連合艦隊司令長官、井上成美

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戦線膠着

アメリカ世論沸騰

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日本軍がロサンゼルス、パナマ運河を攻撃したことはメディアを通してすぐに国民に広まった。
新聞の一面にはパナマ運河を空襲する日本軍機や炎上するロサンゼルスが飾ることになる。
ホワイトハウスはこれが原因で世論が講和へ傾くことを恐れ、流れ弾によって被害が出たロサンゼルスの市街地をプロパガンダの材料にした。
これに世論は”リメンバーロサンゼルス”を叫ぶことで応えた。
若者は次々に軍に志願していき、女性は率先して工場で働き始めた。
まだ眠気眼であった巨人はついに目覚めたのだった。
だが軍部は目覚めるどころか悪夢を見ていた。


「本当に戦えるのか?」
ニミッツは人知れず零す。
ハワイは陥落したばかりかパナマ運河も破壊された。
これでは海上交通にかなりの支障をきたすことは避けられず、それはそのまま経済活動の停滞につながる。
だが問題はこれだけではない。
艦隊戦力が壊滅しており、とても日本軍に敵わなないことだ。
現在、エセックス級やサウスダコタ級、アイオワ級の建造を急いでいるが十分な艦隊戦力が揃うのは1944年末の事だった。
それまでは太平洋での大規模な反撃は不可能だ。
だが日本軍も再度西海岸攻撃を企むことは無いと分かっていた。
1度なされた攻撃に対策を講じない方がおかしいのだ。
現に西海岸にはレーダー網が張り巡らされ、B17が優先的に配備されていた。
つまり太平洋戦線は膠着状態に陥ったのだ。
この膠着はアメリカにとって戦力の補充と大西洋戦線に注力できるものだが日本にとってもそれは言えることだった。
国力が10倍以上離れているため結局はアメリカが利するように見えるが実態は違った。
太平洋戦線が膠着することで手持無沙汰になった日本軍がドイツからの要請に応じてソ連に侵攻する可能性が十分に考えられるからだ。
今のソ連はスエズ運河が封じられ、連合国からのレンドリースが届かない状況だ。
そこに日本軍が攻撃を開始するとソ連が耐えられるのか未知数だった。
流石に日本軍がシベリアを超えてモスクワに進軍することは考えられないが、極東の重要都市は高確率で陥落しソ連の戦力が分散してしまう。
そうなるとドイツ軍が攻勢を仕掛けソ連が降伏してしまう可能性がある。
「大統領に大西洋での反撃を早めるように進言するしかないか。」
ニミッツは物憂げそうに言いながらホワイトハウスに向かいルーズベルトに進言。
ルーズベルトはこれを受け入れイギリス軍との共同作戦として大西洋での早期反撃が決まった。
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