の強い意志のお陰だろう。
その後ほどなく、パパとママも病室の中へ。目覚めたエルナを見るやいなや、涙を流しながらエルナをぎゅっと抱きしめるパパとママ。そして、そんな二人に応えるようにエルナも二人をぎゅっと抱きしめて……うん、ほんとに良かった。
それからしばらく、今日のこと――コンクールのことも含め四人で楽しくお話を。優勝したことなんて、もうすっかり忘れてしまっていたけれど……それでも、パパもママも喜んでくれたし……何より、エルナが自分のことのように嬉しそうに話してくれるのがぼくも本当に嬉しくて。
そして、すっかり外も暗くなった頃――再び二人きりになった病室で、穏やかに微笑むエルナ。そして、ゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。
「……ごめんね、ハイノ。もう、お別れかな」
『……実はね、ハイノ。わたしね……もう、永くは生きられないと思うの』
『………………え?』
あれは、一ヶ月ほど前のこと。
もう一つ、聞いてほしいことがあるの――この病院の一室にて、そんな前置きの後ゆっくりと切り出したエルナの言葉。だけど、最初は何を言っているのか分からなかった。……いや、分かりたくなかった。ただの聞き間違い――あるいは、冗談だと思いたかったのだろう。
――だけど、聞き間違いでもなく冗談でもなく。そもそも、エルナがこんな冗談を言うわけもなく。
それから、続けてゆっくりと言葉を続けるエルナ。生来、難病を抱えていたこと。少しでも生命を永らえらせるため、本来なら入院していなければならなかったことを。
それでも、エルナは望んだ。外の世界で、みんなと同じようで生きていくことを。わたしが必死でお願いしたことだから、どうかパパとママを責めないでほしい――そう、本当に念を押すように言うエルナ。……でも、心配しなくていいのにね、そんなこと。エルナ自身を除けば、パパとママが一番辛かったはず。それでも、エルナの思いを一番に尊重して……流石に、それくらいのことは分かってるつもりだから。
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