御曹司様はご乱心!!!

萌菜加あん

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第三十八話 ふたりの初夜

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「もうちょっと……こっちへこないか?」

鳥羽さんが不自然に視線を泳がせて、そう言った。

「そ……そう?」

リビングに置かれたソファーの端っこに腰かけていたあたしは、
心持ち鳥羽さのほうに身体を動かした。

「遠い」

鳥羽さんの眉間に不機嫌の縦皺が寄った。

「ひっ!」

思わずあたしは条件反射で、小さな悲鳴を上げてしまった。

「なんだ? お前、ひょっとして今更ビビってる?」

鳥羽さんが目を瞬かせながら、あたしの顔を凝視してくる。

「びっビビるわけないでしょう? 
今更。かっかっか……覚悟はできてるわよ」

言葉とは裏腹に、情けないほど声が震えてしまった。

そんなあたしに、鳥羽さんがぷっと噴き出した。

「何その切腹前の武士みたいな覚悟」

鳥羽さんは笑いながらあたしを抱きしめた。

「うっうるさいなぁ! どうせ緊張してるよ。
こういうシチュエーションとは無縁の生活だったし、
鳥羽さんが初めてだし……。
今鳥羽さんのことで頭の中がいっぱいで、
爆発しちゃってるっていうか……」

あたしは……一体何をほざいている?

ああもう、いっそのこと穴があったら入りたい。
そしてそこから一生出てきたくない。

そんなテンションだ。

「ふぉ~ん、そうか、そうか。
望月さくらの頭の中は俺のことでいっぱいなんだぁ」

鳥羽さんの中の妖怪ウザガラミが、
どうやら立派に復活を遂げたらしい。

自分が発した死ぬほど恥ずかしい発言を、おうむ返しで好きな相手に告げられるという、
この羞恥プレイは一体……。

あたしはがっくりと肩を落とした。

「さくら、死ぬほど嬉しい」

妖怪ウザガラミとみせかけてからの、
そのストレートな発言にあたしは撃沈する。

鳥羽さんの人差し指が、不意にあたしの唇に触れる。

「さくら、鳥羽さんじゃない。
総一郎だ」

少し掠れた声で、耳朶にそう囁かれると、

「総一郎……さん」

あたしは死ぬほど赤面して、蚊の鳴くような
声でその名を呼んだ。

「さくら……好き……すげぇ……好き」

熱に浮かされたように、鳥羽さんがあたしの名前を呼んで
激しく唇を奪う。

「はっ……はぁっ……」

息をつく暇もなく、思わず艶な吐息が漏れてしまう。
その吐息ですらも、逃すまいとするかのように、

鳥羽さんの舌が絡められると感情の昂ぶりに、
目頭が熱くなる。

「苦しい? さくら」

そう問われて、あたしは小さく頷いた。

「俺も……苦しい」

そう言って鳥羽さんは切な気な眼差しをあたしに向けた。

「いや苦しいなんてもんじゃない。
狂おしいほどに……お前が欲しい」

低く絞り出すような切羽詰まった声だった。

「ごめん……お前……初めて……なのに……。
優しくなんて……とてもできそうに……ないんだ」

とぎれとぎれに、ひどく苦し気に
鳥羽さんが言葉を紡いでいく。

「謝らなくても、いいよ。どんなあなたも、あなただから。
全部受け止める」

あたしは鳥羽さんの頬に、そっと触れて
微笑んで見せた。

「お前に触れたい。お前が……欲しい。いいか?」

そう問われて、あたしは小さく頷いた。

鳥羽さんの大きな掌が、あたしの胸に触れて、
弧を描くように大きく揉みしだくと、

あたしは思わず小さく声を上げてしまった。

大きな掌、そして少し無骨な手が、
自分の胸に触れているその感覚に、

あたしは唇を噛み締めた。

それでも小さく声が漏れてしまう。

最初は痛みのため、
だけどそれは徐々に歓喜の吐息へと変わっていく。

「総一郎……さん」

不意に愛しさが込み上げてきて、
あたしはその名前を呼んだ。

「お願い……欲しいの」

鳥羽さんの耳元にそう囁くと、
なぜだか、涙が零れた。

愛おしくて、切なくて、
言葉にならない感情のうねりが

あたしの身体を貫いてゆく。

あたしの言葉に鳥羽さんの動きが止まった。

「少し、痛いかもしんねぇけど、
我慢できるか?」

そう問われて、あたしは頷いた。

「まずはここを緩めなければ」

鳥羽さんの指があたしの秘密の場所へ降りてくると、
あたしはきゅっと目を閉じた。

「力を抜いて、さくら」


鳥羽さんの言葉に、あたしは息を吐いた。

鳥羽さんのゆびの腹が蕾に触れて、
弧を描くようにゆっくりと開花を促すと、

蜜を吐き出して、
その場所をしっとりと濡らしていく。

「さくら、すっげぇ濡れてる」

鳥羽さんの言葉に、あたしは羞恥で死にそうになる。

「やっ、やだっ! そんなこと言わないで」

あたしは小さく首を横に振る。

「さくら、これは何も恥ずかしいことじゃない。
お前の身体が、俺を受け入れる準備を整えたってことだ」


そう言って鳥羽さんがあたしを背後から抱き竦める。

一糸纏わぬ素肌の鳥羽さんの温もりを背中に感じて、
あたしの鼓動は早くなる。

あたしは鳥羽さんの膝の上に座らされて、
足を開かされる。

「やだ……こんなのっ、
総一郎……さん……恥ずかしい……よう」

泣きの入った声で、鳥羽さんに訴えるが

「ちゃんと準備しとかないと、後で辛くなるぞ?」

どうやら鳥羽さんは許してくれないらしい。

鳥羽さんの左右の指が、器用にその場所に触れて、
開花を促すと、蕾は蜜を吐き出しながら、鳥羽さんの指をくわえ込む。

「ひあっ!」

なかに鳥羽さんの指を感じて、あたしは思わず小さく悲鳴を上げた。

「痛いか?」

そう問われて、あたしは小さく首を横に振った。

不思議と痛くはない。

それに生まれて初めてその場所を愛しい人に触れられて、
開かれてゆくことに、身体が歓喜の声を上げているのを感じた。

「大丈夫そうだな? だったら、指二本に増やすぞ?」

その言葉とともに、鳥羽さんの指が増やされて、
かき回される。

淫ら水音が、部屋に響いてさらにあたしの羞恥心をかき乱す。

昂ぶりと快感に、もうどうにかなってしまいそうだった。

「さくら、イッて」

愛しさの滲んだ声で、鳥羽さんがあたしの耳に囁く。

「さくらお前、すげぇエロい。
俺の腕の中で、俺の指に犯されて
お前は俺のものになるんだ。この瞬間に。
俺だけのものに」

刹那、鳥羽さんの指がぐっと奥の部分に触れた。

「あっ、あっああああああ!」

身体に電流のようなものが駆け抜けて、
あたしは悲鳴をあげてしまった。

一瞬、視界が白くぼやけたような気がした。

そんなあたしを鳥羽さんがしっかりと抱きかかえ、

「ちゃんとイケたじゃん。上手にできました」

そういって、ほっぺにキスをしてくれた。

そしてあたしたちは、向かい合って

あたしはゆっくりと腰を下ろし、
その場所に鳥羽さんを迎え入れる。

「いっ痛いっ!」

一瞬、身体を引き裂くよな、痛みが走って、
あたしは思わず声を上げてしまった。

あたしを傷つけまいと、
鳥羽さんは受け身に徹してくれている。

「さくらっ……はぁっ……急ぐな……。
ゆっくりで……いい……から」

あたしよりよっぽど辛そうな顔をして、
鳥羽さんがその衝動に必死に耐えている。

奥まで一つになれたところで、
鳥羽さんがきつくあたしを抱きしめた。

「ようやくお前と……ひとつに……なれた。
これで俺も、お前のものだ」

刹那、あたしの奥にぐっと、鳥羽さんが自身を突き上げてきた。

「あっ!」

その感覚に声が漏れてしまった。

「この場所がどういう場所か知っているか? さくら」

そう問われて、あたしは小さく首を横に振った。

「子宮口だ。俺とお前の子を成す場所だ」

そう言って鳥羽さんが、至極幸せそうに笑う。

そしてその場所に、自身を突き上げる。

「ふぁっ!」

その度に、身体が甘美な疼きに震える。

「さくら声、我慢しなくていい。どうせ明日まで誰も来ないのだから」

幾度もその場所に突き上げられて、
鳥羽さんの先走りがその場所に触れると、

「総一郎さんっ!」

たまらずあたしは鳥羽さんにしがみついてその名前を呼んだ。

下腹部がきゅっと収縮するのを感じると、
鳥羽さんが切な気に、顔を顰めてぐっとあたしの腰を引き寄せた。

「さくらっ! 出すぞ!」

幾度か深く突き上げられて、その部分に鳥羽さんの白濁の液が吐き出されると、
あたしは少しの間、鳥羽さんの腕の中で意識を失っていたようだ。














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