32 / 33
ため息
しおりを挟む
数日後、嘉彦の葬儀が行われた。会社から葬儀に出席するものも多く、社名の入った花も飾られている。
彼の死因のついては、心不全ということであった。葬儀場にすすり泣く声も聞こえる。
愛美は、明美と刈谷の三人で出席した。明美は会社で見せている飾りっけのない姿であった。彼女達を知る同僚たちは、愛美と明美が一緒にいる事、そpして同行する男が一体誰なのか疑心暗鬼の視線で見つめていた。
「美和先輩の姿が見えないけれど・・・・・・・」愛美は、式場の中を見渡したが、彼女の姿は見当たらなあった。
「今日は気分が悪いから欠席するそうよ」明美は小さな鞄の中から香典を取り出して、受付に差し出してから記帳を済ませた。愛美も彼女の習うように名前を記入した。刈谷は距離を置いてその様子を眺めている。
「刈谷さんは、記帳しないの?」愛美は彼の元に軽く駆け寄って来て聞いた。
「ああ、僕は直接に知り合いではないし・・・・・・・、後でややこしい事になっても困るし」言いながら軽く腕組をした。香典を払うのを渋っているのかと思ったがそうではないらしい。
「やっぱり、美和先輩欠席だって・・・・・・・」彼女のやっぱりという言葉には、この一連の騒動の元凶は彼女と決めつけているようであった。
「えーと、僕の死んだ爺さんの言葉なんですけどね・・・・・・・・」刈谷は愛美の目をジッと見る。
「えっ!?」その真っすぐな視線に彼女は頬を赤くする。
「三年探してから、人を疑え・・・・・・・・、てね。人を疑うのは簡単なんですけど、それが間違っていたらその人との人間関係は壊れますから、ちゃんと調べましょうね」まるで、子供に言い聞かすようないい方であった。愛美は、なぜか恥ずかしくなった。あんなに信頼していた、先輩の美和の事を簡単に疑ってしまった事。この刈谷という男は、抜けてはいるが冷静に状況を判断しているのだなと改めて感心した。
「なにしてるの二人で、葬儀が始まるわよ」明美が愛美の服の裾を引っ張る。
「あっ、ごめん」愛美は、彼女に連れられて並べられた会社関係者が座るパイプ椅子にスカートの裾を直しながら、明美と並んで座った。
「よく来られたな・・・・・・・、それも男連れで・・・・・・・・」小さな声が聞こえる。どうやら男というのは刈谷の事であるらしい。愛美と嘉彦を恋人同士と勘違いしている社員は多いようだ。どうやら、嘉彦が自ら発信局のように言いまくっていたらしい。彼を嫌いになったのは、それも一因であった。
「ふう・・・・・・・・」愛美はため息をつく。
「大丈夫?」明美が心配そうにのぞき込む。
「ええ、大丈夫・・・・・・・。ありがとう」愛美は少しだけニコリと笑顔を見せた。
刈谷は、式場の中には入らず外から、腕気味をしたまま、参列者たちの様子をずっと眺めていた。「あぁ・・・・・・・・・、腹が減ったな」誰に言うともなくその言葉が、口から零れ落ちた。
彼の死因のついては、心不全ということであった。葬儀場にすすり泣く声も聞こえる。
愛美は、明美と刈谷の三人で出席した。明美は会社で見せている飾りっけのない姿であった。彼女達を知る同僚たちは、愛美と明美が一緒にいる事、そpして同行する男が一体誰なのか疑心暗鬼の視線で見つめていた。
「美和先輩の姿が見えないけれど・・・・・・・」愛美は、式場の中を見渡したが、彼女の姿は見当たらなあった。
「今日は気分が悪いから欠席するそうよ」明美は小さな鞄の中から香典を取り出して、受付に差し出してから記帳を済ませた。愛美も彼女の習うように名前を記入した。刈谷は距離を置いてその様子を眺めている。
「刈谷さんは、記帳しないの?」愛美は彼の元に軽く駆け寄って来て聞いた。
「ああ、僕は直接に知り合いではないし・・・・・・・、後でややこしい事になっても困るし」言いながら軽く腕組をした。香典を払うのを渋っているのかと思ったがそうではないらしい。
「やっぱり、美和先輩欠席だって・・・・・・・」彼女のやっぱりという言葉には、この一連の騒動の元凶は彼女と決めつけているようであった。
「えーと、僕の死んだ爺さんの言葉なんですけどね・・・・・・・・」刈谷は愛美の目をジッと見る。
「えっ!?」その真っすぐな視線に彼女は頬を赤くする。
「三年探してから、人を疑え・・・・・・・・、てね。人を疑うのは簡単なんですけど、それが間違っていたらその人との人間関係は壊れますから、ちゃんと調べましょうね」まるで、子供に言い聞かすようないい方であった。愛美は、なぜか恥ずかしくなった。あんなに信頼していた、先輩の美和の事を簡単に疑ってしまった事。この刈谷という男は、抜けてはいるが冷静に状況を判断しているのだなと改めて感心した。
「なにしてるの二人で、葬儀が始まるわよ」明美が愛美の服の裾を引っ張る。
「あっ、ごめん」愛美は、彼女に連れられて並べられた会社関係者が座るパイプ椅子にスカートの裾を直しながら、明美と並んで座った。
「よく来られたな・・・・・・・、それも男連れで・・・・・・・・」小さな声が聞こえる。どうやら男というのは刈谷の事であるらしい。愛美と嘉彦を恋人同士と勘違いしている社員は多いようだ。どうやら、嘉彦が自ら発信局のように言いまくっていたらしい。彼を嫌いになったのは、それも一因であった。
「ふう・・・・・・・・」愛美はため息をつく。
「大丈夫?」明美が心配そうにのぞき込む。
「ええ、大丈夫・・・・・・・。ありがとう」愛美は少しだけニコリと笑顔を見せた。
刈谷は、式場の中には入らず外から、腕気味をしたまま、参列者たちの様子をずっと眺めていた。「あぁ・・・・・・・・・、腹が減ったな」誰に言うともなくその言葉が、口から零れ落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる