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大増産!
月産目標
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統合航空本部長に就任した井上は東条の意志を継ぎ、航空兵力の大増強に乗り出す。
就任早々に井上は練習航空隊を創設。
これまで陸海で別々であった搭乗員養成学校を一つにまとめ、募集人数も大幅に増やされた。
これは、将来的に日本が保有する航空機が膨大となることを見越しての事である。
また、多攻の性質上戦闘から雷撃まで幅広い任務に適応せねばならずそれにはそれ相応の訓練が必要だった。
具体的には1年間で5000名の搭乗員の育成が目指された。
練習機材は潤沢に提供され、練習航空隊の学校は次々に建設されていった。
搭乗員の確保に目途が経ったことから、統合航空本部は多攻の月産目標を設定。
単発多攻は月産400機、双発多攻は月産100機である。
かなり破天荒な目標であるが、零式多攻は九八式多攻より量産性に優れるため実現可能である。
問題は九九式双発多攻であるが、こちらは海軍の4発飛行艇の生産数を若干削ることで何とか実現できる予定だった。
これだけの航空兵力を量産している理由は、陸軍のある”大攻勢”にある。
これは”建軍以来の大作戦”であり、参謀本部は日夜作戦の立案に明け暮れていた。
この作戦には海軍も最大限協力することになっており、陸海の力を合わせて作戦を成功させる意気であった。
その大作戦を成功させるための鍵はやはり航空戦力である。
作戦開始は1940年8月と決まっていたため、それまでにできるだけの航空戦力を揃えねばならない。
これが航空本部の使命であった。
(ここでこの国の未来が変わる…!)
井上は今一度褌を締め直した。
大陸において大攻勢の兆しがあるなか、海軍はひたすら訓練に明け暮れていた。
現時点で日本海軍が保有する空母は赤城、加賀、蒼龍、飛龍、龍驤、瑞鳳、祥鳳の7隻であった。
鳳翔に関しては練習空母という形で第一線を退いているためここでは除外する。
この7隻の航空兵力は合わせてちょうど500機に達していた。
最も艦載機数が多い加賀は110機を艦載する。
数字の切りが良いのは、1個航空中隊が10機で編成されているからである。
この航空中隊の編成としては多攻が9機、艦偵が1機である。
多攻は単座である以上、航法を頼れる九九式艦偵が必ず必要である。
そして、最も効率が良いのが中隊に九九式艦偵を編成する事であったのだ。
ただ、空母航空戦ではやはり艦上偵察機の存在は欠かせず、偵察隊として先発することも大いに考えられた。
この問題を解決する戦法はすでに存在したがまた別の話である。
ともかく、この500機もの艦載機は陸軍の大作戦においても使われることになる。
就任早々に井上は練習航空隊を創設。
これまで陸海で別々であった搭乗員養成学校を一つにまとめ、募集人数も大幅に増やされた。
これは、将来的に日本が保有する航空機が膨大となることを見越しての事である。
また、多攻の性質上戦闘から雷撃まで幅広い任務に適応せねばならずそれにはそれ相応の訓練が必要だった。
具体的には1年間で5000名の搭乗員の育成が目指された。
練習機材は潤沢に提供され、練習航空隊の学校は次々に建設されていった。
搭乗員の確保に目途が経ったことから、統合航空本部は多攻の月産目標を設定。
単発多攻は月産400機、双発多攻は月産100機である。
かなり破天荒な目標であるが、零式多攻は九八式多攻より量産性に優れるため実現可能である。
問題は九九式双発多攻であるが、こちらは海軍の4発飛行艇の生産数を若干削ることで何とか実現できる予定だった。
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これは”建軍以来の大作戦”であり、参謀本部は日夜作戦の立案に明け暮れていた。
この作戦には海軍も最大限協力することになっており、陸海の力を合わせて作戦を成功させる意気であった。
その大作戦を成功させるための鍵はやはり航空戦力である。
作戦開始は1940年8月と決まっていたため、それまでにできるだけの航空戦力を揃えねばならない。
これが航空本部の使命であった。
(ここでこの国の未来が変わる…!)
井上は今一度褌を締め直した。
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現時点で日本海軍が保有する空母は赤城、加賀、蒼龍、飛龍、龍驤、瑞鳳、祥鳳の7隻であった。
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ともかく、この500機もの艦載機は陸軍の大作戦においても使われることになる。
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