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神人と人間
24.さよならゾンビーズ
しおりを挟む満を持して。
私たちは四神は、この静かに回る星に手を向けました。
時間帯は朝。今日もゾンビたちは変わらぬ一日を始めようとしているでしょう。
“いきますよ”
えい。と、力を加えます。するとたちまち星は厚い雲に覆われました。
雨が降りました。一日中。ひと月中。いち年中。二十年くらい降り続いたんじゃないでしょうか。
雨は全てを覆う水になり建物を飲み込みます。言わずとも神による天災なので、ゾンビたちの利口な機転は効きません。
船を作るにも材料が先に沈みます。
一旦落ち着いて対策を練ろうにも、足から水に浮かんでじっとしていられなくなります。
さあさあ、地上は悲惨でした。たくさんのゾンビが水に浮き、流され、濁流に飲み込まれていくのです。
“うわぁー……”
一方、私はドン引きでした。
アリの巣に水を流したことがあります。幼い頃ですよ?
穴から必死に無数のアリが出てきた時、それまでの高揚感を大きく上回る数で。一気に興醒めになる感覚を思い出します。
ああ、自分はなんて酷いことをしたんだ。と、反省するのとは違います。残酷ですけど、気持ち悪いって思うのです。ほんと残酷ですよね。
このまま水が自然に引くのを待ち、また静かになったら新しい星を作り直します。
別に人間の星にしようとしなくても良い。箱庭だと思って見守っているだけで良いんです。神様の楽園にしても良し。
目を閉じて大洪水の轟音を聴きながら、私は希望に胸を膨らませました。
私を崇めてくれていた祭壇も、これにて、さよならです。
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