なぜか水に好かれてしまいました

にいるず

文字の大きさ
5 / 80

4 空に飛んだ風船をとってあげました

今日の日曜日も、用事があるわけではなかったので、いろいろ整理整頓することにした。

今日整理するのは、買ってあるネイルたちだ。

敦子は、ネイルを塗って楽しんだり、ネイルの色を見て楽しむのが好きだ。



今思えば、高校生ぐらいの時に友達から言われたことが、この趣味につながったのかもしれない。


「 あっちゃんの爪って形いいねえ。きれい。 」

「 ほんと、きれいな形の爪してるね。マニキュア塗ったらきれい! 」


顔も平凡、性格も内気な敦子にとって、みんなからほめられたそれは、ご褒美とも言ってもいいくらいにうれしい言葉だった。

それから敦子のネイル集めが、始まったのかもしれない。

学校に行っていた頃は、おこずかいの中でやりくりしなくてはいけなかったので、そう買えなかったのだが、働いている今は、あの頃より好きなものを買える。
とはいえ、働いているので、あまり奇抜な色や目立つ色は、使いたくない。
そこで最近は、爪のためのネイルオイルにも凝っている。いろいろな香りを楽しめるし、リラックスもできる。




見事にたまってしまったネイルやネイルオイルなどを、無造作に入れてあった箱から取り出す。
以前買ってあった仕切り板のついた箱に、色を見ながら、並べていく。

金曜日に買ったネイルを、取り上げた時だった。


キラッ__________________。


この前のように、また光った気がした。

こんどは、そのネイルをもって、窓際に行ってネイルを掲げて、よく見た。
ビンの中を揺らして、中の液体をよく見たが、何も光るものは、みえない。
 

「 金曜日も、光った気がしたんだけどなあ。もしかしたら、これつけてみてっていってるのかなあ。 」


敦子は、冗談で言ってみたが、そのネイルをテーブルに置いた。

他のネイルたちを整理し終えた後、敦子はまた塗ることにした。


「 この色なら、目立たないし、明日の会社に塗っていってもいいかな。 」


そして今度は、手の爪だけでなく、足の爪にも塗ってみた。

塗ったあと、窓ぎわで手をかざしてみた。
きれいな薄い桜色だが、落ち着いた色合いのせいか、あまり目立たなそうだ。
敦子は、満足した。

お昼は、スーパーで昨日買ってきたパンを、簡単に卵ときゅうりでサンドイッチにして、食べた。
お湯を沸かして、ドリップコーヒーも入れた。
ちょっと手間だけれど、それだけですこ~し心が潤う気がするから不思議だ。




午後は、何をしようかと考えたが、散歩兼本屋さんに行くことにした。


日曜日の午後は、明日月曜日の事を考えると、理由もないのに気分が沈むので、ちょっと体を動かすのがいい。
日傘を差せば、そこまで熱くはないだろう。


歩いて10分ほどのところに大きな公園がある。大きな池や芝生広場があって、休日ともなると人が大勢来るのだ。
のんびり公園の中にある、池の周りの遊歩道を歩いていると、どこかでもらったのだろう。

青い風船を持った2歳ぐらいの女の子とお母さんが、敦子の前を歩いていた。

敦子の前5メートルくらい前を、歩いていただろうか。
女の子が、石か何かにつまずいて転んでしまった。
お母さんは、あわてて女の子を起き上がらせるが、女の子は、痛かったからだろう。
お母さんにしがみついて、抱っこをねだった。
痛さで風船を持っていたことを、忘れてしまったのだろう。

風船が、女の子の手から離れて、ふわりと浮きあがった。

お母さんが、慌てて気がつくが、とても届かない。

敦子も、ちょうどその様子を、後ろから見ていたので、一瞬焦ってしまった。
お母さんや女の子と同じように、空に昇っていく風船を眺めた。
どんどん空高く上がっちゃう!と思った時だった。


( えっー! ) 


敦子には、その時、池のある方向から、何か細くて白い縄のようなものが、出てきたように見えた。

それが、風船の糸をとらえた。
まるで何がに引っ張られるように、風船が下に降りてきた。
そして風船についていたひもが、また女の子の前に来た。
女の子は、無意識につかんだ。

風船をひっぱった何かは、細い縄のように見えて、後ろの敦子からは、ちょうど太陽の光で、きらりと見えた。

そのなにかは、太陽の光できらきら光りながら、池のほうに戻っていったように見えた。


すると縄のように見えたものが、通った軌跡のように、虹になって出た。

あたりにいた人たちは、びっくりしてそれを見ている。
あの女の子もお母さんも。

まるで風船の糸から、虹が出ているように見えるのだから。

敦子も呆然と見てしまった。

ちょうどこちらに向かって歩いて人たちであろう。
若いカップルの一人が、スマホで撮影しようとした。

すると、まるで跡を残したくないぞとばかりに、消えてしまったのだ。

周りから思わずため息が漏れた。

敦子も残念に思いながら、けれどなんとなくドキドキしながら、本屋に行くのもやめて、自宅に戻ることにした。



敦子は、帰る道々、考えた。
あれは、池から出てきたようだ。もしかしたら水だったりして?
ありえない想像に、まさかねと思いつつも金曜日に起きた出来事を思い出したのだった。



玄関に入ったちょうどそのとき、隣の玄関のドアを開ける音がした。

残念! お隣さんの顔見たかったなと思ったが、また開ける勇気はないので、部屋に入った敦子だった。



















感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……