山本五十六の逆襲

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ニミッツの逆襲

富士型防空戦艦

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雲龍型空母の建造は順調に進んでいた。
海軍は五番艦から七番艦の建造を一旦中止してその工員を雲龍、葛城、天城に振り分けた。
これで決戦に間に合うのは確実となり、三姉妹は1944年7月頃に竣工し始めた。
竣工した3空母は習熟訓練を行い、7月中に真珠湾へ旅立つ予定だったが山本がそれに待ったをかけた。
「8月には防空戦艦が竣工する。これを伴って真珠湾に来航した方が安全だろう」
現在は静かだが、またいつアメリカ海軍の潜水艦部隊が動き出すか分からない。
ここは戦艦の護衛によって雲龍型を確実に決戦に参加させることが得策だった。


6隻の防空戦艦は揃って1944年8月3日に竣工した。


富士型防空戦艦
一番艦:富士
二番艦:妙技
三番艦:生駒
四番艦:浅間
五番艦:御岳
六番艦:鞍馬


富士型防空戦艦は先のハワイ沖海戦にて鹵獲された6隻の標準戦艦である。
竣工日が同じため、姉妹内の序列は元となったアメリカ戦艦の竣工日によって決まった。
富士型防空戦艦は砲撃戦を企図しておらず、専ら防空専用の艦艇である。
そのため、巡洋戦艦的な扱いを受け艦名には国名ではなく山岳名になっている。
彼女たちは習熟訓練を受けて8月23日に3隻の雲龍型を伴って真珠湾へ向かっていった。


9月3日に艦隊は無事に真珠湾へ到達した。
やはり40隻もの潜水艦を失ったのはアメリカ海軍にとっても大打撃に違いなく、太平洋の海は静かだった。
それを良いことに日本軍は続々とハワイに航空機を配備していく。
第一航空艦隊も新型機を続々と受領し、訓練を行っている。
陣風改はもはや慣れ親しんだ機体である陣風の単純な強化型戦闘機であったため問題なかったが、流星は違った。
この機体は雷撃も急降下爆撃も行える万能機だったが、搭乗員たちに両方の訓練を施すのはかなり大変だった。
それでも出来ない訳ではない。
この機体の真髄はやはりそこであるため、山口は激しい訓練を施し搭乗員たちに戦技を叩き込んだ。
もはや、開戦時に母艦航空隊だったものは第一航空艦隊では少なくなってしまっていた。
戦死した者も居るが、ほとんどは後方にて教官として後進の育成に励んでいるからである。
なので、母艦搭乗員は予科練上がりの新米たちが多く、時間をかける必要があった。
ただ、努力は実を結ぶものであり11月になるころには雷撃も急降下爆撃もこなせるようになったのである。
これで日本海軍の母艦航空隊の決戦準備は整ったと言っても差し支えなく、山口は大きく頷いたその時を待っていたのである。
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