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戦力増強
二二号電探
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⑤計画は大和型戦艦が進水を終える1938年9月から始動することになる。
④計画では改装が主であったので、造船船渠を使用しているのは③計画艦であった。
改装艦艇は修理船渠などで行われている。
最も大がかりな改装工事を行っている扶桑型戦艦の2隻でさえ、船体自体はすでに進水しており艦上構造物などを撤去し、飛行甲板を設置するだけで空母に出来るのだ。
海軍が艦隊を順次拡大している頃、海軍技研では新型電探である二二号電探の開発が完了していた。
探知距離は200海里を超える高性能電探である。
量産の目途も付いており、藤本は改めて箕原に礼を言った。
「よくこの電探を開発してくれました…。これで我が艦隊はより一層、打たれ強くなります!」
箕原はこれに大きく頷いたが、同時に顔を暗くした。
「君、昨今の航空機についてどう思う?」
藤本は艦艇の専門家ではあるが、航空機の専門家ではない。
それでもある程度の知識はある。
「専門分野ではないので何とも言えませんが、重巡程度なら撃沈できる力を持っている様に思います」
そう答えると箕原はどこか遠いところを眺める。
「そうだろう。つい3年前は”航空機は駆逐艦を沈めるのがせいぜい”と言われていた。だが、今や重巡や戦艦にも気概を負わすことが出来るようになった。3年後はどうなっていることやら…」
藤本はこの箕原の言葉にはっとさせられる。
現在、日本海軍では新型艦爆や新型艦戦などが開発されておりそれはおおよそ”3年後に”出揃うこととなっていた。
(まさか…航空機で戦艦が撃沈されるとでもいうのか…?)
藤本は浮かんだその考えを必死に打ち消そうとしたが、考えれば考えるほど戦艦が撃沈される考えが補強されていく。
彼の頭の中ではやっとの思いで竣工に漕ぎつけた大和型戦艦が空を覆いつくさんばかりの航空機の波状攻撃を喰らい、横に傾いていく姿が浮かんでいた。
「君も航空機について少し学んでおいた方が良い。今後の海戦では航空機も重要になる」
箕原はそう言った。
「あと、これは別の話なのだが、どうやら対空砲に連動した電探という物がドイツにあるらしい」
藪から棒にそう言われて藤本は首を傾げる。
「もし、我が海軍もそれを装備すれば航空機に対する備えができるかもしれん」
そこで藤本は気付いた。
(予算を寄こせということか…)
だが、この電探連動対空砲もかなり魅力的に違いなかった。
「分かりました。また私が話を付けて予算をもぎ取ってきます」
「よろしく頼む」
箕原は笑顔でそう言った。
④計画では改装が主であったので、造船船渠を使用しているのは③計画艦であった。
改装艦艇は修理船渠などで行われている。
最も大がかりな改装工事を行っている扶桑型戦艦の2隻でさえ、船体自体はすでに進水しており艦上構造物などを撤去し、飛行甲板を設置するだけで空母に出来るのだ。
海軍が艦隊を順次拡大している頃、海軍技研では新型電探である二二号電探の開発が完了していた。
探知距離は200海里を超える高性能電探である。
量産の目途も付いており、藤本は改めて箕原に礼を言った。
「よくこの電探を開発してくれました…。これで我が艦隊はより一層、打たれ強くなります!」
箕原はこれに大きく頷いたが、同時に顔を暗くした。
「君、昨今の航空機についてどう思う?」
藤本は艦艇の専門家ではあるが、航空機の専門家ではない。
それでもある程度の知識はある。
「専門分野ではないので何とも言えませんが、重巡程度なら撃沈できる力を持っている様に思います」
そう答えると箕原はどこか遠いところを眺める。
「そうだろう。つい3年前は”航空機は駆逐艦を沈めるのがせいぜい”と言われていた。だが、今や重巡や戦艦にも気概を負わすことが出来るようになった。3年後はどうなっていることやら…」
藤本はこの箕原の言葉にはっとさせられる。
現在、日本海軍では新型艦爆や新型艦戦などが開発されておりそれはおおよそ”3年後に”出揃うこととなっていた。
(まさか…航空機で戦艦が撃沈されるとでもいうのか…?)
藤本は浮かんだその考えを必死に打ち消そうとしたが、考えれば考えるほど戦艦が撃沈される考えが補強されていく。
彼の頭の中ではやっとの思いで竣工に漕ぎつけた大和型戦艦が空を覆いつくさんばかりの航空機の波状攻撃を喰らい、横に傾いていく姿が浮かんでいた。
「君も航空機について少し学んでおいた方が良い。今後の海戦では航空機も重要になる」
箕原はそう言った。
「あと、これは別の話なのだが、どうやら対空砲に連動した電探という物がドイツにあるらしい」
藪から棒にそう言われて藤本は首を傾げる。
「もし、我が海軍もそれを装備すれば航空機に対する備えができるかもしれん」
そこで藤本は気付いた。
(予算を寄こせということか…)
だが、この電探連動対空砲もかなり魅力的に違いなかった。
「分かりました。また私が話を付けて予算をもぎ取ってきます」
「よろしく頼む」
箕原は笑顔でそう言った。
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