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1話

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「やぁっ、だめっ」

 乳首をぱくっと咥えて、舌先で刺激していた雄真くんの動きが止まる。目が合った雄真くんはちょっと不満そうな顔をしていて、ドキドキする。

「奈々、何でいつもエッチの時にいやいや言うの? 俺、そんなにエッチ下手?」

 そんなつもりじゃなかったから。拗ねた声で聞いてきた雄真くんに「ちがうの」と慌てて首を振った。

「ごめんね、雄真くんのせいじゃないの」
「じゃあ、何で? 奈々、いつもエッチの時にイヤッて言うじゃん。本当は俺とエッチしたくない?」

 イヤッて、思わず言っちゃってる自覚はあったけど、そんなに何度も言ってるなんて気付いてなくて、その言葉に戸惑ってしまう。
 もちろん、雄真くんとのエッチがイヤなはずがないから。誤解させちゃって、少しだけ悲しそうな顔をしている雄真くんに、悪いことをした気持ちになってくる。

「そんな事ないよ! 雄真くんとのエッチは…すき、だよ……」

 恥ずかしいけど、誤解はちゃんと解いておきたくて、そこは頑張って伝えてみた。

「じゃあ、何で?」
「……きもち、よくて…」
「どういこと? 気持ちいいなら、イヤじゃないじゃん」
「ちがうの…気持ちいいと、すぐに訳が分からなくなっちゃうから…。それが、苦手って言うか…ちょっと、怖い……」

 だけど、本当の理由を告げるのは、やっぱり恥ずかしすぎて。ぼそぼそと小さな声になってしまった。
 でも、頑張って本当の事を言ってみたのに、雄真くんからは反応がない。あれ? と思って顔を上げたら、なぜか目の前で顔を手のひらで覆ったまま、雄真くんは動かなくなっていた。

「どうしたの……? ごめんね、誤解させちゃって…怒っちゃった?」

 恐る恐る顔を覗き込む。

「まさか! え、なに、その理由!? すっごい可愛いんだけど!!」

 そのタイミングで、ガバッと頭を上げた雄真くんが、いきなり抱きしめてきたからビックリする。

「ヤバい、どうしよう。俺、めちゃくちゃ興奮した」
「ぇ、ぇっ? そう、なの?」

 可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど、そんなに興奮する所が、どこにあったのか、よく分からない。でも、抱きしめる前に一瞬見えた雄真くんの顔は、すごく真っ赤になっていて。くっついた所から心臓がすごくドキドキしているのも伝わるから、雄真くんの言葉が嘘じゃないんだと分かってしまう。

「うん! はぁ、良かった! 俺とエッチするのがイヤなのかな、って心配してたけど、そんな可愛い理由だったなんて!」
「ご、ごめんね……」

 これなら、初めから素直に告げておけば良かった。そんな事を思いながら、雄真くんの勢いにちょっとだけ笑ってしまった。

「大丈夫! でも、それってたぶん、奈々が気持ちいいことに、まだ慣れていないせいだと思うんだよ」
「そう、なのかな……?」
「だから、まずは気持ちいい事に慣れようか」
「えっ、どうやって?」
「俺に任せて! 大丈夫、奈々のイヤイヤがそういう理由だって分かったら、俺、ちゃんと教えてあげられるから!」

 何をするのかも分からなくて、不安だったけど、雄真くんがあまりに嬉しそうだったから、いらない、なんて言えなかった。

「お、お願いします……?」

 そのまま、勢いに飲まれて、思わず返事をしてしまう。

「じゃあ、まずイヤッて言っちゃう所から直そうか」
「うん…」
「今の話しだったら、奈々が「イヤッ」とか「ダメッ」て言っちゃう時って、結局気持ちが良いってことだからさ、まずは、ちゃんと気持ちいいって、言ってみよう」

 素直にそういう事を言うのは、自分がすごくエッチな子になったみたいで恥ずかしい。でも、誤解させて今回みたいに雄真くんを傷付けたくない。

「う、ん……頑張る……」
「ははっ、奈々、もう顔が真っ赤になってる。かっわいい~」
「もうっ、からかわないでっ…!」

 お調子者の雄真くんのいつものノリだと思って、唇を少し尖らせる。

「からかってないよ。奈々は本当にどこもかしこも、可愛いんだよ」

 だけどそう言って、にっこり笑った雄真くんの雰囲気は、今までの無邪気な様子とは違っていた。イタズラっぽい雰囲気がなくなって、真っ直ぐに見下ろしてくる目が熱かった。雄真くんの顔から目が離せないまま、なんだか緊張してしまう。
 雄真くんも男の人なんだ、なんて。知っていたはずなのに、改めて意識しちゃったら、お腹の奥がむずむずして落ち着かなかった。

「頑張り屋なところも。日頃はしっかりしてるのに、結構抜けてたりするところも。恥ずかしがり屋で、すぐに真っ赤になっちゃうところも。すごく可愛い」
「ゆ、ゆうま、くん……」

 頬をゆっくり撫でながら、そんな事を言われたら、どんな反応を返したら良いのか分からない。

「ますます顔が真っ赤になっちゃったね」
「だって……」
「そんな奈々の、慣れないキスに一生懸命応えてくれるこの唇も可愛いし。このピンクのツンって立った乳首も可愛い」
「あっ、まっ、まって……っ」
「うん? 待たないよ。だって、奈々が本当はイヤじゃないんだ、って分かったからね」
「そ、そんな……」
「今日はいっぱい教えてあげるから、俺とイヤイヤする癖を直していこうね」
「ゃっ…」

 あまりの恥ずかしさに緊張しちゃって、また思わず首を振ってしまう。

「な~な」
「ぁっ、ごめ、ん……」
「もう、ほらこっちにおいで」

 ベッドヘッドに凭れた雄真くんが、私に向かって手を差し出した。ゆっくりとマットの上を、雄真くんの方へ移動する。雄真くんの前まできたところで、手を引かれて、後ろから抱えるように抱き込まれた。

「このまま、俺に凭れて力を抜いてて。これから、奈々の気持ちいいところを、いっぱい触ってあげるから、ちゃんと気持ちいいって言葉にしてね」
「うん…わかった……」
「じゃあ、まずは、このピンッて尖った乳首からね」
「やっ、そんなこと言わないで…」
「なんで? もう期待して、こんなに固くしてるでしょ。このピンクの乳首の周りだけを、こうやってゆっくり指の腹でなぞってみようか」

 触れるか、触れないかのギリギリで、動く雄真くんの指がもどかしい。くすぐったいような、でも気持ちいいような感触に、思わず身体を捩ろうとする。

「こーら、奈々。逃げようとしないで」
「だって…くすぐったい……」
「違うよ。ほら、気持ちいいって言ってみて」
「でも……」
「は~や~く~」
「き、きもち、いい……」
「そうそう。奈々はこれも気持ちいいんだよ。ほら、その証拠に、ピンッて立った乳首も、早く触って欲しくて震えているでしょ?」

 目に入った乳首は、まるでピンクの豆のように固くなっていて。雄真くんの指が触れてくれるのを期待して、周りをゆっくりと触られる度に、本当にフルフルと小さく震えていた。
 やだっ、なんで。その光景に、恥ずかしさで一気に身体が熱くなる。

「ゃっ、ちがう、の…」
「違わないよ。奈々はこうやって焦らされるように触られると、すごく期待して、どんどん気持ち良くなっちゃうんだよ」
「ぁっ、ゃぁっ……」
「ほら、また。イヤじゃなくて「気持ちいい」でしょ」
「ぁっ、でも…っぁ、ぁぁ……」

 乳首の周りをなぞる指が、動きをどんどん速めていく。それなのに、相変わらず触れるかどうかのタッチのままで、固くなった乳首自体には触れてくれなくて、もどかしかった。
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