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第1章
眠れ、英雄よ
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成不は刀を払うついでにイヴァンを弾き飛ばすと、バルドロイとブランを抱き抱えて後方へ飛んだ。まだ生きている貴族たちの結界近くに下ろし、さらにその上から強固な結界を結ぶ。
「だ、誰だ?」
貴族の誰かが言った。
ブランはその結界の涼し気な魔力に彼が成不だとわかったが、いつもと纏う雰囲気があまりにも違いすぎる。バルドロイを抱きしめながら、成不を見上げる。
「成不、さん? どうして——」
「——ブラン君、話はあとで」
振り返ってほほ笑む成不の瞳は、冬を思わせるような薄いグレーだった。
壁まで弾き飛ばされたイヴァンは、ガラガラと岩を退けて出てきた。
成不もそれに合わせて前に歩み出る。
「……誰も入れないようにしていたはずだが」
「おや、そうなのかい?それなら詰めが甘いね~。あぁ、でも私以外の神官は苦戦しているようだからよく出来ている方だよ。落ち込まないで」
挑戦的な成不の言葉にイヴァンから表情が抜け落ちる。
「浅葱色の袴を着ているが、見習いではない。手練だな。何者だ」
「色の意味を知っているのかい。珍しいね。——私は成不。あぁ、君はイヴァンと言ったっけ?さっき扉の外で聞いたよ」
「覚えて頂けて光栄だよ。それで成不というお前の正体は?」
「知りたがりさんだなぁ。仕方ない!……私は帝国中央神宮の大宮司であり、浄階特級。又の名を——“氷雨”という」
成不が刀を一振りする。
するとその斬撃の範囲全てに霜が降り、儀式の間が一瞬にして凍てついた。
新聞で見た、白銀の世界だ。
「“氷魔法”!!」
「あぁ……!英雄だ!氷雨様がいらっしゃった!」
「もう大丈夫だ!助かった!」
貴族達は喜びの涙を流して喜んだ。
成不の髪紐がほどけ、銀色の髪が舞う。氷の粉を浴びて、髪は真っ白に輝いた。
その姿は間違いなく、英雄“氷雨”の姿だ。
「成不さんが、“氷雨”様……?」
分厚い氷がイヴァンの身体が一瞬で凍てつき、身体の半分が動かせない。無理矢理動かせば体が割れてしまうだろう。
「なるほど、これが帝国最強のスキル……」
「体験頂きありがとう。さて、詳しい話は拘置所で聞くとしようかな」
「そうしてやりたいのは山々だが、この後の予定が押していてね」
「随分と余裕だね、君」
「次は互いに本気になれると信じているよ」
イヴァンが微笑む。
その瞬間、成不の目の前に大きな雷が落ちる。視界を遮る強い光と遅れてくる轟音。成不はすぐにその煙を振り払ったが、次の瞬間にはすでにイヴァンの姿はなかった。
「……逃げられた」
成不が指をパチンと鳴らすと、儀式の間を覆っていた結界が消えていく。
戦闘が終わったことを知った貴族たちは、口々に氷雨を讃えた。
「流石氷雨様だ!助けに来てくださった!」
「氷雨様!ありがとうございます!ありがとうございます!」
ただ、響くのは称賛の声だけではない。
「父上!母上!!」
「あなた……!いやぁ!」
「お母さまぁ!痛いよぉ!」
家族や体を失った者たちの泣き叫ぶ声だ。
結界が取り払われ、儀式の間に神官と軍人たちが入ってくる。あたり一面の血だまり、悲鳴、硝煙の香り。
まるで戦場のような悲惨さに入ってきた軍人たちもたじろいだ。
成不はすぐに治療と調査を命じた。
「軍医と神官たちは怪我人の救護を。軍兵は黒い液体から魔法残渣を調査し、侵入経路、今回のテロに関わった神官の身辺調査をせよ」
「はっ!」
ブランは腕の中のバルドロイを見た。
呼吸が小さく、虚な目で宙を見上げている。
「お父様……お父様っ!」
「……ブラン、……無事、か?」
「もう終わったよ……!もう痛くないよ!大丈夫だよ……!」
バルドロイは血まみれの手を必死に動かしながらブランを探している。
宙を彷徨う手を握りしめ、ブランは誰よりも大きな声で泣き叫んだ。
「誰かァ!お父様を治療して!お願い!!!」
「ボナパルト准将!」
ブランの悲痛な声に軍医が走り寄る。助けに来た陸軍にはバルドロイを知る者が多いのだろう。皆、彼の姿に息を飲んだ。
軍医がバルドロイの上に手をかざし治癒魔法をかける。が、しばらくして静かに首を振った。
「……悪いが坊主、もう内臓が……機能していない」
「っ! なんで、ですかぁ!お願いします!僕なんでもします!お願いします!」
ブランが軍医の白衣を掴む。血と煤で汚れるが、軍医は気にせず残念そうに首をふるばかりだ。
「もう、生きているのが奇跡だ。——楽にしてやったほうがいい」
「――っ」
「このままだと苦しむだけか?」
成不が近づく。
「……氷雨様」
「ご苦労だった。准将は私が診るから貴殿は他の患者へ」
「……はい」
軍医が離れ、成不がバルドロイの手を取る。
「遺言を遺す時間ぐらいは私の魔力で補えるだろう。ブラン君、しっかり聞くんだ」
「成不さん!成不さんは氷雨様なんでしょう!?英雄なんでしょう!?お願い、お父様を助けてっ!いつも僕を助けてくれるみたいに!」
「……私でも救える命とそうでないものがある。神のように命を操ることはできないんだよ」
「やだぁ、いやだよ」
「ブラン君、これが最期の時間なんだ。ボナパルト侯爵の意思を汲んでやれ」
成不が握った手からまるで冬の風のように冷たい魔力が流れ込む。溢れていた血がゆっくりと止まった。
バルドロイは傷が痛まなくなったことに安心して微笑んだ。
「氷雨さま、感謝、いたします……」
「よい。気にするな」
「ブラン、お前が、……成人したらすべ、て、話すと……いったな」
「もう喋らなくていいよ!傷が!」
「よく、聞きなさい……。お前の、大切な、はなし」
「でも身体が!」
尚も泣いて止めようとするブランを成不が宥めた。
バルドロイが成不の手を握り返す。弱弱しい力だ。
「氷雨様……。どうか、この子を導いてやってください。この子は、尊き子です。この子は——」
バルドロイの目から涙がこぼれ落ちる。まるで何かを思い出しているかのようだ。
「この子の、本当の名前はッ!——ブラン・ハンニバル・バルカ」
「!!」
成不が息を飲む。
「かつて、私が聖戦で滅ぼした……バルカ王族の末裔です」
「ハンニバル・バルカの末裔……」
氷雨は泣き続けるブランを見た。
「(バルカ国の貴族だと思っていたが、まさか王族とは……!)」
「テセウス国王はなんとしてもこの子を守れと言った。この子は……いずれ全てを手に入れる者だと。決して死なせてはいけないのです」
だんだんとバルドロイの力が弱まる。涙が頬の血に混ざって落ちた。
「約束なのです。氷雨様、どうか——」
最期の声は掠れて殆ど聞こえなかった。浅い呼吸が最後に抜けていく。
「お、父様?……お父様ッ!」
ブランがバルドロイの身体を揺する。もうその瞳は何も写すことはなかった。
氷雨は握りしめていた手をそっと下ろして、バルドロイの瞼を閉じた。
「——“英雄”よ、安らかに」
この日、帝国から1人の英雄が消えた。
重傷者55名、死者28名。洗礼式はこうして、大帝国史上に血の歴史を残して締めくくられた。
外は雷雲を知らぬ青天が広がり、獣のように泣き叫ぶ子供の声など露も聞こえない。
「だ、誰だ?」
貴族の誰かが言った。
ブランはその結界の涼し気な魔力に彼が成不だとわかったが、いつもと纏う雰囲気があまりにも違いすぎる。バルドロイを抱きしめながら、成不を見上げる。
「成不、さん? どうして——」
「——ブラン君、話はあとで」
振り返ってほほ笑む成不の瞳は、冬を思わせるような薄いグレーだった。
壁まで弾き飛ばされたイヴァンは、ガラガラと岩を退けて出てきた。
成不もそれに合わせて前に歩み出る。
「……誰も入れないようにしていたはずだが」
「おや、そうなのかい?それなら詰めが甘いね~。あぁ、でも私以外の神官は苦戦しているようだからよく出来ている方だよ。落ち込まないで」
挑戦的な成不の言葉にイヴァンから表情が抜け落ちる。
「浅葱色の袴を着ているが、見習いではない。手練だな。何者だ」
「色の意味を知っているのかい。珍しいね。——私は成不。あぁ、君はイヴァンと言ったっけ?さっき扉の外で聞いたよ」
「覚えて頂けて光栄だよ。それで成不というお前の正体は?」
「知りたがりさんだなぁ。仕方ない!……私は帝国中央神宮の大宮司であり、浄階特級。又の名を——“氷雨”という」
成不が刀を一振りする。
するとその斬撃の範囲全てに霜が降り、儀式の間が一瞬にして凍てついた。
新聞で見た、白銀の世界だ。
「“氷魔法”!!」
「あぁ……!英雄だ!氷雨様がいらっしゃった!」
「もう大丈夫だ!助かった!」
貴族達は喜びの涙を流して喜んだ。
成不の髪紐がほどけ、銀色の髪が舞う。氷の粉を浴びて、髪は真っ白に輝いた。
その姿は間違いなく、英雄“氷雨”の姿だ。
「成不さんが、“氷雨”様……?」
分厚い氷がイヴァンの身体が一瞬で凍てつき、身体の半分が動かせない。無理矢理動かせば体が割れてしまうだろう。
「なるほど、これが帝国最強のスキル……」
「体験頂きありがとう。さて、詳しい話は拘置所で聞くとしようかな」
「そうしてやりたいのは山々だが、この後の予定が押していてね」
「随分と余裕だね、君」
「次は互いに本気になれると信じているよ」
イヴァンが微笑む。
その瞬間、成不の目の前に大きな雷が落ちる。視界を遮る強い光と遅れてくる轟音。成不はすぐにその煙を振り払ったが、次の瞬間にはすでにイヴァンの姿はなかった。
「……逃げられた」
成不が指をパチンと鳴らすと、儀式の間を覆っていた結界が消えていく。
戦闘が終わったことを知った貴族たちは、口々に氷雨を讃えた。
「流石氷雨様だ!助けに来てくださった!」
「氷雨様!ありがとうございます!ありがとうございます!」
ただ、響くのは称賛の声だけではない。
「父上!母上!!」
「あなた……!いやぁ!」
「お母さまぁ!痛いよぉ!」
家族や体を失った者たちの泣き叫ぶ声だ。
結界が取り払われ、儀式の間に神官と軍人たちが入ってくる。あたり一面の血だまり、悲鳴、硝煙の香り。
まるで戦場のような悲惨さに入ってきた軍人たちもたじろいだ。
成不はすぐに治療と調査を命じた。
「軍医と神官たちは怪我人の救護を。軍兵は黒い液体から魔法残渣を調査し、侵入経路、今回のテロに関わった神官の身辺調査をせよ」
「はっ!」
ブランは腕の中のバルドロイを見た。
呼吸が小さく、虚な目で宙を見上げている。
「お父様……お父様っ!」
「……ブラン、……無事、か?」
「もう終わったよ……!もう痛くないよ!大丈夫だよ……!」
バルドロイは血まみれの手を必死に動かしながらブランを探している。
宙を彷徨う手を握りしめ、ブランは誰よりも大きな声で泣き叫んだ。
「誰かァ!お父様を治療して!お願い!!!」
「ボナパルト准将!」
ブランの悲痛な声に軍医が走り寄る。助けに来た陸軍にはバルドロイを知る者が多いのだろう。皆、彼の姿に息を飲んだ。
軍医がバルドロイの上に手をかざし治癒魔法をかける。が、しばらくして静かに首を振った。
「……悪いが坊主、もう内臓が……機能していない」
「っ! なんで、ですかぁ!お願いします!僕なんでもします!お願いします!」
ブランが軍医の白衣を掴む。血と煤で汚れるが、軍医は気にせず残念そうに首をふるばかりだ。
「もう、生きているのが奇跡だ。——楽にしてやったほうがいい」
「――っ」
「このままだと苦しむだけか?」
成不が近づく。
「……氷雨様」
「ご苦労だった。准将は私が診るから貴殿は他の患者へ」
「……はい」
軍医が離れ、成不がバルドロイの手を取る。
「遺言を遺す時間ぐらいは私の魔力で補えるだろう。ブラン君、しっかり聞くんだ」
「成不さん!成不さんは氷雨様なんでしょう!?英雄なんでしょう!?お願い、お父様を助けてっ!いつも僕を助けてくれるみたいに!」
「……私でも救える命とそうでないものがある。神のように命を操ることはできないんだよ」
「やだぁ、いやだよ」
「ブラン君、これが最期の時間なんだ。ボナパルト侯爵の意思を汲んでやれ」
成不が握った手からまるで冬の風のように冷たい魔力が流れ込む。溢れていた血がゆっくりと止まった。
バルドロイは傷が痛まなくなったことに安心して微笑んだ。
「氷雨さま、感謝、いたします……」
「よい。気にするな」
「ブラン、お前が、……成人したらすべ、て、話すと……いったな」
「もう喋らなくていいよ!傷が!」
「よく、聞きなさい……。お前の、大切な、はなし」
「でも身体が!」
尚も泣いて止めようとするブランを成不が宥めた。
バルドロイが成不の手を握り返す。弱弱しい力だ。
「氷雨様……。どうか、この子を導いてやってください。この子は、尊き子です。この子は——」
バルドロイの目から涙がこぼれ落ちる。まるで何かを思い出しているかのようだ。
「この子の、本当の名前はッ!——ブラン・ハンニバル・バルカ」
「!!」
成不が息を飲む。
「かつて、私が聖戦で滅ぼした……バルカ王族の末裔です」
「ハンニバル・バルカの末裔……」
氷雨は泣き続けるブランを見た。
「(バルカ国の貴族だと思っていたが、まさか王族とは……!)」
「テセウス国王はなんとしてもこの子を守れと言った。この子は……いずれ全てを手に入れる者だと。決して死なせてはいけないのです」
だんだんとバルドロイの力が弱まる。涙が頬の血に混ざって落ちた。
「約束なのです。氷雨様、どうか——」
最期の声は掠れて殆ど聞こえなかった。浅い呼吸が最後に抜けていく。
「お、父様?……お父様ッ!」
ブランがバルドロイの身体を揺する。もうその瞳は何も写すことはなかった。
氷雨は握りしめていた手をそっと下ろして、バルドロイの瞼を閉じた。
「——“英雄”よ、安らかに」
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