神様へと祈りを込めて

暦海

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……うん、まあいっか。

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「――いやー、ごめんね陶夜とうやくん。正直、私もこうなるなんて思ってなくて」
「あっ、いえお気になさらず! ……ですが、結局どのような理由だったのでしょうね」


 それから、ほどなくして。
 柔らかな陽光照らす縁側にて、二人腰掛けそんな会話を交わす。一週間前にお邪魔した、風情豊かな依月神社の縁側にて。

 さて、彼女が言っているのは、もちろん例の事態――あれ以降、あの不思議な路地裏が現れなかったという事態で。

 まあ、彼女にとっても予想外だったことは何も驚くことじゃない。それは、あの日僕を見送ってくれた際の様子からも明らかで――


「……でも、たぶんだけど……周りに人がいたら出てこないんじゃないかな、それ」
「…………へっ?」

 卒然、隣から届いた言葉にポカンとする僕。……えっと、それはどういう…………あっ。

「……やっぱり、覚えがあるみたいだね」
「……はい、そう言えば」

 すると、僕の反応から察したようで、穏やかな微笑でそう口にする風奈ふうなさん。……そう言えば、そうだったかも。ここ一週間……というか、その期間ときに限らず周囲に人がいなかったことは恐らくほとんどない。普段から閑散としたこの辺りではあるけれど……少なくとも僕の通る時間に、実際に人ひとりの姿もないことはきっとほぼなくて。そして、言われてみれば……確かに、あの日は本当に人ひとりいなかった気が――


 ……だだ、それはそれとして――

「……その、風奈さん。仰ってることは理解できるのですが……ですが、あの日まで一度もあの路地裏を見ていないというのは、少しばかり疑問の残る点でして……」

 そう、躊躇いがちに尋ねてみる。いや、決して好き好んで異を唱えたいわけではないんだけど……ただ、どうしても些かの疑問は残ってしまうわけで。人の全くいないタイミングがそうそうないといっても、あの日がそうだったように全くないわけじゃない。なので、見落としていたわけじゃなければ、流石にあの日が初めてというのは少し――

「……ああ、それはたぶん、私がこっちに来たのがわりと最近だからかな。確か、一ヶ月前くらい」
「……そう、なのですね」

 すると、仄かに微笑み答える風奈さん。一ヶ月……うん、それならあの日が初めてでも不思議じゃない。……ない、のだけど――

「ん? どうかした陶夜くん」
「……あ、いえ、なんでも……」

 そう、きょとんと首を傾げ尋ねる風奈さん。そんな彼女に、たどたどしく答える僕。……うん、まあいっか。




 

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