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フェルシア王国・陰謀編
女狐のお茶会
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「お帰りなさいませ、トール殿下。そして、ようこそおいでくださいました、ヴィオテール公爵令嬢、アリア様」
王城の前でにこやかに私達を出迎えてくれたのは、トールの側近らしい。他にもメイドや騎士がずらりと王城の前に並んでいる。ずいぶん豪勢な出迎えだ、と思いトールの方をちらりと見ると、彼は難しそうな顔をしていた。……ん? もしかしてこれ、標準じゃない?
「何かあったのか?」
「……それが……正妃様がヴィオテール公爵令嬢とお話したいと仰っていて……」
「それは今すぐか?」
「片付けが済み次第すぐに来てほしいそうです」
「それは僕も同伴できるのか?」
「いえ、女性同士でお話したい、とのことで……」
「なるほどな」
ちらりとトールがこちらに目線を向ける。この着いたばかりのタイミングでこのお誘い。何かしらがあるのは明らか。少なくとも歓迎はされていない。平穏には済ませてくれないだろう。
でも、これを乗り越えないときっと私たちは進めない。
彼が私を家族から連れ出してくれたように。大丈夫だ、と言ってくれたように。私も彼を守りたいし、助けたい。
だから。にこり、と意識して笑みを作り堂々と言うのだ。
「側近の方。是非お話したいと思いますので、僭越ですが了承の返事を出していただけますか」
「し、承知いたしました。殿下もそれでよろしいでしょうか」
「……ああ、頼んだ」
「では、下がらせていただきます」
側近の人がそう言って去っていくと同時に、女の人が一人。私たちの前に恭しく歩み寄ってきた。彼女は茶髪を見事に編み上げ、化粧も丁度いいくらいに施しており、一見友好的な笑みをたたえている。まさに歓迎しています、というような振る舞いだ。が、向けられている目線は明らかに冷たい。これは同じものだ、あの妹が私に向けていた、あの視線と。ぞっとして、鳥肌が立つような感じが。
「殿下、ヴィオテール公爵令嬢を正妃様のもとまでお連れする任を預かっておりますので、同伴を許してくださらないでしょうか」
「あぁ、勿論だ」
……なるほどそうきたか。おそらく私達に作戦会議をさせたくはないらしい。同伴などさせなくとも、後で迎えに来てもいいはず。狙っているのは私の失言といったところか。
「では二人とも、付いてきてくれ。これから過ごすことになるであろう西棟に向かう」
「ええ、了解いたしました」
一瞬トールが心配そうに眉を下げたように見えたので、しっかりと微笑み返す。伊達にあの馬鹿王子の婚約者何年もやってなかったんだわ。不本意ながらも何人も他の候補をあしらってきたので、これでもこういう女狐の相手は慣れているのだから。
王城の前でにこやかに私達を出迎えてくれたのは、トールの側近らしい。他にもメイドや騎士がずらりと王城の前に並んでいる。ずいぶん豪勢な出迎えだ、と思いトールの方をちらりと見ると、彼は難しそうな顔をしていた。……ん? もしかしてこれ、標準じゃない?
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「……それが……正妃様がヴィオテール公爵令嬢とお話したいと仰っていて……」
「それは今すぐか?」
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「いえ、女性同士でお話したい、とのことで……」
「なるほどな」
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でも、これを乗り越えないときっと私たちは進めない。
彼が私を家族から連れ出してくれたように。大丈夫だ、と言ってくれたように。私も彼を守りたいし、助けたい。
だから。にこり、と意識して笑みを作り堂々と言うのだ。
「側近の方。是非お話したいと思いますので、僭越ですが了承の返事を出していただけますか」
「し、承知いたしました。殿下もそれでよろしいでしょうか」
「……ああ、頼んだ」
「では、下がらせていただきます」
側近の人がそう言って去っていくと同時に、女の人が一人。私たちの前に恭しく歩み寄ってきた。彼女は茶髪を見事に編み上げ、化粧も丁度いいくらいに施しており、一見友好的な笑みをたたえている。まさに歓迎しています、というような振る舞いだ。が、向けられている目線は明らかに冷たい。これは同じものだ、あの妹が私に向けていた、あの視線と。ぞっとして、鳥肌が立つような感じが。
「殿下、ヴィオテール公爵令嬢を正妃様のもとまでお連れする任を預かっておりますので、同伴を許してくださらないでしょうか」
「あぁ、勿論だ」
……なるほどそうきたか。おそらく私達に作戦会議をさせたくはないらしい。同伴などさせなくとも、後で迎えに来てもいいはず。狙っているのは私の失言といったところか。
「では二人とも、付いてきてくれ。これから過ごすことになるであろう西棟に向かう」
「ええ、了解いたしました」
一瞬トールが心配そうに眉を下げたように見えたので、しっかりと微笑み返す。伊達にあの馬鹿王子の婚約者何年もやってなかったんだわ。不本意ながらも何人も他の候補をあしらってきたので、これでもこういう女狐の相手は慣れているのだから。
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