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平岡の名をかたれぬ男
『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部発表。帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり。』
平岡公威、ペンネーム三島由紀夫が朝一番に聞いたラジオは大東亜戦争の開戦を伝えるものだった。
「ついに始まったぞ!」
三島は机を叩いて喜んだ。
「公威!早く中等学校にいけ!」
父にせかされ三島はいやいや、家を出た。
町はまだ朝だというのに熱気が覆っていた。
ほぼすべての家から放送されている軍歌が聞こえてきた。
中等科につくと馬術部の先輩がやってきた。
「平岡!ついに始まったな!我々もしっかりやるぞ!」
「はい!」
その日の授業は終始楽しかった。
家に帰るとちょうど戦果発表が行われていた。
『1、帝国海軍は真珠湾に決死の大空襲を敢行。敵戦艦7隻を撃沈、3隻を撃破せり。2、帝国海軍は本日8日午後2時、ハワイ周辺海域において敵艦隊にに猛烈なる攻撃を行い空母1隻、重巡3隻、駆逐艦多数を撃沈せり。3、帝国海軍はミッドウェー諸島周辺において敵艦隊に熱烈なる攻撃を敢行。空母1隻、重巡3隻、駆逐艦多数を撃沈せり。4、帝国陸軍は海軍の支援を受け、ウェーク、ミッドウェー、アッツ、キスカ島を攻撃、これを占領せり。5、帝国陸軍は本日8日未明、コタバルに山下中将率いる戦車部隊が上陸。シンガポールに向けて破竹の勢いで進撃せり。6、帝国海軍はパナマ運河に攻撃を敢行。これは無力化せしめたり。』
全ての戦果を聞き終わったとき、三島は泣いて喜んだ。
そのあと首相の演説が行われた。
『ただ今、宣戦の御詔勅が渙発せられました。精鋭なる帝国陸海軍は、今や決死の戦いを行いつつあります。東亜全局の平和はこれを念願する帝国のあらゆる対話の要請にもかかわらず、遂に決裂のやむなきに至ったのであります。政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力してまいりましたが、米国はは従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって英蘭比と連合し、支那より日本の駐留部隊の無条件全面撤兵を要求し、帝国の一方的譲歩を強要してまいりました。これに対し帝国は、あくまで平和的妥結の努力を続けてまいりましたが、米国は少しも反省の色を示さず、今日に至りました。もし帝国が彼らの強要に屈従するものなら、帝国の権威を失墜、大東亜共栄の完遂を切り捨てるのみならず、遂には帝国の存立をも危険に陥める結果となるのであります。事ここに至りましては、帝国は現下の時局を打開し、自存自衛を全うするため、断固として立ちあがることに至ったのであります。勝利の要は、必勝の精神であります。建国二千六百年、我等は未だかつて戦いに敗れたことを知りません。帝国臣民におかれましては我々精鋭なる帝国陸海軍の勝利を信じて日々の暮らしを続けていただきたく思います。』
犬養首相の聞き馴染んだ声によって発せられた演説に三島の家族はただただ黙って拍手をしていた。
これにより本土では開戦の熱気で覆われた。
平岡公威、ペンネーム三島由紀夫が朝一番に聞いたラジオは大東亜戦争の開戦を伝えるものだった。
「ついに始まったぞ!」
三島は机を叩いて喜んだ。
「公威!早く中等学校にいけ!」
父にせかされ三島はいやいや、家を出た。
町はまだ朝だというのに熱気が覆っていた。
ほぼすべての家から放送されている軍歌が聞こえてきた。
中等科につくと馬術部の先輩がやってきた。
「平岡!ついに始まったな!我々もしっかりやるぞ!」
「はい!」
その日の授業は終始楽しかった。
家に帰るとちょうど戦果発表が行われていた。
『1、帝国海軍は真珠湾に決死の大空襲を敢行。敵戦艦7隻を撃沈、3隻を撃破せり。2、帝国海軍は本日8日午後2時、ハワイ周辺海域において敵艦隊にに猛烈なる攻撃を行い空母1隻、重巡3隻、駆逐艦多数を撃沈せり。3、帝国海軍はミッドウェー諸島周辺において敵艦隊に熱烈なる攻撃を敢行。空母1隻、重巡3隻、駆逐艦多数を撃沈せり。4、帝国陸軍は海軍の支援を受け、ウェーク、ミッドウェー、アッツ、キスカ島を攻撃、これを占領せり。5、帝国陸軍は本日8日未明、コタバルに山下中将率いる戦車部隊が上陸。シンガポールに向けて破竹の勢いで進撃せり。6、帝国海軍はパナマ運河に攻撃を敢行。これは無力化せしめたり。』
全ての戦果を聞き終わったとき、三島は泣いて喜んだ。
そのあと首相の演説が行われた。
『ただ今、宣戦の御詔勅が渙発せられました。精鋭なる帝国陸海軍は、今や決死の戦いを行いつつあります。東亜全局の平和はこれを念願する帝国のあらゆる対話の要請にもかかわらず、遂に決裂のやむなきに至ったのであります。政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力してまいりましたが、米国はは従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって英蘭比と連合し、支那より日本の駐留部隊の無条件全面撤兵を要求し、帝国の一方的譲歩を強要してまいりました。これに対し帝国は、あくまで平和的妥結の努力を続けてまいりましたが、米国は少しも反省の色を示さず、今日に至りました。もし帝国が彼らの強要に屈従するものなら、帝国の権威を失墜、大東亜共栄の完遂を切り捨てるのみならず、遂には帝国の存立をも危険に陥める結果となるのであります。事ここに至りましては、帝国は現下の時局を打開し、自存自衛を全うするため、断固として立ちあがることに至ったのであります。勝利の要は、必勝の精神であります。建国二千六百年、我等は未だかつて戦いに敗れたことを知りません。帝国臣民におかれましては我々精鋭なる帝国陸海軍の勝利を信じて日々の暮らしを続けていただきたく思います。』
犬養首相の聞き馴染んだ声によって発せられた演説に三島の家族はただただ黙って拍手をしていた。
これにより本土では開戦の熱気で覆われた。
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