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09-13 褒賞(三)*

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「本当に、申し訳ございませんでした……」


 顔を真っ青にして謝罪を口にするヘニルを見たセーリスは、一拍置いて噴き出す。

 時刻は既に朝だ。戦場から引き摺ってきた興奮も綺麗に発散できたらしく、非常に落ち着いている。
 だが冷静になった彼は、自分がしたことと無残な姿になったベッドから自責の念が噴出してしまったようだった。過去のことといい、ヘニルという男は存外責任感が強いのだと、そうセーリスは思った。

 昨夜はヘニルの興奮のままに荒々しく抱かれた。正直セーリスはそれくらいしか覚えていない。途中で気絶してしまったらしかったからだ。だが意識を失った後もがっつかれたらしく、体も軋む上に下半身は彼の吐き出したものでベタベタだった。

 そしてベッド。強すぎる欲求に呑まれながらもセーリスを傷付けないよう必死だったのだろう。力んだ左手が作った穴は一つや二つではなかった。これを見たサーシィがどんな反応をするかを考えて、彼女は苦笑する。


「まさか、まさかこんなに前が見えなくなるとは思っても……」
「ふふ、別に気にしてないわよ。ベッドに関してはまぁ、サーシィに頭を下げないといけないけど。ほら、顔あげる」


 俯くヘニルの頬に触れ、顔を上げさせる。とんでもないことをやらかしたと不安そうにしている彼を抱きしめて優しく頭を撫でてやれば、何も言わずに彼もセーリスを抱きしめる。


「これはあんたへの褒賞なんだから。それに全然痛くなかったし、あんだけ暴走してても私を傷付けないように必死で堪えてたの、ちゃんと分かってるわ」
「……はい」
「それに……ヘニルに抱かれるのが嬉しくて、私も……、幸せだったよ」


 素直に喜びを口にすれば、じわりとヘニルは頬を赤らめる。恋しそうに顔を近づけて唇を合わせ、吐息を混じらせながら口付けに没頭していく。舌先を触れ合わせたところで、歯止めが効かなくなりそうなのを感じてゆっくりと離れる。


「ん……これで、ヘニルの欲求をずっと放置するとどうなるかよく分かったわね」
「そうですねぇ。あ、じゃあこれから毎日通って、抱いてもいいってことですか?」
「そんなわけないでしょ」


 あっさりと否定すれば不満そうにヘニルは唇を尖らせる。
 時計を再度確認すれば、サーシィが朝の準備をしに来るのにも少し早い。ベッドは最早手の施しようがないとはいえ、身体を洗う暇くらいはありそうだ。


「ぼーっとしてるのも何だし、湯浴みでもしましょうか」
「えっ、一緒にお風呂ですか……!」


 嬉しそうに笑みを綻ばせるヘニルに彼女もつられて笑う。

 普段は決まった時間のみ使える別の階の広い浴場を使っているのだが、今はもう湯も抜かれて掃除が始まっているかもしれない。軽く洗う程度なら、部屋に備えられた浴室で十分だろう。
 少しだけ痛む身体を引き摺りながら浴室の前まで来ると、ヘニルは何かに気付いたらしく硬直する。どうしたのかと問い掛ければ、困ったような顔をして右腕をさすった。


「あー、やっぱ俺は……」


 恐らくは傷だらけの腕をセーリスに見せたくないと言っているのだろう。


「私、あんたが起きる前にもう見てるわよ。もっと酷いやつ」
「うっ」
「それに兵士の傷を看たりしてたから慣れてる。まぁ、どうしても嫌っていうなら無理強いはしないけど」


 そこまで言えばヘニルは承知してくれる。一応、一緒に入浴はしたいようなのだ。


「にしても、さすがはお姫様の部屋。広いしなんでもありますねぇ」
「ヘニルの部屋ってそんなに狭かったっけ?」
「一兵卒と変わらないですからね」


 神族と言っても隔離はされているが、与えられる施設そのものは特別でもなんでもないらしい。そこはデルメルらしい取り決めだ。圧政とも言えるかもしれないが。


「セーリス様……」
「ん」


 浴室に入って浴槽に湯を張る準備をしていると後ろから抱きしめられ、彼の指が精が溢れそうな秘裂を優しく弄っていく。掻き出そうと中に挿しこんで、じゅぶじゅぶといやらしい音を立てながら内壁を擦り始める。


「っん、はぁ……んー」


 いつものように後処理をする指はぐいぐいと良い場所を押し上げながら蠢く。それに敏感に反応を示しながら、傷痕だらけの彼の右腕を抱きしめ、優しく撫でてやる。


「……かわいい」
「あ、んぅっ、あいかわらず、変なとこ触っ、て……」
「だって、ここ弄ってる時の姫様はとっても可愛らしいですから。我慢できないんです」


 愛おしそうに頬を寄せるヘニルに彼女も幸せそうに笑う。もう一度キスを交わせば、今度は遠慮することなく舌を絡ませ合う。


「んぅ……ふ、あ……っんん」
「んむっ……はぁ、結構出したはずなんですけど、また勃ってきました……んっ、セーリス様、挿れちゃだめ、ですか……?」


 返事をする前に口を塞がれ、唾液を混じらせながら何度も舌を舐め回される。彼の舌は歯列をそっとなぞって、同時にふわふわとした唇の感触を楽しむように自分のそれで啄む。

 セーリスは片手を後ろに回し、臀部に押し付けられている屹立に触れる。ぬるぬるとした先走りを引き延ばすように鈴口に指を這わせ、ゆっくりと擦る手の動きを大きくしていく。くびれた場所に指の輪を引っ掛ければぴくりと彼の腰が揺れて、キスの合間に小さな嬌声が漏れた。
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