皇国の栄光

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拒絶

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ルーズベルトはホワイトハウスの執務室で目を瞑っていた。
「大統領、どうされますか?」
トルーマンが横に立って言った。
「現状、我が国は太平洋方面で劣勢に立たされたままだ。先の海戦で日本艦隊にも損害を与えたが、我が艦隊の比ではない。再建には少なくとも1年半はかかる。日本もそれを知っていてあの宣言を発したのだろう。イギリスはすでに調印したと聞く。そしてチャーチルからも宣言を受け入れるように要請が来た。」
弱気にルーズベルトが言いうとトルーマンは1つの報告書を手渡した。
「これは?」
「マンハッタン計画の進捗報告です。当初の予想より早く完成するとのことです。」
それを聞いたルーズベルトは先ほどとは打って変わった明るい顔で言った。
「それは本当か?!それなら、敵艦隊が集結している所に使用すれば敵は消滅し海軍を用いて日本の勢力を一気に太平洋から追い出せる!」
ルーズベルトはすぐにトルーマンに言った。
「日本に宣言の拒絶を通告しろ!我々合衆国はアジアと自由の侵略者に屈しないと!」
「承知しました。」
そういってトルーマンは部屋を出た。
執務室から十分離れた時、彼はぼやいた。
「合衆国が黄色い猿どもに負けてはならない。いや。負けるはずがないのだ。だから、この程度の嘘など大したことはない。」
そう言って彼は、つぶされた研究者に書き直させる前の報告書をゴミ箱に捨てた。


『我々は決して卑劣な黄色人種の脅迫に屈しません!今一度、リメンバーを叫びましょう!パールハーバー、パナマ、フィリピン、ハワイ、自由の女神、そして幾多の全量なアメリカ国民の命に向けて!そしてやつらに思い出させてやりましょう!80年前、ペリー提督が文明を持ち込んだことを!今度は私たちの番です。彼の人種に自由を持ち込んでやりましょう!』
ラジオの聞き馴染んだ声はいつになく明るかった。
「司令長官、どうなさいました?」
副官はそう尋ねる。
「いや、なに。まだ戦争が終わらないのかと思っていただけだ。」
「我々太平洋艦隊は甚大な損害により日本海軍を抑えることは難しくなりました。日本もそれを見越して講和を要請してきたのでしょう。条件をみるとさほど悪くは思えません。」
「その通りだ。ここまでくると大統領の意地だろうな。」
ニミッツはそういうと海の方を見た。
「もうすでに100万をこえる日米両将兵たちが散っている。君の父親も。これ以上、殴りあっても何も得ないというのに。」
副官は一瞬、顔が暗くなったがすぐに言った。
「ですが、我々は政治には意見できません。上が決めたことは遂行しなければなりません。たとえ、それが父が望むものでないとしても。」
「…そうだな。」
ニミッツは静かに頷いた。

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