小沢機動部隊

真珠湾を奇襲せよ！

奇襲大成功！

第一次攻撃隊は次々と甲板を蹴って発艦していく。
その数は艦戦43機、艦爆51機、艦攻89機の計183機だった。
「大丈夫だろうか」
小沢は無意識のうちに零した。
「淵田が総隊長をやっております。なんの心配もいりません！」
源田が太鼓判を押すのにはそれ以外にも理由があった。
（あの訓練を受けてきた奴らならこちらの方が楽なはずだ…なんの心配もいらない！）
第一航空艦隊の母艦搭乗員は小沢から訓練を一任された山口多門の元で昼夜問わずの猛訓練を繰り返して負傷者や事故が多数発生するという事態となっていた。
この影響で山口は”人殺し多門”と渾名されることとなるがそのおかげもあり第1航空艦隊の搭乗員は一騎当千の強者に成長していた。
第一次攻撃隊を発艦させたからおよそ1時間後に第二次攻撃隊も発艦させた。
こちらも艦戦36機、艦爆80機、艦攻54機の計170機の大編隊であった。
また周囲の索敵のために水偵6機と艦攻12機を索敵機を放っていた。


「隊長！真珠湾です！」
淵田はそれを聞いてニヤリと口角を上げる。
「来たで来たでぇ！桜井、トラ・トラ・トラや！」
「はい！」
そうして桜井と呼ばれた偵察手は電文を打つ。
時刻は7時52分（ハワイ時間）でありこの3分前にト連送（全軍突撃）を下令してた。
「ほな、俺らも行くで！」
淵田は期待を滑らせて真珠湾に降下していった。


「長官！奇襲は大成功です！」
草鹿は歓喜しながら小沢に伝えた。
それを聞いた小沢は何も言わなかったが感慨深げに頷いた。


第二次攻撃隊も攻撃に成功し真珠湾奇襲作戦は大成功となった。
飛行場や港湾施設を徹底的に破壊し真珠湾は向こう1週間は使用不能となった。
これは日本海海戦に並ぶほどの大戦果だったが旗艦赤城の艦橋では論争が巻き起こっていた。


「第三次攻撃隊を即座に編成し、敵の燃料施設を破壊するべきです！」
源田はあくまで真珠湾に第三次攻撃隊を”即座に”出すべきだとしていた。
「いや、ここは必ず攻めよせてくる敵空母に備えて対艦兵装を施して待機させるべきだ」
草鹿は真珠湾で無く襲来するであろう敵空母に備えるべきとしていた。
両者もハワイ海域に留まる点に関しては一致していた。
草鹿に至っては前もって軍令部総長の永野修身に”空母を傷つけてくれるな”と言われていたが小沢の考えを聞いて”多少の損害には目を瞑って、敵空母を撃破すべきだ”と決意していた。
両者の議論は平行線をたどっていたが小沢が割って入ることになる。
「真珠湾は動かんが、空母は動く。それに真珠湾はすぐに基地機能を復旧できるとは思わない。ここは敵空母に備えるべきではないか？敵空母を撃破してからでも真珠湾は攻撃できる」
源田は小沢の判断に納得せざるを得ず第一航空艦隊の方針は決まった。