皇国の栄光

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8月6日、午前8時15分

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注意。
今回、原子爆弾の表現があります。
それをご承知の上でお読みください。


7月26日、午前0時。
東京宣言の採択からちょうど2か月たった頃、陸海首脳部が大本営に集まっていた。
「昨日でちょうど2か月が経ちました。米国からは何ら外交的接触が見られませんでした。」
石原の代理として安藤がそう残念そうに報告した。
「…そうなると、あの兵器を使うしかないか。」
ため息交じりに山本が零した。
「すでに、航総研から新型重爆の完成が報告されています。特務機関の情報によると新型重爆が飛行する高度まで上昇できる連合軍機は確認されていないとのこと。」
山口も暗い顔で言った。
「ようやく、米帝に一撃を食らわせられます!航総研の技術の結晶の爆撃機にアインシュタイン博士や荒勝博士、仁科博士の科学力が詰まった爆弾を乗せるのです!失敗することはないでしょう!」
牟田口は一人だけ明るい声で言った。
本来ならば、山下が出席する予定だったが、胃を患ったため急遽本土防衛の任についていた牟田口が呼ばれた。
「…では私のほうからアインシュタイン博士たちに了解を取って参ります。早くても7月の終わりごろになると思われますのでそのつもりで。」
伊藤はそう言って部屋から出ていった。


その後、許可が下り新型重爆の富嶽がハワイに進出した。
新型爆弾は万が一に備え、大和に乗せて運んだ。
そして出撃準備が命令される。
搭乗員は数々の戦いで経験を積んだ者たちで構成され、リスク分散のため10機の内1機に新型爆弾を搭載した。
準備が完了し搭乗員たちは出撃式を行う。
「諸君らは、世界で初めて米国本土に対して大規模な爆撃を行う者たちである。目標はロサンゼルス。アメリカ太平洋艦隊第2の母港だ。この攻撃で戦争が終結すると心得て、より一層努力せよ。」
壇上に立っていた有賀が話し終えると搭乗員は敬礼し、各々の搭乗機へ向かっていった。
1番機が発進する姿を有賀はただ眺めていた。
次々と発進していきその後、瞬く間に編隊を結成し東へ飛び去って行った。


ニミッツの副官であったエドワード・D・スプールアンスはロサンゼルスは地下の倉庫で頼まれた資料を探していた。
「あっこれか。ハワイ空襲での日本機の性能について。なんでこんなものを。」
スプールアンスはそう思いながらも地上に戻ろうと階段を駆け上がる。
時刻は8時13分。
今日はルーズベルトが遊説ついでに太平洋艦隊に檄を飛ばしに来るのだ。
ルーズベルトが来るのは8時30分。
あまり時間がなかった。
そして地下1階の扉を開けようとした時だった。
「…!なんだ!?」
突然、凄まじい揺れに襲われ立っていられず倒れこんだ。
「何が起きた!」
彼は急いで扉を開けた。
「…なんだ…これは。」
彼の目に飛び込んできたのは焦土とつい1時間前までそこにいた艦隊の残骸のようなものだけだった。
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