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34 またお買い物に行きました
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玉山が運転する車は、渋滞もなくスムーズにアパートまでついた。
アパートの駐車場に車を入れてから、車に乗ったまま玉山が言った。
「 夕飯食べに行かない? 」
「 あっ、よかったらまたうちで食べませんか? いつもの田舎料理ですけど。」
「 いいの? 買い物また行く? 荷物持ちするよ。 」
「 ありがとうございます。いいんですか? じゃあお願いします。 」
「 時間は、2時ごろはどう? 」
「 はい、じゃあその時間にインターホン鳴らしていいですか。 」
「 分かった。待ってる。 」
2人は、車から降り、自分の部屋に帰っていった。
敦子のバッグは、玉山が部屋の前まで運んでくれた。
「 じゃあ、また。 」
そういって玉山は、部屋の中に入っていった。
敦子も部屋に入り、急いで洗濯をして、掃除を始めた。
あっという間にお昼になり、冷蔵庫にあるものを食べたりして冷蔵庫の中がすっきりした。
帰ってから着替えていた部屋着を脱いで、急いでちょっとだけよそいきのブラウスとスカートに着替える。
それから買うものをメモしていると時間になり、慌てて玉山の部屋に向かった。
インターホンを押すと、玉山がすぐに出てきてくれた。
「 すみません、お願いしてしまって。 」
「 いや、今日の夕飯ごちそうになるからね。当然だよ。 」
玉山は、一緒にスーパーに行ってくれるようだが、玉山とスーパーは、似合わないかなと思ったら少しだけ笑えてきた。
敦子が、笑いを我慢しすぎて、肩を震わせたのに気が付いたのだろう。
「 なに笑ってるの? 」
玉山が、目ざとく聞いてきた。
「 いえっ、玉山さんとスーパーってなんだか似合わなくて。高級食材店なら似合いそうですけどね。 」
敦子も玉山にずいぶん慣れてきて、軽口をたたけるようになってきた。
「 そうかなあ、滝村さんと行くスーパーは、楽しいよ。 」
玉山の発言に聞いた敦子の顔が赤くなってしまった。
敦子は、もう玉山のほうを見ないように歩き出した。
そうして二人で歩いてスーパーに向かった。
スーパーに入り、売り場を見ながら歩いていると、大きい声がした。
「 あらっ、この前の新婚さんね。よかったらまた味見してって。 」
この前の試食売り場にいたおばちゃんが、今日もいた。
目ざとく玉山を見つけたらしい。
おばちゃんは、今日もまた玉山をロックオンしている。
「 また新婚さんて言われちゃったね。そう見えるのかなあ。うれしいなあ。 」
玉山のうれしい発言に、敦子はなんだか鼻がつんとした。
思わずハンカチで抑えると、赤いものは出ていなくてほっとした。
おばちゃんは、敦子の様子など気にもせず、夢中で玉山を呼んでいる。
爪楊枝に刺した試食を手に振り回しているので、敦子はその試食が飛ばないか心配してしまった。
あまりのおばちゃんの気迫に玉山と試食売り場に行くと、おばちゃんは試食のウインナーをホットプレートいっぱいに焼いていた。
あまりの量になんだか売り場に煙がもうもうと立ち込めてきた。
またもや敦子の事は、忘れられていて、なぜか試食が入ったお皿ごと玉山にささげられた。
ちょうどそこへいつも来る常連さんだろうか、おばさんがふたりやってきた。
「 あらっ、今日はすごい試食の量ね。一つちょうだい。 」
おばさんたちは、すごい早業で試食のついた爪楊枝をとり食べている。
「 おいしい。もう一つね。 」
二つ食べて満足したのだろう。
やっと自分たちの前にいる試食売り場のおばちゃんの視線に気が付いた。
おばさんたちは、視線の先を見た。
おばさんたちは、だまってしばらく玉山の顔を眺めていた。
そして今度は、玉山の足のつめから頭の先までもう一度よく見てから言った。
「 あらっ、やだ。芸能人さん! 」
その声で、なぜかそばに来るのを躊躇していた人たちがわらわらとやってきた。
いつの間にか玉山は、おばさんたちに取り囲まれてしまったので、敦子は焦っていった。
「 違います!このひと普通の会社員です! 」
まず試食のおばちゃんが、敦子の声に気が付いていった。
「 そうよ、この人あの人のご主人なのよ。 」
そういったおばちゃんは、なぜか誇らしげに皆に伝えた。
皆が一斉に敦子に注目してきた。
「 そうなの~、いいわね。こんなカッコいい人で。 」
1人のおばさんが、ため息をついていった。
皆は、おばさんに同意するかのように顔をコクコクと上下させた。
それまで黙っていた玉山が言った。
「 これおいしいですから、ぜひ皆さんも試食してみてください。よかったら買ってくださいね。 」
そういって、人だかりの中を抜けてきた。
ただ玉山自身は、その商品を持っていなかったので、敦子が、一つ商品を籠の中に入れたのだった。
敦子と玉山は、試食売り場にいる人たちをしり目に、どんどん売り場を進んでいき、急いでスーパーを出た。
帰りながら、敦子はついつぶやいてしまった。
「 買い忘れたものないかなあ。焦って買ったからなあ。 」
「 だいじょうぶ? ごめんね。もし買い忘れたものあったらいって。後で買ってくるよ。 」
こころなし眉毛が下がった玉山が詫びてきた。
「 あっ、こちらこそごめんなさい。お米重いでしょ。 」
買ったものは、すべて玉山が持っていてくれているのだが、その荷物の中にはお米も入っている。
「 重くないよ。 」
「 玉山さんも大変でしたね。 」
心から敦子がそういうと、玉山が幾分小さな声で言った。
「 滝村さんこそゆっくり買えなくて悪かったね。僕としては、一緒にする買い物は、楽しかったんだけどね。 」
その言葉で、敦子の先ほどの疲れは吹っ飛んでしまった。
そのあとの爆弾発言に敦子は、気が遠くなる寸前だった。
「 今日は、料理手伝ってもいい? 野菜ぐらいなら洗えるし。 」
どうやら今から、二人で仲良く?お料理タイムになりそうです。
アパートの駐車場に車を入れてから、車に乗ったまま玉山が言った。
「 夕飯食べに行かない? 」
「 あっ、よかったらまたうちで食べませんか? いつもの田舎料理ですけど。」
「 いいの? 買い物また行く? 荷物持ちするよ。 」
「 ありがとうございます。いいんですか? じゃあお願いします。 」
「 時間は、2時ごろはどう? 」
「 はい、じゃあその時間にインターホン鳴らしていいですか。 」
「 分かった。待ってる。 」
2人は、車から降り、自分の部屋に帰っていった。
敦子のバッグは、玉山が部屋の前まで運んでくれた。
「 じゃあ、また。 」
そういって玉山は、部屋の中に入っていった。
敦子も部屋に入り、急いで洗濯をして、掃除を始めた。
あっという間にお昼になり、冷蔵庫にあるものを食べたりして冷蔵庫の中がすっきりした。
帰ってから着替えていた部屋着を脱いで、急いでちょっとだけよそいきのブラウスとスカートに着替える。
それから買うものをメモしていると時間になり、慌てて玉山の部屋に向かった。
インターホンを押すと、玉山がすぐに出てきてくれた。
「 すみません、お願いしてしまって。 」
「 いや、今日の夕飯ごちそうになるからね。当然だよ。 」
玉山は、一緒にスーパーに行ってくれるようだが、玉山とスーパーは、似合わないかなと思ったら少しだけ笑えてきた。
敦子が、笑いを我慢しすぎて、肩を震わせたのに気が付いたのだろう。
「 なに笑ってるの? 」
玉山が、目ざとく聞いてきた。
「 いえっ、玉山さんとスーパーってなんだか似合わなくて。高級食材店なら似合いそうですけどね。 」
敦子も玉山にずいぶん慣れてきて、軽口をたたけるようになってきた。
「 そうかなあ、滝村さんと行くスーパーは、楽しいよ。 」
玉山の発言に聞いた敦子の顔が赤くなってしまった。
敦子は、もう玉山のほうを見ないように歩き出した。
そうして二人で歩いてスーパーに向かった。
スーパーに入り、売り場を見ながら歩いていると、大きい声がした。
「 あらっ、この前の新婚さんね。よかったらまた味見してって。 」
この前の試食売り場にいたおばちゃんが、今日もいた。
目ざとく玉山を見つけたらしい。
おばちゃんは、今日もまた玉山をロックオンしている。
「 また新婚さんて言われちゃったね。そう見えるのかなあ。うれしいなあ。 」
玉山のうれしい発言に、敦子はなんだか鼻がつんとした。
思わずハンカチで抑えると、赤いものは出ていなくてほっとした。
おばちゃんは、敦子の様子など気にもせず、夢中で玉山を呼んでいる。
爪楊枝に刺した試食を手に振り回しているので、敦子はその試食が飛ばないか心配してしまった。
あまりのおばちゃんの気迫に玉山と試食売り場に行くと、おばちゃんは試食のウインナーをホットプレートいっぱいに焼いていた。
あまりの量になんだか売り場に煙がもうもうと立ち込めてきた。
またもや敦子の事は、忘れられていて、なぜか試食が入ったお皿ごと玉山にささげられた。
ちょうどそこへいつも来る常連さんだろうか、おばさんがふたりやってきた。
「 あらっ、今日はすごい試食の量ね。一つちょうだい。 」
おばさんたちは、すごい早業で試食のついた爪楊枝をとり食べている。
「 おいしい。もう一つね。 」
二つ食べて満足したのだろう。
やっと自分たちの前にいる試食売り場のおばちゃんの視線に気が付いた。
おばさんたちは、視線の先を見た。
おばさんたちは、だまってしばらく玉山の顔を眺めていた。
そして今度は、玉山の足のつめから頭の先までもう一度よく見てから言った。
「 あらっ、やだ。芸能人さん! 」
その声で、なぜかそばに来るのを躊躇していた人たちがわらわらとやってきた。
いつの間にか玉山は、おばさんたちに取り囲まれてしまったので、敦子は焦っていった。
「 違います!このひと普通の会社員です! 」
まず試食のおばちゃんが、敦子の声に気が付いていった。
「 そうよ、この人あの人のご主人なのよ。 」
そういったおばちゃんは、なぜか誇らしげに皆に伝えた。
皆が一斉に敦子に注目してきた。
「 そうなの~、いいわね。こんなカッコいい人で。 」
1人のおばさんが、ため息をついていった。
皆は、おばさんに同意するかのように顔をコクコクと上下させた。
それまで黙っていた玉山が言った。
「 これおいしいですから、ぜひ皆さんも試食してみてください。よかったら買ってくださいね。 」
そういって、人だかりの中を抜けてきた。
ただ玉山自身は、その商品を持っていなかったので、敦子が、一つ商品を籠の中に入れたのだった。
敦子と玉山は、試食売り場にいる人たちをしり目に、どんどん売り場を進んでいき、急いでスーパーを出た。
帰りながら、敦子はついつぶやいてしまった。
「 買い忘れたものないかなあ。焦って買ったからなあ。 」
「 だいじょうぶ? ごめんね。もし買い忘れたものあったらいって。後で買ってくるよ。 」
こころなし眉毛が下がった玉山が詫びてきた。
「 あっ、こちらこそごめんなさい。お米重いでしょ。 」
買ったものは、すべて玉山が持っていてくれているのだが、その荷物の中にはお米も入っている。
「 重くないよ。 」
「 玉山さんも大変でしたね。 」
心から敦子がそういうと、玉山が幾分小さな声で言った。
「 滝村さんこそゆっくり買えなくて悪かったね。僕としては、一緒にする買い物は、楽しかったんだけどね。 」
その言葉で、敦子の先ほどの疲れは吹っ飛んでしまった。
そのあとの爆弾発言に敦子は、気が遠くなる寸前だった。
「 今日は、料理手伝ってもいい? 野菜ぐらいなら洗えるし。 」
どうやら今から、二人で仲良く?お料理タイムになりそうです。
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