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ほんとに良かったの?
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「……えっと、改めてだけど宜しくね、深影さん」
「はい、宜しくお願い致します、鈴珠さん」
それから、一時間ほど経て。
そう、何ともたどたどしく告げる。そんな私に、恭しく答える端麗な男性。……うん、いつもよりいっそう緊張する。面食いのつもりはないけど、それでもこれほどに綺麗なお客さまは初めて……と言うか、お客さまじゃなくても見たことないし。
さて、今いるのは客室の一角――先ほど酒宴を終え、これからこちらで床を共にするわけで。……ふぅ、深呼吸、深呼吸。
……さて、どうしよう。いや、どうしようも何もすることは決まってるんだけど……その、もう少し緊張が解れてから……なので――
「……あの、深影さんって今いくつ?」
……うん、我ながら芸がなさすぎる。いや、私に小粋なトークなんて期待してないだろうけど、それにしてもあまりに普通すぎる。そもそも、会ってからもう一時間も経ってるのになんで今更という話で。
……でも、これはこれで気になっていたことではあって。見た感じだけど、恐らくは――
「……はい、恥ずかしながら31歳です」
「……そう、なんですね。あっ、私は15歳で」
「……そう、なのですね」
……30、越えてるんだ。正直、遥かに若い……それこそ、どれだけ上に見積もっても20代半ばくらいかと。もちろん、だからと言って何ら問題があるわけじゃないけど。あと、当然のこと何ら恥ずかしいこともないけど。
……ところで、それはそれとして――
「……あの、深影さん。ほんとに今更だけど、ほんとに良かったの? さっきの宴会で、何も食べても飲んでもないでしょ?」
「……お気遣い、ありがとうございます鈴珠さん。ですが、何も問題はありません。鈴珠さんこそ、何も召し上がっていないのではないですか?」
「ああ、私は良いの! そもそも、遊女側はあの席じゃ何も食べたりしちゃいけないことになってるし!」
「……そう、なのですか……? ……それは、大変お気の毒です」
「あっ、ううん気にしないで!」
気になっていたので尋ねてみるも、逆に気を遣われてしまい申し訳なくなってしまう。……うん、優しいなぁ深影さん。
ちなみに、今言った通り遊女側は宴席では食べたりしてはいけないことになっていて。なので、どうしても食べたいのならお客さまが眠った後に残った分をということになるのだけど……うん、いらない。だって、美味しくないし。こう言っては少しだけ申し訳ないけど……正直、ほんとに美味しくない。その上、お酒は相場の二倍くらいの額で提供しているというなかなかのぼったくり具合で。……うん、そう思えば深影さんも食べなくて正解だったのかも……いや、そうでもないかな? どっちにしろ、代金は同じだけ取られるんだし。
まあ、それはともあれ……うん、そろそろだよね。話をしている内に、少し緊張も解けて……もないかもしれないけど、これ以上こちらの都合で延ばすわけにもいかな――
「――ときに、鈴珠さん。今更ではありますが、僕に対しては何一つなさる必要もありません」
「…………へっ?」
「はい、宜しくお願い致します、鈴珠さん」
それから、一時間ほど経て。
そう、何ともたどたどしく告げる。そんな私に、恭しく答える端麗な男性。……うん、いつもよりいっそう緊張する。面食いのつもりはないけど、それでもこれほどに綺麗なお客さまは初めて……と言うか、お客さまじゃなくても見たことないし。
さて、今いるのは客室の一角――先ほど酒宴を終え、これからこちらで床を共にするわけで。……ふぅ、深呼吸、深呼吸。
……さて、どうしよう。いや、どうしようも何もすることは決まってるんだけど……その、もう少し緊張が解れてから……なので――
「……あの、深影さんって今いくつ?」
……うん、我ながら芸がなさすぎる。いや、私に小粋なトークなんて期待してないだろうけど、それにしてもあまりに普通すぎる。そもそも、会ってからもう一時間も経ってるのになんで今更という話で。
……でも、これはこれで気になっていたことではあって。見た感じだけど、恐らくは――
「……はい、恥ずかしながら31歳です」
「……そう、なんですね。あっ、私は15歳で」
「……そう、なのですね」
……30、越えてるんだ。正直、遥かに若い……それこそ、どれだけ上に見積もっても20代半ばくらいかと。もちろん、だからと言って何ら問題があるわけじゃないけど。あと、当然のこと何ら恥ずかしいこともないけど。
……ところで、それはそれとして――
「……あの、深影さん。ほんとに今更だけど、ほんとに良かったの? さっきの宴会で、何も食べても飲んでもないでしょ?」
「……お気遣い、ありがとうございます鈴珠さん。ですが、何も問題はありません。鈴珠さんこそ、何も召し上がっていないのではないですか?」
「ああ、私は良いの! そもそも、遊女側はあの席じゃ何も食べたりしちゃいけないことになってるし!」
「……そう、なのですか……? ……それは、大変お気の毒です」
「あっ、ううん気にしないで!」
気になっていたので尋ねてみるも、逆に気を遣われてしまい申し訳なくなってしまう。……うん、優しいなぁ深影さん。
ちなみに、今言った通り遊女側は宴席では食べたりしてはいけないことになっていて。なので、どうしても食べたいのならお客さまが眠った後に残った分をということになるのだけど……うん、いらない。だって、美味しくないし。こう言っては少しだけ申し訳ないけど……正直、ほんとに美味しくない。その上、お酒は相場の二倍くらいの額で提供しているというなかなかのぼったくり具合で。……うん、そう思えば深影さんも食べなくて正解だったのかも……いや、そうでもないかな? どっちにしろ、代金は同じだけ取られるんだし。
まあ、それはともあれ……うん、そろそろだよね。話をしている内に、少し緊張も解けて……もないかもしれないけど、これ以上こちらの都合で延ばすわけにもいかな――
「――ときに、鈴珠さん。今更ではありますが、僕に対しては何一つなさる必要もありません」
「…………へっ?」
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