99 / 120
09-13 褒賞(三)*
「本当に、申し訳ございませんでした……」
顔を真っ青にして謝罪を口にするヘニルを見たセーリスは、一拍置いて噴き出す。
時刻は既に朝だ。戦場から引き摺ってきた興奮も綺麗に発散できたらしく、非常に落ち着いている。
だが冷静になった彼は、自分がしたことと無残な姿になったベッドから自責の念が噴出してしまったようだった。過去のことといい、ヘニルという男は存外責任感が強いのだと、そうセーリスは思った。
昨夜はヘニルの興奮のままに荒々しく抱かれた。正直セーリスはそれくらいしか覚えていない。途中で気絶してしまったらしかったからだ。だが意識を失った後もがっつかれたらしく、体も軋む上に下半身は彼の吐き出したものでベタベタだった。
そしてベッド。強すぎる欲求に呑まれながらもセーリスを傷付けないよう必死だったのだろう。力んだ左手が作った穴は一つや二つではなかった。これを見たサーシィがどんな反応をするかを考えて、彼女は苦笑する。
「まさか、まさかこんなに前が見えなくなるとは思っても……」
「ふふ、別に気にしてないわよ。ベッドに関してはまぁ、サーシィに頭を下げないといけないけど。ほら、顔あげる」
俯くヘニルの頬に触れ、顔を上げさせる。とんでもないことをやらかしたと不安そうにしている彼を抱きしめて優しく頭を撫でてやれば、何も言わずに彼もセーリスを抱きしめる。
「これはあんたへの褒賞なんだから。それに全然痛くなかったし、あんだけ暴走してても私を傷付けないように必死で堪えてたの、ちゃんと分かってるわ」
「……はい」
「それに……ヘニルに抱かれるのが嬉しくて、私も……、幸せだったよ」
素直に喜びを口にすれば、じわりとヘニルは頬を赤らめる。恋しそうに顔を近づけて唇を合わせ、吐息を混じらせながら口付けに没頭していく。舌先を触れ合わせたところで、歯止めが効かなくなりそうなのを感じてゆっくりと離れる。
「ん……これで、ヘニルの欲求をずっと放置するとどうなるかよく分かったわね」
「そうですねぇ。あ、じゃあこれから毎日通って、抱いてもいいってことですか?」
「そんなわけないでしょ」
あっさりと否定すれば不満そうにヘニルは唇を尖らせる。
時計を再度確認すれば、サーシィが朝の準備をしに来るのにも少し早い。ベッドは最早手の施しようがないとはいえ、身体を洗う暇くらいはありそうだ。
「ぼーっとしてるのも何だし、湯浴みでもしましょうか」
「えっ、一緒にお風呂ですか……!」
嬉しそうに笑みを綻ばせるヘニルに彼女もつられて笑う。
普段は決まった時間のみ使える別の階の広い浴場を使っているのだが、今はもう湯も抜かれて掃除が始まっているかもしれない。軽く洗う程度なら、部屋に備えられた浴室で十分だろう。
少しだけ痛む身体を引き摺りながら浴室の前まで来ると、ヘニルは何かに気付いたらしく硬直する。どうしたのかと問い掛ければ、困ったような顔をして右腕をさすった。
「あー、やっぱ俺は……」
恐らくは傷だらけの腕をセーリスに見せたくないと言っているのだろう。
「私、あんたが起きる前にもう見てるわよ。もっと酷いやつ」
「うっ」
「それに兵士の傷を看たりしてたから慣れてる。まぁ、どうしても嫌っていうなら無理強いはしないけど」
そこまで言えばヘニルは承知してくれる。一応、一緒に入浴はしたいようなのだ。
「にしても、さすがはお姫様の部屋。広いしなんでもありますねぇ」
「ヘニルの部屋ってそんなに狭かったっけ?」
「一兵卒と変わらないですからね」
神族と言っても隔離はされているが、与えられる施設そのものは特別でもなんでもないらしい。そこはデルメルらしい取り決めだ。圧政とも言えるかもしれないが。
「セーリス様……」
「ん」
浴室に入って浴槽に湯を張る準備をしていると後ろから抱きしめられ、彼の指が精が溢れそうな秘裂を優しく弄っていく。掻き出そうと中に挿しこんで、じゅぶじゅぶといやらしい音を立てながら内壁を擦り始める。
「っん、はぁ……んー」
いつものように後処理をする指はぐいぐいと良い場所を押し上げながら蠢く。それに敏感に反応を示しながら、傷痕だらけの彼の右腕を抱きしめ、優しく撫でてやる。
「……かわいい」
「あ、んぅっ、あいかわらず、変なとこ触っ、て……」
「だって、ここ弄ってる時の姫様はとっても可愛らしいですから。我慢できないんです」
愛おしそうに頬を寄せるヘニルに彼女も幸せそうに笑う。もう一度キスを交わせば、今度は遠慮することなく舌を絡ませ合う。
「んぅ……ふ、あ……っんん」
「んむっ……はぁ、結構出したはずなんですけど、また勃ってきました……んっ、セーリス様、挿れちゃだめ、ですか……?」
返事をする前に口を塞がれ、唾液を混じらせながら何度も舌を舐め回される。彼の舌は歯列をそっとなぞって、同時にふわふわとした唇の感触を楽しむように自分のそれで啄む。
セーリスは片手を後ろに回し、臀部に押し付けられている屹立に触れる。ぬるぬるとした先走りを引き延ばすように鈴口に指を這わせ、ゆっくりと擦る手の動きを大きくしていく。くびれた場所に指の輪を引っ掛ければぴくりと彼の腰が揺れて、キスの合間に小さな嬌声が漏れた。
あなたにおすすめの小説
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました