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第1章
新しい生活
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ブランが目を覚ました時、視界に入ったのは知らない天井だった。
反射的に横に手を伸ばし、バルドロイがいないかを確かめる。
(あ、そっか……。ここは成不さんの家)
既に成不の姿はなく、カーテンの奥から食器のこすれる音がする。
ブランはベッドから出て音のなる方へと向かった。
「……成不さん?」
「ん?あぁ、おはようブラン君。よく眠れた?」
朝日の差し込むキッチンで成不がお茶を入れている。
その姿がアルフレッド執事長と重なり、ブランは思わず目に涙を浮かべた。
「おやおや、急にどうしたんだい?」
「なんだか、成不さんが温かくて」
「ふふ。私は君がもっと我慢強い子なのかと思っていたけど、想像よりずっと繊細だったんだね」
「すみません、僕心が弱くて」
成不は食事の並んだテーブルにお茶を運びながら言った。
「いいんだよ。泣いてしまうのは心が弱いのではなく、感受性が豊かなんだ。君は一つ一つの感情をとても鮮明に感じ取れるということだよ。素晴らしいことだ。ただ、軍人になりたいと思っているなら少しだけ我慢しなきゃね」
「はい、先生」
「ははは!“先生”かぁ。いいね、気に入った。今まで“閣下”や“大宮司”と呼ばれることが多かったけど、新しい敬称だね」
「えへへ」
成不に促されてブランも着席する。
テーブルに並んだ食事はブランにとっては珍しいものばかりだった。
「成不さん、これは?」
「それはお米だよ。龍安や花国で主食として食べられていて、とても美味しいんだ。横のは野菜の漬物。少し酸っぱいから気を付けて。あと焼き魚はわかる?」
「あ、わかります。よくムニエルにされてるお魚ですよね」
「そう。でも味付けが少し独特かも。大根おろしとポン酢っていう少し酸っぱい調味料が掛かってる。これは花国で好まれてる味付けかな。すごく爽やかで美味しいよ」
「わぁ……!知らない料理ばかりですごく楽しみです!」
ブランは成不の真似をしてお箸を持とうとしたが、うまく掴めずに落としてしまう。
「あ、あれ?全然持てない」
「あはは!そっかそっか。ごめんよ、気が利かなくて」
成不は「ちょっと待ってて」というと席を外しキッチンからカトラリーを持ってきた。
「ほら、お使い」
「すみません、ありがとうございます。……成不さんはどうやってそんなに上手にお箸を持っているんですか?」
「どうやって、と言われても……。小さいころからお箸を使ってきたからあんまりわからないな。……そうだ、今度私の育ての親に聞いてみるよ!」
ブランはパチリと目を見開いた。
「育ての親?」
記憶を思い返す。
確か皇室議員名簿をみていた時、バルドロイが話していたはずだ。
「成不さんの出身って確か——」
「——龍安だよ。私を育てたのは楊滄波っていう人。パーティーで会ったの覚えてる?」
「覚えてます……。そのあとすぐ倒れちゃったけど、すごく綺麗な人だったから忘れられないです」
ブランは視線を手元に落とした。
パーティーでの記憶が蘇る。脳をかき乱す感覚、響く声、ふつふつと熱くなる胎の奥。
(忘れられない理由は美しさだけじゃない……)
ブランは本能的に楊滄波を警戒していた。美しいがそれだけじゃない。彼の能力は序列の表す通り、人間に対して最も強力であるはずだ。
記憶を思い返して眉を顰めるブランに気づかず、成不は食事を続けながら話した。
「あの時は魔力合わせなんて意地悪されて大変だったね。普段は他人に興味を持たない人だから、ちょっかい出してくるのはかなり珍しいよ。もしかしたら君に何かを感じたのかもね」
「それは成不さんが僕を助ける理由に似てると思いますか?」
「さぁ、長年の付き合いだけけどあの人の考えはまだ読めないよ。もしかしたら同じ理由かも。……あ、そうそう、来儀君は優しくしてくれたかい?」
ブランも食事に手を付け、おぼつかない仕草で口に運んでいく。
来儀という名前に、金髪の男性を思い出した。彼も軍人なのだろうか。バルドロイよりもずっと体格が良かった。大きな口で笑う表情も好印象だ。
「はい。僕の怪我を心配してくれて、楊家の皆さんにも掛け合ってくれました。成不さんの言った通り、僕のことを怖がったりしなかったし、戸惑いなく僕に触れてくれたから嬉しかったです」
「そうかい、それは良かった。あの子の良いところは人に優しくしてあげられるところだ。それから人間の価値を本質で見ようとするところも好ましい。彼は楊家の中でもかなり親しみやすい。今後も仲良くしておくといいよ」
「楊家の方々は、成不さんにとって兄弟も同然ですか?」
「う~ん、どうだろう。滄波が育ての親だっただけで、実子の彼らとはあんまり過ごしたことはないよ。別々の家に住んでいたし」
「そうなんですか?なぜわざわざ別の家に」
「私は固有スキルが特殊だから、一人前になるまでは誰とも暮らせなかったんだ。寝てる間に間違えて殺しちゃうと困るだろう?」
「……」
成不は何気なく話しているが、ブランはあることに気づいた。
この小さな家を見渡す。
(本当に危険で強大な力なんだ……。だからこの家は——)
壁は何度も修理された跡があり、寝室の扉には何かしらの魔方陣が描かれている。
「……ここが、その家なんですね。幼少期に成不さんが一人で過ごした思い出の家」
「……。うん。子供一人で住むには十分な広さだろう?」
「……はい」
ブランは部屋の隅に小さく丸まって座る少年の姿を見た気がした。
彼も自分と同じように、孤独な少年時代を過ごしたのかもしれない。
成不は玄関を見つめしばらく思い出に浸っていた。
「いつも玄関のドアが見える場所に座っていたんだ。彼が来たらすぐわかるように」
「わかる気がします。僕も正門にいるのが一番好きだったから」
「君も侯爵や私を待っていてくれたよね。……私が君に構ってしまう理由は、きっとそういうところもあるのかも」
「……一人で寂しくありませんでしたか?」
成不は暫くの間黙った。
その灰色の瞳が少しだけ滲んだ気がして、ブランは慌てて言う。
「あっあの!やっぱり忘れてくださ——」
「——寂しかった。君くらいの年にはいつも泣いて過ごしたよ。でも滄波は強かったから、私が養父を失うことはなかった。……君の方がよっぽど寂しかろう」
「……」
次はブランが黙る番だった。息を短く呑んで成不を見つめる水色の瞳から涙がこぼれる。
成不は静かに頷いて箸を進めた。
「さ、食べよう。せっかくの朝食が冷めてしまった」
「……はい」
――――。
朝食の後、食器を洗い終わったブランに成不が声を掛けた。
「今日は行くところが多いんだけど、大丈夫?」
ブランは一度固まってから、眉を下げてしゅんとした。
「はい、大丈夫です。じゃあ成不さん今日は遅くなるんですね。……留守の間に掃除をしておいてもいいですか?」
「ん?君も一緒に行くんだよ。ここで生活するために必要なものがたくさんあるだろう。買い物に行くよ」
「……はい!」
ブランは胸に暖かいものが広がるのを感じた。
(成不さんは当たり前のように言ってくれるけど、僕にとって“それ”は当たり前じゃなかった)
暫くして成不が軽い装いに着替えた。その手にはブランの服も握られている。
「君のサイズに合うものがあんまりなくて……。私が子供のころに着けていたやつだけど構わないかい?」
「僕は何でも大丈夫です!探してくださってありがとうございます」
「うん。龍安の服なんだけど、着方はわかる?」
成不が差し出したものは淡い色の大きな布と紐のようなものだった。
「わからないです……。神官の皆さんが着てるものに似てます」
「そうだね、袴に近いかも。今回は私が着けてあげよう」
成不はブランの前にしゃがみこむと布を拡げて腕を通すように言う。
「これを羽織って、体に巻き付ける感じ。そうそう」
「袖が大きいですね」
「うん。動き辛いけど見た目はとっても綺麗だよね。あ、それで体の前で交差した後にこの帯で止めるんだ」
「こうですか?」
「そうそう。少しギュッとするよ」
成不が力を込めて帯を締める。何やら後ろで形を作っているようだが、まるで女性の付けるコルセットのように圧迫感がある。
「す、すごく息苦しいんですね」
「背筋を伸ばすためにね。服を買うまでの我慢だから耐えてくれ」
「成不さんはいつもこんな服を着ているんですか……、すごい」
「慣れればなんてことないさ」
成不が最後に強く締める。
ブランが「う“っ」と声を」溢すと成不は笑って鏡の前に立たせた。
「ほら。少し息苦しいが綺麗だろう?」
「——わぁ」
ブランは鏡に映る自分の姿に驚いた。
まるで水面のように半透明な白い上衣に、目を引く水色の帯、足元まですっぽり覆い隠す淡い藍色の裳。成不は最後の仕上げに金の装飾が施されたひれを肩に掛けた。
「これは?」
「“ひれ”だよ。まるで金魚や鯉のように、薄くてひらひらしていて綺麗だろう?」
「はい!とっても綺麗です。金色の刺繍はどうやってこんな薄いベールにつけてるんですか?」
「花国の刺繍職人たちだね。元々手先が細かく精密な作業ができる人種が多いから、衣の刺繍や染、刀とか乗り物が有名なんだよ」
ブランの身体の動きに合わせて金がきらきらと輝く。
「すごいですね!」
「今度、花国出身の神官に会わせてあげるよ。私と同じくらい治癒魔法が使えるからブラン君も世話になることが多いだろう」
成不もブランと似たベールを羽織ると手を差し出す。
「さ、行こうか」
「はい!」
真っ白な成不と真っ黒なブラン。
全く違うものを持つ二人も、手を繋いで歩く姿は兄弟や親子の表情に見えた。
反射的に横に手を伸ばし、バルドロイがいないかを確かめる。
(あ、そっか……。ここは成不さんの家)
既に成不の姿はなく、カーテンの奥から食器のこすれる音がする。
ブランはベッドから出て音のなる方へと向かった。
「……成不さん?」
「ん?あぁ、おはようブラン君。よく眠れた?」
朝日の差し込むキッチンで成不がお茶を入れている。
その姿がアルフレッド執事長と重なり、ブランは思わず目に涙を浮かべた。
「おやおや、急にどうしたんだい?」
「なんだか、成不さんが温かくて」
「ふふ。私は君がもっと我慢強い子なのかと思っていたけど、想像よりずっと繊細だったんだね」
「すみません、僕心が弱くて」
成不は食事の並んだテーブルにお茶を運びながら言った。
「いいんだよ。泣いてしまうのは心が弱いのではなく、感受性が豊かなんだ。君は一つ一つの感情をとても鮮明に感じ取れるということだよ。素晴らしいことだ。ただ、軍人になりたいと思っているなら少しだけ我慢しなきゃね」
「はい、先生」
「ははは!“先生”かぁ。いいね、気に入った。今まで“閣下”や“大宮司”と呼ばれることが多かったけど、新しい敬称だね」
「えへへ」
成不に促されてブランも着席する。
テーブルに並んだ食事はブランにとっては珍しいものばかりだった。
「成不さん、これは?」
「それはお米だよ。龍安や花国で主食として食べられていて、とても美味しいんだ。横のは野菜の漬物。少し酸っぱいから気を付けて。あと焼き魚はわかる?」
「あ、わかります。よくムニエルにされてるお魚ですよね」
「そう。でも味付けが少し独特かも。大根おろしとポン酢っていう少し酸っぱい調味料が掛かってる。これは花国で好まれてる味付けかな。すごく爽やかで美味しいよ」
「わぁ……!知らない料理ばかりですごく楽しみです!」
ブランは成不の真似をしてお箸を持とうとしたが、うまく掴めずに落としてしまう。
「あ、あれ?全然持てない」
「あはは!そっかそっか。ごめんよ、気が利かなくて」
成不は「ちょっと待ってて」というと席を外しキッチンからカトラリーを持ってきた。
「ほら、お使い」
「すみません、ありがとうございます。……成不さんはどうやってそんなに上手にお箸を持っているんですか?」
「どうやって、と言われても……。小さいころからお箸を使ってきたからあんまりわからないな。……そうだ、今度私の育ての親に聞いてみるよ!」
ブランはパチリと目を見開いた。
「育ての親?」
記憶を思い返す。
確か皇室議員名簿をみていた時、バルドロイが話していたはずだ。
「成不さんの出身って確か——」
「——龍安だよ。私を育てたのは楊滄波っていう人。パーティーで会ったの覚えてる?」
「覚えてます……。そのあとすぐ倒れちゃったけど、すごく綺麗な人だったから忘れられないです」
ブランは視線を手元に落とした。
パーティーでの記憶が蘇る。脳をかき乱す感覚、響く声、ふつふつと熱くなる胎の奥。
(忘れられない理由は美しさだけじゃない……)
ブランは本能的に楊滄波を警戒していた。美しいがそれだけじゃない。彼の能力は序列の表す通り、人間に対して最も強力であるはずだ。
記憶を思い返して眉を顰めるブランに気づかず、成不は食事を続けながら話した。
「あの時は魔力合わせなんて意地悪されて大変だったね。普段は他人に興味を持たない人だから、ちょっかい出してくるのはかなり珍しいよ。もしかしたら君に何かを感じたのかもね」
「それは成不さんが僕を助ける理由に似てると思いますか?」
「さぁ、長年の付き合いだけけどあの人の考えはまだ読めないよ。もしかしたら同じ理由かも。……あ、そうそう、来儀君は優しくしてくれたかい?」
ブランも食事に手を付け、おぼつかない仕草で口に運んでいく。
来儀という名前に、金髪の男性を思い出した。彼も軍人なのだろうか。バルドロイよりもずっと体格が良かった。大きな口で笑う表情も好印象だ。
「はい。僕の怪我を心配してくれて、楊家の皆さんにも掛け合ってくれました。成不さんの言った通り、僕のことを怖がったりしなかったし、戸惑いなく僕に触れてくれたから嬉しかったです」
「そうかい、それは良かった。あの子の良いところは人に優しくしてあげられるところだ。それから人間の価値を本質で見ようとするところも好ましい。彼は楊家の中でもかなり親しみやすい。今後も仲良くしておくといいよ」
「楊家の方々は、成不さんにとって兄弟も同然ですか?」
「う~ん、どうだろう。滄波が育ての親だっただけで、実子の彼らとはあんまり過ごしたことはないよ。別々の家に住んでいたし」
「そうなんですか?なぜわざわざ別の家に」
「私は固有スキルが特殊だから、一人前になるまでは誰とも暮らせなかったんだ。寝てる間に間違えて殺しちゃうと困るだろう?」
「……」
成不は何気なく話しているが、ブランはあることに気づいた。
この小さな家を見渡す。
(本当に危険で強大な力なんだ……。だからこの家は——)
壁は何度も修理された跡があり、寝室の扉には何かしらの魔方陣が描かれている。
「……ここが、その家なんですね。幼少期に成不さんが一人で過ごした思い出の家」
「……。うん。子供一人で住むには十分な広さだろう?」
「……はい」
ブランは部屋の隅に小さく丸まって座る少年の姿を見た気がした。
彼も自分と同じように、孤独な少年時代を過ごしたのかもしれない。
成不は玄関を見つめしばらく思い出に浸っていた。
「いつも玄関のドアが見える場所に座っていたんだ。彼が来たらすぐわかるように」
「わかる気がします。僕も正門にいるのが一番好きだったから」
「君も侯爵や私を待っていてくれたよね。……私が君に構ってしまう理由は、きっとそういうところもあるのかも」
「……一人で寂しくありませんでしたか?」
成不は暫くの間黙った。
その灰色の瞳が少しだけ滲んだ気がして、ブランは慌てて言う。
「あっあの!やっぱり忘れてくださ——」
「——寂しかった。君くらいの年にはいつも泣いて過ごしたよ。でも滄波は強かったから、私が養父を失うことはなかった。……君の方がよっぽど寂しかろう」
「……」
次はブランが黙る番だった。息を短く呑んで成不を見つめる水色の瞳から涙がこぼれる。
成不は静かに頷いて箸を進めた。
「さ、食べよう。せっかくの朝食が冷めてしまった」
「……はい」
――――。
朝食の後、食器を洗い終わったブランに成不が声を掛けた。
「今日は行くところが多いんだけど、大丈夫?」
ブランは一度固まってから、眉を下げてしゅんとした。
「はい、大丈夫です。じゃあ成不さん今日は遅くなるんですね。……留守の間に掃除をしておいてもいいですか?」
「ん?君も一緒に行くんだよ。ここで生活するために必要なものがたくさんあるだろう。買い物に行くよ」
「……はい!」
ブランは胸に暖かいものが広がるのを感じた。
(成不さんは当たり前のように言ってくれるけど、僕にとって“それ”は当たり前じゃなかった)
暫くして成不が軽い装いに着替えた。その手にはブランの服も握られている。
「君のサイズに合うものがあんまりなくて……。私が子供のころに着けていたやつだけど構わないかい?」
「僕は何でも大丈夫です!探してくださってありがとうございます」
「うん。龍安の服なんだけど、着方はわかる?」
成不が差し出したものは淡い色の大きな布と紐のようなものだった。
「わからないです……。神官の皆さんが着てるものに似てます」
「そうだね、袴に近いかも。今回は私が着けてあげよう」
成不はブランの前にしゃがみこむと布を拡げて腕を通すように言う。
「これを羽織って、体に巻き付ける感じ。そうそう」
「袖が大きいですね」
「うん。動き辛いけど見た目はとっても綺麗だよね。あ、それで体の前で交差した後にこの帯で止めるんだ」
「こうですか?」
「そうそう。少しギュッとするよ」
成不が力を込めて帯を締める。何やら後ろで形を作っているようだが、まるで女性の付けるコルセットのように圧迫感がある。
「す、すごく息苦しいんですね」
「背筋を伸ばすためにね。服を買うまでの我慢だから耐えてくれ」
「成不さんはいつもこんな服を着ているんですか……、すごい」
「慣れればなんてことないさ」
成不が最後に強く締める。
ブランが「う“っ」と声を」溢すと成不は笑って鏡の前に立たせた。
「ほら。少し息苦しいが綺麗だろう?」
「——わぁ」
ブランは鏡に映る自分の姿に驚いた。
まるで水面のように半透明な白い上衣に、目を引く水色の帯、足元まですっぽり覆い隠す淡い藍色の裳。成不は最後の仕上げに金の装飾が施されたひれを肩に掛けた。
「これは?」
「“ひれ”だよ。まるで金魚や鯉のように、薄くてひらひらしていて綺麗だろう?」
「はい!とっても綺麗です。金色の刺繍はどうやってこんな薄いベールにつけてるんですか?」
「花国の刺繍職人たちだね。元々手先が細かく精密な作業ができる人種が多いから、衣の刺繍や染、刀とか乗り物が有名なんだよ」
ブランの身体の動きに合わせて金がきらきらと輝く。
「すごいですね!」
「今度、花国出身の神官に会わせてあげるよ。私と同じくらい治癒魔法が使えるからブラン君も世話になることが多いだろう」
成不もブランと似たベールを羽織ると手を差し出す。
「さ、行こうか」
「はい!」
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