なぜか水に好かれてしまいました

にいるず

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結局敦子は、なぜか二人にじーとみられる中、玉山に連絡した。

『 大丈夫です。近いですので電車で帰ります。ありがとうございます。 』

またすぐ返事が来た。

『 荷物もあるでしょう。近くの駅まで行きますので、教えてください。 』

なぜか玉山は、迎えに来る気満々だった。

敦子は、困ったなあと思い、ふとスマホの画面から顔を上げると、こちらを食い入るように見つめている二人がいた。

「 あっちゃん、なになに? 」

「 どうしたの? 」

恵美は面白がるように、久仁子はいぶかしそうに聞いてきた。

敦子は、仕方なく玉山の話をした。
もちろん空を飛んだことは言わなかったが、アパートのお隣さんであること、同じビルに勤めていることなどを言ってしまった。

2人は、それはそれは興味津々で敦子の話を促してくる。
敦子は、ふたりの厳しい追及に、しまいには、さきほどの連絡の事までしゃべってしまった。

先に発言したのは、恵美だった。

「 あっちゃん、いいじゃん。うちに来てもらえば。私も見れるし。その玉山さんだっけ。ぜひ見た~い。 」

「 そうだよ、お言葉に甘えたら。 」

2人の説得に結局アパートまでのお迎えを頼むことにした。

玉山に返信すると、快くお迎えに行くとの返事が来た。

それからは、二人が根掘り葉掘り玉山さんの事を聞くので、参った。


やっと二人から解放された敦子は、そそくさとお風呂に入ってきますといいどんどんお風呂に入っていった。
ふたりも次々にお風呂に入り、三人ゆったりとした時間となった。

「 じゃああっちゃんの明日のために、みんなでパックをしよう。 」

急に恵美が言い出し、みんなに美容顔パックの袋を配り始めた。

「 明日顔がむくんでいたんじゃあまずいでしょ。これ効果あるのよ~。お肌も10歳若返るし。 」

「 本当~? でも10歳若返っても子供にならない年齢なんだよね~。 」

思わず敦子が、禁断の言葉を言ってしまい二人ににらまれてしまった。

三人で、パックをする。

パックをしたせいで寝ることができなくなったので、また三人で話し始めた。

「 あっちゃんもとうとう彼氏もちか。いいなあ。 」

「 違うって、ご近所なだけだよ。それにどうせ明日玉山さんを見る気満々でしょ。みたらわかるけど、とってもじゃないけど、私とじゃ釣り合わないよ。だって『 エレベーターの貴公子 』って呼ばれてるんだよ。 」

「 でも、ちゃんとあっちゃんをお迎えまできてくれるんでしょ。脈あるんじゃない? ねえ恵美ちゃん! 」

「 そうだよ、絶対あっちゃんに気があるって。 」

「 けどね~。相手のレベルが高すぎだし、私この年になるまで誰とも付き合ったことないから、どうやって付き合えばいいのかわかんないんだよね~。二人は、お付き合いの経験があるからいいけどね。 」

「 あっちゃん、私なんてはるか昔の昔話だから、もう忘れちゃったよ。現在進行形のくにちゃんとは違うのよ。 」

「 私が言うのもなんだけど、付き合う人それぞれ考え方も違うし、性格だって違うんだから、お付き合いした経験なんて関係ないと思うよ。 」

「 くにちゃん、さすが。年の功だけあって違うね~! 」

「 やめてよ恵美ちゃん、みんな同じ年なんだからね。 」

恵美の言葉でみんな笑い出し、せっかくのパックが役に立たなくなりそうだった。

でも二人の、特にくにちゃんの言葉にずいぶん励まされた敦子だった。

三人は、パックがからからに乾くまでおしゃべりしてしまい、ほうれい線が~ と一人叫んでいる恵美をよそに寝ることにした。



翌朝は、三人で手分けして朝食をつくり、昨日のデパ地下惣菜の残りと合わせていただいた。

「 今日は、ずいぶん豪華な朝ご飯になったね。 」

三人で、食べた朝ご飯はおいしかった。


玉山に連絡した時間の10分前には、アパートの前で待つことにした。

もちろん両脇には、あの二人がくっついていて、玉山の来るのを今か今かと待っている。

道路を一台の白い車が、走ってきた。

敦子たちの前で止まる。

玉山が、今日もさわやかに車を降りてきた。

「 ごめん。待たせちゃったかな。 」

「 ううん、まだ予定の時間にないですよ。早く来てくれたんですね。ありがとうございます。 」

敦子は玉山にそういって、二人を紹介しようと二人のほうを見た。

2人は、コチコチに固まっていた。

「 ねえ、くにちゃん、恵美ちゃん。こちら玉山さん。 」

2人にそういったが、二人は敦子の言葉が耳に入っていないのか、玉山に視線が釘づけのままだ。

仕方なく敦子は、二人の肩をたたいて、こちらの世界に呼び戻そうとした。

肩の刺激でやっと敦子に気づいた2人は、ふたりお互いの顔を見合わせて、微妙な顔をしてから、敦子の方を向いた。

「 こちらが玉山さん。 」

「 こちらは、友達の横橋さんに酒井さんです。 」

敦子は、ふたりに玉山を紹介してから、玉山にも2人を紹介した。

2人は紹介されて、再び玉山の方を向いた。 

なぜか二人とも油の切れた機械のようにぎこちない動作でお辞儀をした。

玉山はといえば、そんな二人に、いつものさわやかな顔であいさつしてきた。

「 みなさん仲がいんですね。昨日は、滝村さんがお世話になりました。 」

まるで、親のようなあいさつだった。

いつもなら饒舌の恵美が、今日は無言だった。

玉山が、敦子の持っているバッグを受け取り車に入れた。

「 じゃあね、またね。 」

敦子と玉山は、二人で車に乗り込んだ。

発信するというところで、久仁子が玉山に向けていった。

「 あっちゃんをよろしくお願いします。 」

「 はい、わかりました。 」


玉山がウインドウをあけて、笑顔で久仁子にそういうと、なぜか横に立っている恵美の体が傾いた気がした。



2人が、敦子たちに手を振ってくれている中、玉山の車は、発進したのだった。
 
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