私を調べてどうするつもり?

上条 樹

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ため息

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 数日後、嘉彦の葬儀が行われた。会社から葬儀に出席するものも多く、社名の入った花も飾られている。
 彼の死因のついては、心不全ということであった。葬儀場にすすり泣く声も聞こえる。

 愛美は、明美と刈谷の三人で出席した。明美は会社で見せている飾りっけのない姿であった。彼女達を知る同僚たちは、愛美と明美が一緒にいる事、そpして同行する男が一体誰なのか疑心暗鬼の視線で見つめていた。

「美和先輩の姿が見えないけれど・・・・・・・」愛美は、式場の中を見渡したが、彼女の姿は見当たらなあった。

「今日は気分が悪いから欠席するそうよ」明美は小さな鞄の中から香典を取り出して、受付に差し出してから記帳を済ませた。愛美も彼女の習うように名前を記入した。刈谷は距離を置いてその様子を眺めている。

「刈谷さんは、記帳しないの?」愛美は彼の元に軽く駆け寄って来て聞いた。

「ああ、僕は直接に知り合いではないし・・・・・・・、後でややこしい事になっても困るし」言いながら軽く腕組をした。香典を払うのを渋っているのかと思ったがそうではないらしい。

「やっぱり、美和先輩欠席だって・・・・・・・」彼女のやっぱりという言葉には、この一連の騒動の元凶は彼女と決めつけているようであった。

「えーと、僕の死んだ爺さんの言葉なんですけどね・・・・・・・・」刈谷は愛美の目をジッと見る。

「えっ!?」その真っすぐな視線に彼女は頬を赤くする。

「三年探してから、人を疑え・・・・・・・・、てね。人を疑うのは簡単なんですけど、それが間違っていたらその人との人間関係は壊れますから、ちゃんと調べましょうね」まるで、子供に言い聞かすようないい方であった。愛美は、なぜか恥ずかしくなった。あんなに信頼していた、先輩の美和の事を簡単に疑ってしまった事。この刈谷という男は、抜けてはいるが冷静に状況を判断しているのだなと改めて感心した。

「なにしてるの二人で、葬儀が始まるわよ」明美が愛美の服の裾を引っ張る。

「あっ、ごめん」愛美は、彼女に連れられて並べられた会社関係者が座るパイプ椅子にスカートの裾を直しながら、明美と並んで座った。

「よく来られたな・・・・・・・、それも男連れで・・・・・・・・」小さな声が聞こえる。どうやら男というのは刈谷の事であるらしい。愛美と嘉彦を恋人同士と勘違いしている社員は多いようだ。どうやら、嘉彦が自ら発信局のように言いまくっていたらしい。彼を嫌いになったのは、それも一因であった。

「ふう・・・・・・・・」愛美はため息をつく。

「大丈夫?」明美が心配そうにのぞき込む。

「ええ、大丈夫・・・・・・・。ありがとう」愛美は少しだけニコリと笑顔を見せた。

 刈谷は、式場の中には入らず外から、腕気味をしたまま、参列者たちの様子をずっと眺めていた。「あぁ・・・・・・・・・、腹が減ったな」誰に言うともなくその言葉が、口から零れ落ちた。
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