8 / 76
占領地拡大
3つの要望
しおりを挟む
山本は小沢が去ってから頭を悩ませていた。
その原因は無論小沢が要望した3つの要望である。
小沢の要望
1.110号艦(大和型三番艦)と111号艦(大和型四番艦)並びに扶桑・伊勢型戦艦を空母へ改装すること。
2.来年(1942年)の中頃までに零戦の改良機、年末までに新型戦闘機並びに攻撃機の開発を完了させ母艦に配備すること。なおこれ以降は最低でも1年の周期で改良や新型機の開発を行うこと。
3.空母戦力を一局集中させ作戦に当たること。
3番目に関しては連合艦隊の権限で可能であり、今年中にでも実現可能だった。
2番目に関しても山本自身が航空本部を経験しており、現在の航空本部長の片桐英吉中将や航空技術廠長の和田操中将はある程度山本と気心が知れた仲だった。
そのためこの二人に働きかければ何とかなる。
山本自身もこれに関しては一つ目星をつけていた。
金星エンジンとハ109エンジンである。
零戦が装備している栄エンジンはその小ささのわりに1100馬力をたたき出しており、また燃費も抜群に良かった。
だがすでに栄エンジンは完成されたエンジンであり、既に中島はこの栄エンジンを18気筒化した誉エンジンの開発に勤しんでいた。
つまり零戦の強化は栄エンジンでは成しえないのである。
そこで出てくるのが金星エンジンである。
金星エンジンは現在の四六型では1080馬力が限界であり、栄エンジンより大型、燃費も悪いがまだ発展性があった。
既に四六型の後継機である五〇型がすでに試作されておりこれは1300馬力を発揮できた。
これの制式化を急がせることで零戦の強化を中頃までに完了させようと考えていた。
また新型戦闘機と攻撃機に関してはハ109エンジンを搭載することで解決できると踏んでいた。
ハ109エンジンは陸軍で装備されているエンジンで重爆などのエンジンであるがその馬力は1500馬力であり今日本が保有する最大級のエンジンだった。
そして特筆すべきはすでに陸軍で単座戦闘機にハ109の採用実績があることである。
二式単座戦闘機はインターセプターであるが海軍が計画している雷電などに比べるとエンジンの直径が200㎜近く小さく、また金星エンジンに比べて63㎜大きい程度であった。
このハ5を装備すれば間違いなく攻撃機や新型戦闘機の開発はとんとん拍子で進むこと間違いなしだった。
そして1番目である。
これに関しては実現が可能であるが、それまでに山本が幾度も骨を折らねばならなかった。
今だ軍令部には大艦巨砲主義がはびこっており、真珠湾とマレー沖で多少はましになったがまだまだだった。
(いつか必ずアメリカ海軍は我が帝国海軍を超える数の空母を出してくる!それなのにおちおち戦艦を建造していたは世界の笑いものだ…ここは俺がやるしかない!)
山本はついにそう決意して軍令部に向かった。
その原因は無論小沢が要望した3つの要望である。
小沢の要望
1.110号艦(大和型三番艦)と111号艦(大和型四番艦)並びに扶桑・伊勢型戦艦を空母へ改装すること。
2.来年(1942年)の中頃までに零戦の改良機、年末までに新型戦闘機並びに攻撃機の開発を完了させ母艦に配備すること。なおこれ以降は最低でも1年の周期で改良や新型機の開発を行うこと。
3.空母戦力を一局集中させ作戦に当たること。
3番目に関しては連合艦隊の権限で可能であり、今年中にでも実現可能だった。
2番目に関しても山本自身が航空本部を経験しており、現在の航空本部長の片桐英吉中将や航空技術廠長の和田操中将はある程度山本と気心が知れた仲だった。
そのためこの二人に働きかければ何とかなる。
山本自身もこれに関しては一つ目星をつけていた。
金星エンジンとハ109エンジンである。
零戦が装備している栄エンジンはその小ささのわりに1100馬力をたたき出しており、また燃費も抜群に良かった。
だがすでに栄エンジンは完成されたエンジンであり、既に中島はこの栄エンジンを18気筒化した誉エンジンの開発に勤しんでいた。
つまり零戦の強化は栄エンジンでは成しえないのである。
そこで出てくるのが金星エンジンである。
金星エンジンは現在の四六型では1080馬力が限界であり、栄エンジンより大型、燃費も悪いがまだ発展性があった。
既に四六型の後継機である五〇型がすでに試作されておりこれは1300馬力を発揮できた。
これの制式化を急がせることで零戦の強化を中頃までに完了させようと考えていた。
また新型戦闘機と攻撃機に関してはハ109エンジンを搭載することで解決できると踏んでいた。
ハ109エンジンは陸軍で装備されているエンジンで重爆などのエンジンであるがその馬力は1500馬力であり今日本が保有する最大級のエンジンだった。
そして特筆すべきはすでに陸軍で単座戦闘機にハ109の採用実績があることである。
二式単座戦闘機はインターセプターであるが海軍が計画している雷電などに比べるとエンジンの直径が200㎜近く小さく、また金星エンジンに比べて63㎜大きい程度であった。
このハ5を装備すれば間違いなく攻撃機や新型戦闘機の開発はとんとん拍子で進むこと間違いなしだった。
そして1番目である。
これに関しては実現が可能であるが、それまでに山本が幾度も骨を折らねばならなかった。
今だ軍令部には大艦巨砲主義がはびこっており、真珠湾とマレー沖で多少はましになったがまだまだだった。
(いつか必ずアメリカ海軍は我が帝国海軍を超える数の空母を出してくる!それなのにおちおち戦艦を建造していたは世界の笑いものだ…ここは俺がやるしかない!)
山本はついにそう決意して軍令部に向かった。
15
あなたにおすすめの小説
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
異聞坊ノ岬沖海戦 此れは特攻作戦に非ず
みにみ
歴史・時代
1945年4月 米軍が沖縄へと上陸 日吉台は菊水一号作戦発令
第一航空戦隊旗艦大和率いる第二艦隊は全兵力をもって
これを迎撃せんとす 基地航空隊との協力を持ってこれを撃滅せよ
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
装甲航空母艦信濃 南東の海へといざ参らん
みにみ
歴史・時代
大和型戦艦 それは日本海軍の戦艦設計の粋を集めた
世界最大最強の超弩級戦艦 しかし搭載する46cm三連装砲も
410mmの舷側装甲も航空主兵のこの時代にはすでに時代遅れのものとなっていた
そこにミッドウェー海戦での主力空母 一航戦 赤城、加賀 二航戦 飛龍、蒼龍の喪失
ほぼ完成していた武蔵はそのまま戦艦として完成させるが
船体のみ完成できた仮称110号艦 かの艦をどうするか
上層部が下した判断は空母化改装だった 大和型譲りの装甲を持つ
110号艦改め航空母艦信濃 その巨体が太平洋の海へと滑り出した
毎日朝7時更新 ゆっくり見ていってね!
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
万能艦隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
第一次世界大戦において国家総力戦の恐ろしさを痛感した日本海軍は、ドレットノート竣工以来続いてきた大艦巨砲主義を早々に放棄し、個艦万能主義へ転換した。世界の海軍通はこれを”愚かな判断”としたが、この個艦万能主義は1940年代に置いてその真価を発揮することになる…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる