帝国夜襲艦隊

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防共協定闘争

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1937年3月2日。
国会は騒然としていた。
なぜなら陸軍がドイツとの防共協定の締結を推進していたからだ。
「現在、我が国は英米との軋轢が増しております。また北の大地にはソビエト連邦が樺太や朝鮮半島を虎視眈々と狙っております。ですので、ドイツとの連携を強化しこれに対抗するべきと考える次第であります。」
陸軍大臣の中村幸太郎がそう締めくくると半数をこえる議員たちが拍手を送っていた。
その日中に各新聞は日独防共協定肯定論が埋め尽くした。


「これは非常にまずいぞ…。」
米内は酒を口に含みながら考える。
「大臣、まだ酒はお止めになった方が良いかと。」
山本はそんな米内をたしなめる。
「分かっている。分かっているが飲まないとやってられんのだよ。全く陸軍の連中は何を考えているのやら…。」
それに答えたのは井上だった。
「陸軍はほとんどの留学生をドイツに送っていて現在、陸軍を動かしている中堅から幹部連中はドイツかぶれです。ですが、今回に至っては親独というだけでは話が片付きません。」
井上は1冊の本をだした。
「それは?」
山本がいぶかしみながら聞く。
「この本は現在のドイツ総統であるアドルフ・ヒトラーが獄中で執筆した”我が闘争”です。おそらくこれがこれからのドイツの対外政策の基本となると考えられます。」
「それと今回の事が関係あるのか?」
今度が米内が尋ねた。
「大いにあります。ヒトラーはこの本の中で我ら日本民族をドイツ民族の手先としては最適と語っております。」
これには2人も驚愕した。
「このことは日本語版の”我が闘争では伏せられています。原版を読もうとしても日本国民の大半はドイツ語が読めません。ですが陸軍はドイツ語が読めるはずです。」
2人の頭は徐々に怒りが支配していく。
「陸軍共は日本ではなくドイツに味方すると言うのか!」
米内は酔っているのも相まって大声をだした。
「大臣、明日の国会でこのことを公表してください。中将は新聞社にこのことを中将名義で投稿してください。文屋は新聞が売れればいいのですぐこの話に飛びつくでしょう。」


翌日、各紙の朝刊にこのことが掲載された。
それに加えそれが国民人気が高い山本五十六の名で出されたことで世論への影響は重大なものとなった。
また議会でも米内が中村を激しく追及し、いわゆる防共協定闘争は終結したのだった。


その後行われた調査によって防共協定に賛成していた大半の議員が陸軍側から賄賂を贈られていたことが判明。
国民は陸軍と国会への信頼を急速に失っており、それに比例して海軍への期待が増大していった。
そして1937年6月4日。
海軍大臣であった米内光正が首相に就任し政党政治は終焉を迎えた。
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