皇国の栄光

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8月9日、午前11時2分

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8月9日、マッカーサーはオリビアいた。
ここに西海岸防衛の総司令部を設置するからだった。
「防衛戦略はどうだ?バックナー中将。」
そう言われてサイモン・ボリバー・バックナー・ジュニアは地図を指しながら報告する。
「州兵を中心に30万の兵力が防衛についています。また戦車部隊もあと2日ほどで到着する模様です。」
「そうか。防空体制は?」
「陸上戦闘機と艦上戦闘機を合わせて800機ほどが限界でした。すでにドイツ本土への爆撃が開始されており、その護衛として多数の戦闘隊がイギリスに進出しています。」
「こればっかりは仕方がない。アフリカではほとんど枢軸国を追い出したらしい。このままいけばイタリアへの上陸はすぐに開始されるだろうな。」
「はい。あちらはアイゼンハワー将軍の直属部隊なので困難ではないでしょうな。」
そこまで話すとマッカーサーは執務を再開した。
置時計の長針がちょうど11時を指し、それを知らせる鐘が鳴ったころマッカーサーは外にでて雄大な大空を眺めていた。
「…この空の向こうでは多数の将兵が命を消費しあっている。ここまで虚しいものなのか。」
彼はそう言った瞬間、北の方角で何かが光った。
そして直接見たことのないきのこが視界に入ると爆音が轟き、かなり強い風が吹いた。
「…まさか!?」
「大変です!司令官!」
バックナーが慌てて屋上まで走ってきた。
「シアトルが…シアトルが…あの攻撃を受けました。」
そう聞いてマッカーサーは呆然と佇むしかなかった。


『…もう、戦えません。』
マッカーサーからの疲れ切った報告の声を聴いて、トルーマンは察した。
またあの新型爆弾が使われたことを。
そして、自国の厭戦感情がピークに達することを。
「…わかった。こちらから日本大使館に東京宣言の受諾旨のを通告しておく。調印式には君に出席してもらうことになる。辛い仕事を与えてしまうがどうか堪えて欲しい。また、欧州派遣軍も引き上げる。これ以上、戦いを続ければ我が国が自戒しかねない。」
『…はっ!』
マッカーサーはそう言って電話を切った。
トルーマンは受話器から声が聞こえなくと執務室の椅子に力なく座り込んだ。
「結局、我々があのとき無理に継戦しなければ40万人以上は救われた。我々政治家が一番、卑怯で無慈悲だったか。」
彼のその言葉に答えるものはいない。
ただ静寂が支配する執務室で一発の銃声が響いた。
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