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第6段階②
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オフ会?の場所は、ヨカゼさんが予約してくださった完全個室の懐石料理屋さん。
私ごとき庶民にはいささか不釣り合いな気がするんだけど、ヨカゼさんが深田さんの分も含めて奢ってくださるそう。
美味しいものと面白そ……げふん。興味深い話を聞けるかもとあって、即OKしてしまった。
私と深田さんは先に着いてしまったので、個室の中で待つことに。
「美味いもん食いたいならわざわざ兄貴に頼らなくても、俺がいくらでも店紹介するんだがな」
「でもそれ、もれなく深田さんの推しカプ布教入ってきますよね」
「まあ、多少の下心はある」
「慎がやると脅迫みたいにならないか心配だよ」
そんな面白がるような声と共に入ってきたのはヨカゼさん……深田さんのお兄さん、深田新さんだ。
どっちも深田だから、どうしようかな。とりあえず深田さんは深田さんで、ヨカゼさんはヨカゼさんでいいかな。
ヨカゼさんは仕事終わりだという。高級そうなスーツは内側にある筋肉で張り詰めていて、思わずそちらに目が行ってしまった。
でも深田さんほど強面じゃないから、筋肉の圧は感じるけどそこまで怖い印象はない。あとは表情も明るい。常にどこか擦れているような表情の深田さんとは印象も大きく違う。
しかしこうして並んでいるのを見ると、兄弟という感じはする。表情は違うけど、顔の造形が似通ってるんだ。どっちも顔が整って……って、今更だけど深田さんに弟属性が追加されるのか。
ここに来る途中に深田さんに聞いた話だと、ヨカゼさんは何かの会社の社長をしているとか。
兄弟揃って属性過多だ。どういう星の元に生まれたらそうなるの。
そして何度も思ってるけど、なぜ私は美少年もしくはヤンチャな男子校生じゃないのか……イケメン極道兄弟を両サイドに侍らせるのは私じゃないんですが。
ちょっと自分を恨んでいたら、ヨカゼさんが傍にあったお品書きを見せてくれる。
「とりあえず飲み物だけ決めようか。慎は日本酒でいいよね。ねこみや先生は、お酒大丈夫?」
「えっと、そんなに強くないのでお茶で……」
飲めるちゃ飲めるけど、うっかり飲み過ぎて変なこと言わないか心配なので遠慮しておこう。
ヨカゼさんが日本酒とお茶を注文してくれた。
「慎とこうして話すの何年ぶりだろうね」
ヤクザさんは嬉しそうだ。対して深田さんは……目線を逸らして不機嫌そう。
仲良くないのは察してたけど、どういうことだろう。しかし部外者が口を突っ込んでもいいことは無さそうなのでこれは聞かないでおこう。
「普通に誘っても絶対無視されるからね。ねこみや先生のおかげだよ」
「だからって兄貴と話すことはねぇぞ。俺はただ兄貴と先生を2人きりにしたくなかっただけだ」
「そんな警戒しなくても、盗ったりはしないさ」
「いやいや、そういう関係じゃないですから!」
なにこの会話。私はどうして美少年……以下略。
「まあでも慎が誰かを認めるなんて珍しいからさ、これでも兄として心配してるんだよ」
「兄貴に心配してもらう必要はねぇよ。俺が危惧してんのは……」
2人は何か言い争っている。
それにしても、うーん?なんだろうこの胸のモヤモヤ。
「技術はあっても身体が付いてこないと限界がくるよ」
「生憎だがそれで困ったことはねぇんだよ」
「甘いよ慎。いつ何が起こるかわからないなら備えておくべきだ」
「兄貴の仕事に俺と先生を巻き込むな」
憎まれ口を叩かれながらもなんやかんや弟を気にかけてる兄。尊い。しかも極道兄弟揃って……ん?仕事?
「……あの、ヨカゼさんはどういうお仕事を……?」
社長までは深田さんに聞いてる。それに荊棘野組の組織の中に深田新の名前は無かったから、ヤクザさんではないんだよね。
深田家は極道一家って感じなのに、ヨカゼさんだけ縁を切るなりして出てきたのかな。それで社長をしてるって、何の?
ヨカゼさんはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに目を輝かせる。
深田さんは呆れ顔になった。
「ジムを経営してるんだよ。あとはサプリとかの販売。効率的に身体を理想に近付けるがコンセプトで、まず確認するのが目指したい身体。そしてその理想に向けてプランを立ててトレーニングしていくんだ」
サプリ販売はそのトレーニング効果をより高めるための補助として並行して行っているそう。
個別に栄養管理とか筋トレメニューと設備を含めたプランを用意して、理想の身体を目指してもらうとのこと。
アニメキャラの肉体を目指すようなレイヤーさん向けのプランもあるらしく、結構人気らしい。
確かに社長のヨカゼさんがこの完成度だから、それだけで説得力があるよね。
「どう?ねこみや先生なら入会金タダにするし、新しいプランのテストって事にして格安で案内できるよ。理想の身体、欲しくない?」
まあ理想は抱いてますけど、私だって誰もが羨むナイスバディに人生で一度くらいはなってみたいくらいの願望はある。でもジムに通ってまでなりたいとは思わないんだよね。
私の返事が色良くなかったので、ヨカゼさんはターゲットを切り替える。
「慎もどう?俺が思うに、腕と背中の筋肉付ければ延命寺のコスいけると思うんだけど」
「え、それは見たいです!」
「あのな……いいんだよ筋肉は。今の状態で満足してんだから」
そんな会話をしていたら、中居さんたちが料理を運んできてくれた。
私たちはそれまで筋肉やら理想の肉体やらについて語っていただけだったので、なんとなく気まずくてその間は全員黙っていた。
「では、ごゆっくりお過ごしください」
やがて料理やお酒が並び終わったので、中居さんたちはぞろぞろと出て行った。
そして訪れる微妙な沈黙。
「ここ、なかなか美味しいんだよ。天麩羅もあるし、冷める前に食べようか」
こんな高級懐石をなかなか美味しいとは……普段何を召し上がっていらっしゃるんですか。まあそれはさておき、早速天麩羅を……熱い!出来立てだ。衣はサックサクで中の海老は半生なのかぷりぷり。小鉢の和物も使ってる葉っぱの青臭さが全然ない。炒りごまと苦味がいいアクセントだ。
焼き魚はしっとり柔らか。ごはんは粒が立ってるし、味噌汁は出汁がよく効いて美味しい……!
っと、つい夢中になって食べてしまった。
ヨカゼさんは上品に、深田さんは日本酒を手酌で飲みながらおかずを摘んでいる。
「いやぁ、ねこみや先生に気に入ってもらえてよかったよ」
「はい。美味しいです」
「魚メインだからタンパク質も摂れて、小鉢も薄味で色々栄養摂れるしね。俺は米はなしにしてもらったから糖質も抑えられるし」
なんか視点が違う気がするけど、まあヨカゼさんだもんね。店選びは任せてって乗り気だった理由はこれか。
「ヨカゼさんはインストラクターとかもされてるんですか?」
「仕事と自分のトレーニングもあるから、今は昔からの馴染みの人だけかな。パーソナルトレーニングに興味があるなら最初は俺が見ようか?」
「え、いやそういうわけでは」
「ジム初心者で他の人が気になるなら個別スタジオもあるし、時間もねこみや先生に合わせるよ。見た感じ脚の筋肉鍛えれば全体的なバランスが……」
隙あらば布教(筋肉)してくるなヨカゼさん。私だって欲しいですよ筋肉は。脚だって細くしたいし、筋肉増やして代謝アップ、食べても太りにくい身体に憧れはありますけど……
「あんまり運動したくないならヨガでもいいと思うよ。人気の先生紹介しようか?」
止まらないヨカゼさん。思わず深田さんにバトンタッチを……と思ったけど、スマホ眺めてるよこの人。筋肉には興味なしか。
「久しぶりの食事なのにそれは寂しいなぁ。何読んでるんだ?」
見てるじゃなくて読んでるの辺り、お兄さんよくおわかりで。
深田さんは私に深田画面を見せてくれた。原リバの過去ログだ。この先生は私もフォローしてる。
「いいですよね。ヨカゼさんも前に蓬莱寺のコスプレしてませんでした?」
「あれのキャラは全体的に細身だから再現するの大変だったよ。角度とか照明工夫したり。今は鬼は死んで生き返るって作品のハンター目指して胸筋を重点的に鍛えてる」
「ヨカゼさんも読まれてるんですか?私もアニメ観たので最近読み始めたんですけど、面白いですよね」
「主人公の2人もいいけど、他のキャラも濃くていいよね」
「そうなんですよね。登場キャラ多くて誰を推そうかというか、一緒に住んでたり幼児化したり女体化したりが全部公式なんですよ」
異種族だから死ネタが、とか色んな世界線が……とか話をしていたら、ヨカゼさんと私で盛り上がってしまった。
いかんいかん。というかヨカゼさんも、深田さんと話しに来たのでは。
イベントとかで少しだけどお喋りしたことはあったから、下手をすると私の方がお兄さんと喋っているのでは。
というわけで話を振ってみる。反応的に鬼死は未履修と見た。
「深田さんもいかがですか?コメディなので深田さんの肌に合うか分かりませんけど……」
今のところ深田さんはバトルものを好んでいそうなんだよね。これを機に他の沼へ誘ってみよう。
「今調べてたが、こういうのもあるんだな」
「はい。私はアニメからハマったので、深田さんもいかがですか?」
「あー、いや。俺アニメは観る時間がねぇんだよ。原作なら買えば時間見つけて読むんだが……」
確かに、アニメはいざ観ようとすると時間がかかる。尺の関係で原作にあったシーンがカットされたりもするし。
「時間が気になるならアニメ観ながらってプランもあるぞ。筋肉もついて一石二鳥だ。アニメ観ながらだからある程度の時間でも短く感じるって、結構人気で……」
「いや、そういう意味じゃねぇよ」
私もちょっと惹かれたけど、確かに違うと思います。
「修行シーンとかで似た動きのトレーニング取り込むから、一体感あって楽しいんだけど」
「そうじゃねぇ。俺は兄貴のそういうとこが……」
その時、どこからか着信音が聞こえた。深田さんのスマホらしい。
深田さんは画面に映った名前を見て顔を顰めると、電話に出るために一旦部屋から出ていった。
「忙しいみたいだね」
「みたいですね」
読書会の時もたまに不機嫌そうにしながら出て行く時がある。私が知ってる深田さんは漫画読んだり語ったりしてるだけだけど、きっと私がなんとなく想像している以上に忙しいんだろうな。
そんな人とオタ友してるのはなんだか不思議だ。
しばらくして戻ってきた深田さんは用事ができたからと帰っていった。
去り際に「ジム勧誘するな」と釘を刺していかれた。金銭的な心配かな、と思ったけど、後にして思えば「それより描け」ってことだったのかもしれない。
私ごとき庶民にはいささか不釣り合いな気がするんだけど、ヨカゼさんが深田さんの分も含めて奢ってくださるそう。
美味しいものと面白そ……げふん。興味深い話を聞けるかもとあって、即OKしてしまった。
私と深田さんは先に着いてしまったので、個室の中で待つことに。
「美味いもん食いたいならわざわざ兄貴に頼らなくても、俺がいくらでも店紹介するんだがな」
「でもそれ、もれなく深田さんの推しカプ布教入ってきますよね」
「まあ、多少の下心はある」
「慎がやると脅迫みたいにならないか心配だよ」
そんな面白がるような声と共に入ってきたのはヨカゼさん……深田さんのお兄さん、深田新さんだ。
どっちも深田だから、どうしようかな。とりあえず深田さんは深田さんで、ヨカゼさんはヨカゼさんでいいかな。
ヨカゼさんは仕事終わりだという。高級そうなスーツは内側にある筋肉で張り詰めていて、思わずそちらに目が行ってしまった。
でも深田さんほど強面じゃないから、筋肉の圧は感じるけどそこまで怖い印象はない。あとは表情も明るい。常にどこか擦れているような表情の深田さんとは印象も大きく違う。
しかしこうして並んでいるのを見ると、兄弟という感じはする。表情は違うけど、顔の造形が似通ってるんだ。どっちも顔が整って……って、今更だけど深田さんに弟属性が追加されるのか。
ここに来る途中に深田さんに聞いた話だと、ヨカゼさんは何かの会社の社長をしているとか。
兄弟揃って属性過多だ。どういう星の元に生まれたらそうなるの。
そして何度も思ってるけど、なぜ私は美少年もしくはヤンチャな男子校生じゃないのか……イケメン極道兄弟を両サイドに侍らせるのは私じゃないんですが。
ちょっと自分を恨んでいたら、ヨカゼさんが傍にあったお品書きを見せてくれる。
「とりあえず飲み物だけ決めようか。慎は日本酒でいいよね。ねこみや先生は、お酒大丈夫?」
「えっと、そんなに強くないのでお茶で……」
飲めるちゃ飲めるけど、うっかり飲み過ぎて変なこと言わないか心配なので遠慮しておこう。
ヨカゼさんが日本酒とお茶を注文してくれた。
「慎とこうして話すの何年ぶりだろうね」
ヤクザさんは嬉しそうだ。対して深田さんは……目線を逸らして不機嫌そう。
仲良くないのは察してたけど、どういうことだろう。しかし部外者が口を突っ込んでもいいことは無さそうなのでこれは聞かないでおこう。
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「だからって兄貴と話すことはねぇぞ。俺はただ兄貴と先生を2人きりにしたくなかっただけだ」
「そんな警戒しなくても、盗ったりはしないさ」
「いやいや、そういう関係じゃないですから!」
なにこの会話。私はどうして美少年……以下略。
「まあでも慎が誰かを認めるなんて珍しいからさ、これでも兄として心配してるんだよ」
「兄貴に心配してもらう必要はねぇよ。俺が危惧してんのは……」
2人は何か言い争っている。
それにしても、うーん?なんだろうこの胸のモヤモヤ。
「技術はあっても身体が付いてこないと限界がくるよ」
「生憎だがそれで困ったことはねぇんだよ」
「甘いよ慎。いつ何が起こるかわからないなら備えておくべきだ」
「兄貴の仕事に俺と先生を巻き込むな」
憎まれ口を叩かれながらもなんやかんや弟を気にかけてる兄。尊い。しかも極道兄弟揃って……ん?仕事?
「……あの、ヨカゼさんはどういうお仕事を……?」
社長までは深田さんに聞いてる。それに荊棘野組の組織の中に深田新の名前は無かったから、ヤクザさんではないんだよね。
深田家は極道一家って感じなのに、ヨカゼさんだけ縁を切るなりして出てきたのかな。それで社長をしてるって、何の?
ヨカゼさんはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに目を輝かせる。
深田さんは呆れ顔になった。
「ジムを経営してるんだよ。あとはサプリとかの販売。効率的に身体を理想に近付けるがコンセプトで、まず確認するのが目指したい身体。そしてその理想に向けてプランを立ててトレーニングしていくんだ」
サプリ販売はそのトレーニング効果をより高めるための補助として並行して行っているそう。
個別に栄養管理とか筋トレメニューと設備を含めたプランを用意して、理想の身体を目指してもらうとのこと。
アニメキャラの肉体を目指すようなレイヤーさん向けのプランもあるらしく、結構人気らしい。
確かに社長のヨカゼさんがこの完成度だから、それだけで説得力があるよね。
「どう?ねこみや先生なら入会金タダにするし、新しいプランのテストって事にして格安で案内できるよ。理想の身体、欲しくない?」
まあ理想は抱いてますけど、私だって誰もが羨むナイスバディに人生で一度くらいはなってみたいくらいの願望はある。でもジムに通ってまでなりたいとは思わないんだよね。
私の返事が色良くなかったので、ヨカゼさんはターゲットを切り替える。
「慎もどう?俺が思うに、腕と背中の筋肉付ければ延命寺のコスいけると思うんだけど」
「え、それは見たいです!」
「あのな……いいんだよ筋肉は。今の状態で満足してんだから」
そんな会話をしていたら、中居さんたちが料理を運んできてくれた。
私たちはそれまで筋肉やら理想の肉体やらについて語っていただけだったので、なんとなく気まずくてその間は全員黙っていた。
「では、ごゆっくりお過ごしください」
やがて料理やお酒が並び終わったので、中居さんたちはぞろぞろと出て行った。
そして訪れる微妙な沈黙。
「ここ、なかなか美味しいんだよ。天麩羅もあるし、冷める前に食べようか」
こんな高級懐石をなかなか美味しいとは……普段何を召し上がっていらっしゃるんですか。まあそれはさておき、早速天麩羅を……熱い!出来立てだ。衣はサックサクで中の海老は半生なのかぷりぷり。小鉢の和物も使ってる葉っぱの青臭さが全然ない。炒りごまと苦味がいいアクセントだ。
焼き魚はしっとり柔らか。ごはんは粒が立ってるし、味噌汁は出汁がよく効いて美味しい……!
っと、つい夢中になって食べてしまった。
ヨカゼさんは上品に、深田さんは日本酒を手酌で飲みながらおかずを摘んでいる。
「いやぁ、ねこみや先生に気に入ってもらえてよかったよ」
「はい。美味しいです」
「魚メインだからタンパク質も摂れて、小鉢も薄味で色々栄養摂れるしね。俺は米はなしにしてもらったから糖質も抑えられるし」
なんか視点が違う気がするけど、まあヨカゼさんだもんね。店選びは任せてって乗り気だった理由はこれか。
「ヨカゼさんはインストラクターとかもされてるんですか?」
「仕事と自分のトレーニングもあるから、今は昔からの馴染みの人だけかな。パーソナルトレーニングに興味があるなら最初は俺が見ようか?」
「え、いやそういうわけでは」
「ジム初心者で他の人が気になるなら個別スタジオもあるし、時間もねこみや先生に合わせるよ。見た感じ脚の筋肉鍛えれば全体的なバランスが……」
隙あらば布教(筋肉)してくるなヨカゼさん。私だって欲しいですよ筋肉は。脚だって細くしたいし、筋肉増やして代謝アップ、食べても太りにくい身体に憧れはありますけど……
「あんまり運動したくないならヨガでもいいと思うよ。人気の先生紹介しようか?」
止まらないヨカゼさん。思わず深田さんにバトンタッチを……と思ったけど、スマホ眺めてるよこの人。筋肉には興味なしか。
「久しぶりの食事なのにそれは寂しいなぁ。何読んでるんだ?」
見てるじゃなくて読んでるの辺り、お兄さんよくおわかりで。
深田さんは私に深田画面を見せてくれた。原リバの過去ログだ。この先生は私もフォローしてる。
「いいですよね。ヨカゼさんも前に蓬莱寺のコスプレしてませんでした?」
「あれのキャラは全体的に細身だから再現するの大変だったよ。角度とか照明工夫したり。今は鬼は死んで生き返るって作品のハンター目指して胸筋を重点的に鍛えてる」
「ヨカゼさんも読まれてるんですか?私もアニメ観たので最近読み始めたんですけど、面白いですよね」
「主人公の2人もいいけど、他のキャラも濃くていいよね」
「そうなんですよね。登場キャラ多くて誰を推そうかというか、一緒に住んでたり幼児化したり女体化したりが全部公式なんですよ」
異種族だから死ネタが、とか色んな世界線が……とか話をしていたら、ヨカゼさんと私で盛り上がってしまった。
いかんいかん。というかヨカゼさんも、深田さんと話しに来たのでは。
イベントとかで少しだけどお喋りしたことはあったから、下手をすると私の方がお兄さんと喋っているのでは。
というわけで話を振ってみる。反応的に鬼死は未履修と見た。
「深田さんもいかがですか?コメディなので深田さんの肌に合うか分かりませんけど……」
今のところ深田さんはバトルものを好んでいそうなんだよね。これを機に他の沼へ誘ってみよう。
「今調べてたが、こういうのもあるんだな」
「はい。私はアニメからハマったので、深田さんもいかがですか?」
「あー、いや。俺アニメは観る時間がねぇんだよ。原作なら買えば時間見つけて読むんだが……」
確かに、アニメはいざ観ようとすると時間がかかる。尺の関係で原作にあったシーンがカットされたりもするし。
「時間が気になるならアニメ観ながらってプランもあるぞ。筋肉もついて一石二鳥だ。アニメ観ながらだからある程度の時間でも短く感じるって、結構人気で……」
「いや、そういう意味じゃねぇよ」
私もちょっと惹かれたけど、確かに違うと思います。
「修行シーンとかで似た動きのトレーニング取り込むから、一体感あって楽しいんだけど」
「そうじゃねぇ。俺は兄貴のそういうとこが……」
その時、どこからか着信音が聞こえた。深田さんのスマホらしい。
深田さんは画面に映った名前を見て顔を顰めると、電話に出るために一旦部屋から出ていった。
「忙しいみたいだね」
「みたいですね」
読書会の時もたまに不機嫌そうにしながら出て行く時がある。私が知ってる深田さんは漫画読んだり語ったりしてるだけだけど、きっと私がなんとなく想像している以上に忙しいんだろうな。
そんな人とオタ友してるのはなんだか不思議だ。
しばらくして戻ってきた深田さんは用事ができたからと帰っていった。
去り際に「ジム勧誘するな」と釘を刺していかれた。金銭的な心配かな、と思ったけど、後にして思えば「それより描け」ってことだったのかもしれない。
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