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学園編
権力の暴走を起こしてみましょう
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「少し手が滑っただけでしょう!? オオゲサな! ワタクシがなんで貴方に謝らなければいけないわけ?」
キンキンした高い声で耳が痛い。わざとらしく浮かべる意地悪な笑みはさながら白雪姫に出てくる魔女のよう。可愛くないからやめたらいいのに。……とにかく一旦黙ってくれないか。そんなことを思っても相手側はどうにもならず、ずっとキャンキャン騒いでいた。
『ミカエル。うち、先生を適当に引き止めとくわ』
ソフィからのテレパシー。口に出さずとも意思疎通が出来る。しかし、魔力消費がえげつないのだ。……まあこういったときには有用だ。
『任せた。見つかったら面倒だからね』
ソフィが教室をこっそりと出ていく。さて、反撃するか。私は小さく息を吸う。
「当たり前でしょう? 貴方は男爵家、私は公爵家。こんなことをしておいて不敬に当たらないとでも?」
「あんたなんか、スキルがいいからってだけで、下劣な平民から見た目だけの貴族になっただけでしょ!」
ミカエルが嫌になったわけも分かる。無理やり連れてこられてこれ。こいつとはお茶会で面識があったらしく、私になる前はずっと虐められていたらしい。学園の勉強で相手も優雅に茶会をしている暇がなかったらしい、なので私もミカエルとしての記憶の片隅にこいつのことが転げ落ちてしまっていたのだ。
「なに、言い返せなくなったわけ、」
勝ち誇った笑みを浮かべ、私を見下ろす相手ににっこり笑みを貼り付けて返した。
「もし、貴方の言う『見た目だけの』貴族だったとして。私が公爵家の次期当主に当たることは真実よ。私がこのことを王に進言したらどうなるかしら?」
「なっ……」
やっとこれでどういうことか分かったらしい。みるみる顔が青ざめていく。貴方の知っているミカエルなら言い返さなかっただろうが、私は言い返す。いじめ、ダメ、絶対。というやつだ。美少女・美少年に対しては特に。
「謝罪は?」
「……っ! すいませんでした」
これでもう近寄ってこない。せいせいした。私は風魔法を使い、熱風で床に零れた水を吹き飛ばす。私達は全員席に着いた。ソフィの席を確保しておくために隣に筆箱を置く。そんなことをしているうちにテレパシーが頭の底で響いた。
『もう帰ってもいい? そろそろ限界やわ』
『戻ってきていーよ。制圧は終わったから』
程なくして先生がソフィと共に入ってくる。
「皆さん、遅れてごめんなさいね」
「すいません、私の話に付き合わせてしまって……」
「いえ、とても興味深かったですよ。また話に来てくださいな、ルートヴェング公爵令嬢」
魔法の話で釣ったのだろう。食いつきの様子からして、この前研究していたという従来よりもっと強い防御魔法の効率の良い発動方法についてのことだろうか。
「おかえり、助かったよ」
ソフィが私の用意していた席に座る。彼女は首を振り、否定する。
「ミカエルが居なきゃ悪化してた。ありがとう。先生はこの前の防御魔法のやつで簡単に釣れたし」
「やっぱしそうか」
魔法を研究する人なら誰もが心惹かれるほど面白いらしい。ネロも同じことを言っていた。……私にはよく分からないのだが。魔法オタクではないから仕方ないだろう。
「では、授業を始めます。今回はステータスについてです。ステータスとは人のスキルやレベル、MP及びHPを可視化したものです。では、ステータスを出してみましょう。ステータスを出せてから次の説明に移ります」
ネロに聞いたことと全く同じ。……ネロに教わったときよりだいぶゆっくりだけど。
「では、一人ずつこちらに来て、出来ているかどうか確認します。順に来てください」
順に、つまり身分順。さっさと王子とソフィが平然とクリアしていく。私も先生の前に出て、ステータスを出す。相手は常に鑑定しているので私のステータスが丸見えになっているはず、らしい。
「ちょっと待ってください、確認したいことがあるのですが……」
何故か呼び止められた。ソフィに助けの視線を送るも、無情なことに無視される。……え、なんで私だけ? 怖いんですけど。
キンキンした高い声で耳が痛い。わざとらしく浮かべる意地悪な笑みはさながら白雪姫に出てくる魔女のよう。可愛くないからやめたらいいのに。……とにかく一旦黙ってくれないか。そんなことを思っても相手側はどうにもならず、ずっとキャンキャン騒いでいた。
『ミカエル。うち、先生を適当に引き止めとくわ』
ソフィからのテレパシー。口に出さずとも意思疎通が出来る。しかし、魔力消費がえげつないのだ。……まあこういったときには有用だ。
『任せた。見つかったら面倒だからね』
ソフィが教室をこっそりと出ていく。さて、反撃するか。私は小さく息を吸う。
「当たり前でしょう? 貴方は男爵家、私は公爵家。こんなことをしておいて不敬に当たらないとでも?」
「あんたなんか、スキルがいいからってだけで、下劣な平民から見た目だけの貴族になっただけでしょ!」
ミカエルが嫌になったわけも分かる。無理やり連れてこられてこれ。こいつとはお茶会で面識があったらしく、私になる前はずっと虐められていたらしい。学園の勉強で相手も優雅に茶会をしている暇がなかったらしい、なので私もミカエルとしての記憶の片隅にこいつのことが転げ落ちてしまっていたのだ。
「なに、言い返せなくなったわけ、」
勝ち誇った笑みを浮かべ、私を見下ろす相手ににっこり笑みを貼り付けて返した。
「もし、貴方の言う『見た目だけの』貴族だったとして。私が公爵家の次期当主に当たることは真実よ。私がこのことを王に進言したらどうなるかしら?」
「なっ……」
やっとこれでどういうことか分かったらしい。みるみる顔が青ざめていく。貴方の知っているミカエルなら言い返さなかっただろうが、私は言い返す。いじめ、ダメ、絶対。というやつだ。美少女・美少年に対しては特に。
「謝罪は?」
「……っ! すいませんでした」
これでもう近寄ってこない。せいせいした。私は風魔法を使い、熱風で床に零れた水を吹き飛ばす。私達は全員席に着いた。ソフィの席を確保しておくために隣に筆箱を置く。そんなことをしているうちにテレパシーが頭の底で響いた。
『もう帰ってもいい? そろそろ限界やわ』
『戻ってきていーよ。制圧は終わったから』
程なくして先生がソフィと共に入ってくる。
「皆さん、遅れてごめんなさいね」
「すいません、私の話に付き合わせてしまって……」
「いえ、とても興味深かったですよ。また話に来てくださいな、ルートヴェング公爵令嬢」
魔法の話で釣ったのだろう。食いつきの様子からして、この前研究していたという従来よりもっと強い防御魔法の効率の良い発動方法についてのことだろうか。
「おかえり、助かったよ」
ソフィが私の用意していた席に座る。彼女は首を振り、否定する。
「ミカエルが居なきゃ悪化してた。ありがとう。先生はこの前の防御魔法のやつで簡単に釣れたし」
「やっぱしそうか」
魔法を研究する人なら誰もが心惹かれるほど面白いらしい。ネロも同じことを言っていた。……私にはよく分からないのだが。魔法オタクではないから仕方ないだろう。
「では、授業を始めます。今回はステータスについてです。ステータスとは人のスキルやレベル、MP及びHPを可視化したものです。では、ステータスを出してみましょう。ステータスを出せてから次の説明に移ります」
ネロに聞いたことと全く同じ。……ネロに教わったときよりだいぶゆっくりだけど。
「では、一人ずつこちらに来て、出来ているかどうか確認します。順に来てください」
順に、つまり身分順。さっさと王子とソフィが平然とクリアしていく。私も先生の前に出て、ステータスを出す。相手は常に鑑定しているので私のステータスが丸見えになっているはず、らしい。
「ちょっと待ってください、確認したいことがあるのですが……」
何故か呼び止められた。ソフィに助けの視線を送るも、無情なことに無視される。……え、なんで私だけ? 怖いんですけど。
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