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1章、お嬢様になっちゃった?
8.料理長の思い出①
しおりを挟む「ずるーい!アリンたちだけでおいしいもの先に食べちゃうなんて!」
「ごめんなさいお姉さま、お夕飯用に漁師のおじさまたちが新鮮な海ムカデをとってきてくれますから。」
「じゃあ仕方ないわね、待ちますわ。」
「アリン、お前は本当に海の神々に愛されているね。将来領主の仕事譲ったほうがいいかなぁ。」
「それはダメですわヘルン。アリンは自由にさせてこそ、その威力を発揮するのですわ。アリンのわがままは、いつだって誰かのためになっているんですの。でもそれをうまく使ってくれる人、後始末をしてくれる人が居なきゃいけないのもまた事実。それがお父様とお兄様ですのよ。」
「じゃあ、メルンは?」
「わたくしはよそへ嫁いでつながりを作らなくちゃいけませんからねーオホホホホ」
「やれやれ…でもまあ嫌なものじゃないから仕方ないね、アリンの破天荒は。」
「お兄さま、お姉さま…ありがとうございます。」
ウチのお嬢がたと坊ちゃまはみんな仲良しだ。
この港の領地は長い間貧乏だったと聞く。
少しでも金を稼ぐために悪いことをたくさんしてきた昔の領主は、海賊ともつながっていたらしい。
その脅威を取り除き、新しく領主になった貴族が、初代サバイヴ様だという。
とても好戦的な初代様が腐った貴族と海賊を一掃し、辺境伯からソウロウ侯爵位となり、ようやく平和が訪れて、幾星霜。
今ではのんびり屋な隠居された大旦那様と、ちょっと親ばかな旦那様に見守られて、今のお嬢たちがいる。
だが、あの小さなお身体の内には、初代様から引き継がれた大きな大きな行動力が、しっかと受け継がれている。
俺は「それ」を何度も見てきた。
かの力が、初代様のように戦事に向かなかったことに、安心している。
お嬢が食いしん坊でよかったと、声にこそ出さないがいつも思っている。
さて、今日のお夕飯に一品追加だ、頼むぞ海ムカデ。ちょうどたった今届いたところだ。
「お嬢ー、アリン様ー。届きましたぜ、海ムカデ。処理の仕方教えてくださいよ。」
「まあ、ありがとうクックーマン。厨房に行ってきます、待っててくださいねお兄さまお姉さま!」
「お夕飯が楽しみですわ!」
「家族全員陰性で本当に良かった…」
^^^^^^^^^^
あれは、ひどく暑い暑い夏月だった。
例年よりも早く、多く、死者が出てしまっていた。
どこの領主様も心と頭を痛めていた。
水分と塩分の補給、屋外へ出るのを控え、風通しの良い場所に居ることが大切だと分かっていても、民たちは働かねばならない。
働いて働いて、死んでいくのだ。
海がある領地から塩を送り届けることは出来る、だが、それだけしかできない。
魚も海藻も、熱ですぐにやられてしまう。屈折空間バッグの量がまだまだ足りない。
対策方法はわかっていても、それを実現する方法がない。
冷やす方法が、ない。
そんな苦しい夏のある日、お嬢がキレた。
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