ペットボトルで能力開放!?【ソロキャンパーの異世界バックパッキング】

吉田C作

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第1章 ソロキャンパー、大地に立つ(異世界の)

2、ソロキャンパー、襲われる。

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*****



「っふう。いったい何が・・・え?なんで明るくなってんだ?!」


光の渦に呑みこまれた後、不安で閉じっぱなしだった目を思い切って開く。
真夜中だったはずのキャンプ場は何故か明るくなっていた。


「まさか光のショックで気絶した?いや、それなら立ったままというのはおかしいし、目を瞑っている間の感覚もあった・・・」


とりあえず身の回りをチェックする。
焚き火は・・・燃えている。
タ―プや寝床は・・・設営したままだ。
ザックと荷物・・・揃ってる。

周りを見渡してみるがざっと見た限りでは変化は感じられない。


「特に変化は無いみたいだな・・・って!ザ、ザニトラが無くなってる!!」


急いでポケットを探る、ザニトラのキーは施錠した後にパンツのフラップポケットに入れておいた筈だった。
はたしてキーは無事ポケットに入っていた。


「キーはある。ならなんで車だけ? ?! 他にも荷物が無くなってるんじゃ?」


僕はザックの中、更に周辺に準備しておいた荷物をマットの上に並べると、確認用のメモと照らし合わせる。

*幕・寝具類:タープ×1。マット×1。寝袋×1。ブランケット×1。
OK。全部ある。

*焚き火用品・刃物:手斧×1。ナイフ×2。
鋸×1。ファイアスチール×1。緊急用マッチ×1。五徳×1。これもOK。

*調理用具:スキレット(鋳物のフライパン)
深×1、浅×1。簡易浄水器×1。クーラー×1。飯盒×1。水筒・・・無い。


「ああ、そうか台所に置き忘れて来たわ・・・なにか代用品を探さないと・・・あ、ペットボトルがあるか」


*食糧:サーロイン200グラム×5。ニンニク×4。乾燥パスタ(ペンネ)2袋。米5合。塩・胡椒・砂糖・スパイス類各1瓶。醤油1瓶。トマト缶×4。オリーブオイル1瓶。カップ麺・リフィル×24。チョコレート×3枚。
食糧もOKだ。


「後はウイスキーが2本に救急セットか。ザニトラと水筒以外はOKって事だ。・・・とにかく、管理棟まで戻ってみよう!っとその前に水を汲んでおくか!」
歩いて管理棟まで戻るにはそこそこの距離がある為、水分は必要だ。ペットボトルと簡易浄水器を持って河原まで降りる。
水を汲みペットボトルの口に浄水器を付ける。この浄水器はペットボトルや水筒の口に取り付ける事が出来る優れ物なのだ。

のどが渇いていた為か半分ほどを一気に煽る。呑む水がそこはかとなく甘い。


「生き返ったー!!  ん?」


対岸から「ガサガサ」と音がする。何か野生動物でもいるのだろうか?
ここは七州の真ん中辺りにある九つ山群の麓なので、熊はいない。それに音からして小型の動物だろう。
目を離さずに見ていると黒い生き物が姿を現した。両目の周りに白い模様が見える。


「おっ、アナグマ?いやハクビシンかな? んん?目が赤いな・・・病気持ちっぽいな、近寄らない方がよさそうだ・・・って!角が生えてないか!?」


そのハクビシンの様な生き物には、短くはあるが確かに角が生えていた。いわゆる奇形、もしくは何か突然変異でもしたのだろうか?
しばらく観察していると目が合った。その途端にそいつは唸り声をあげてこちらを威嚇してきた!


「うおっ!やばい!こういう時は目を離さずにゆっくり後退って・・・って!襲って来やがった!マジか!」


思った以上に早い速度で牙を剥きながらこちらへ向かってくる角付きハクビシン。僕はとにかくサイトへ走る!
なにか自衛できる物を手にしたかったのだ。サイトに戻ればとりあえずは手斧がある。
殺す気はなくとも追い払う為には武器があった方が良い。


「なんだ!?慌ててるせいかいつもより自分の足が速い気がするぞ!?」


サイトに戻った僕は、斧を手に取り川の方を凝視する。あきらめてくれればいいのだけど・・・


「うわっ!!ここまで来たっ!?」


あきらめる気はない様だ。角付きハクビシンは有無を言わさぬ勢いでこちらに飛びかかってきた!


「うおっ!ちょっと!!やめろって!!」


僕は角付きハクビシンに向かって手斧を振り回す。すると運が良いのか悪いのか、何度か振り回していた斧が角付きハクビシンの首に突き刺さってしまった!
角付きハクビシンはその場に崩れ落ちる。どうやら死んでしまったようだ・・・。


「ハァッ、ハァッ、ごめん・・・殺すつもりはって・・・なんだ、これ・・・」


その場に横たわる角付きハクビシンの首から流れる血は「緑色」をしていたのだ。


「緑色の血って・・・なんだよ、これ・・・意味分かんないよ・・・本当になんなんだよこれはっ!!?」


・・・しばらく放心状態になっていた僕は思い立った様に動き出す。


「・・・とにかくもう一度水を汲んで来よう。こいつも埋めてあげないといけないし」

 
もう一度河原へ向かって歩く。今度は手斧をしっかり持って。
「赤い目、緑の血・・・やっぱり伝染病か何か?でも血の色が変わる伝染病なんて聞いた事が無いぞ?」


僕は先程の事態に思考を巡らせながら4本のペットボトルをそれぞれ満たす。


「さっきの1本は確かここら辺りに・・・っと、あったあった!・・・ん?」


逃げるときに落とした浄水器付きのペットボトルを拾い何気なくラベルを見る。
レシピが本社の金庫奥深くに保管されているというC社の代表的な炭酸飲料だ。
斜めに持っていた為、注意書きや原材料が書かれている部分が目に入った。




********************

コーラー・フィジック500B

効果:【ブースト1】1口服用すると自身の身体能力が2倍に増幅される。効果時間は2時間。
   【ブースト2】半量服用すると上記の増幅量が3倍になる。効果時間は30分。
   【ブースト3】全量服用時は増幅量が12倍。効果時間は10分。

注:服用限界は【ブースト1】【ブースト2】については一日3回迄。
 【ブースト3】については二日に1回。
  それ以上の服用は身体に深刻なダメージを与える為、過剰な服用は厳禁。
  用法を守っての服用については身体への影響は無い。
  用量についてもそれぞれ重複することは無い。
  また、器具等を用いての服用時は効果が半減する。

付随効果:服用者が魔力を保持していた場合【火・爆発属性】の魔法が使用可能となる。
魔法の威力・範囲等については上記の効果倍率に比例する。

********************




「なんだこれ?C社のキャンペーンか何かかな?  まあいいや。それよりも管理棟へ行かないと」


特に気にも留めずにサイトへ戻ると、僕は丁寧に角付きハクビシンを埋葬し、管理棟へと足を向ける。
管理人のおじさんへ車が盗まれたかもしれないという事を報告する為だ。山中の為か携帯電話は圏外表示だった。
1時間程キャンプ場の道を登ると管理棟が見えてくるはずだ。これだけ広いキャンプ場は中々無いだろう。


「ここのカーブを曲がればコンクリ道か・・・ん?舗装されてない?そうだったっけ?」


コンクリート舗装されているはずの道が只の土の道になっている。僕の勘違いだろうか?
ともあれ管理棟へ向けて歩く。しかし管理棟があるはずの場所は只の空き地になっていた。あるのは大きな岩が3つ程。


「は? なんだこれ?!一体何がどうなってるんだよ!・・・意味分かんないだけど・・・」




****




・・・小一時間はたっただろうか。岩の上に座り呆けていた僕は誠おじさんの言葉をふと思い出す。


「いいか弓弦。山ん中でなんかおかしいと思ったら、取り敢えず煙草を一服するんだ。狐や狸は煙草の煙を嫌うって迷信があってな・・・」


普段は吸わない煙草を胸ポケットから取り出して、マッチで火をつける。ゆったりと紫煙がながれる。周りの景色は変わらない。だが、心が少し落ち着いた。


「よし!とにかく一度サイトへ戻ろう。そして考えるんだ。山を降りて警察に行くにしても暗くなる。降りないにしてもさっきのハクビシンの仲間がいる可能性がある。対策を考えないと」


そうと決めたら善は急げだ。僕は岩から飛び降りる。


「痛っ!」


飛び降りる時に岩に擦ったのだろう。手の平に擦り傷が出来ていた。


「ありゃりゃ、石粒が入ってる。洗い流さないとな」


細かな石粒を傷口から出さないといけない。
応急処置ではあるが、ペットボトルの水で傷口を洗う。あくまで応急処置なので浄水器は着けていない。


「っ!何だこれ!?」


どうしたことか、水を掛けた傍から傷口が塞がっていくのだ!


「そういえば!!!」


さっきのコーラーの注意書きを思い出しラベルを見る。




********************

アキュアリエス500C

効果:【キュア1】1口服用することで体力を30%回復し、更に魔力を15%回復する。また損傷箇所に少量塗布・適下することで擦り傷程度ならば瞬時に回復する。
   【キュア2】半量服用すると上記の回復量が2倍になる。怪我については半量分の塗布・適下で骨折、欠損程度までを瞬時に回復する。状態異常・病についても同様。
   【キュア3】全量服用時は回復量が100%。どのような状況であれ、全量を塗布・適下することで即時完全蘇生まで可能。


注:服用限界は【キュア1】【キュア2】については一日3回迄。
 【キュア3】については一日に1回。
  それ以上の服用は身体に深刻なダメージを与える為、過剰な服用は厳禁。
  特に「キュア3」については一日に2回服用するか、嚥下させると即時「アンデット」化。
  用法を守っての服用、また塗布・適下については身体への影響は無い。
  用量についてもそれぞれ重複することは無い。
  器具等を用いての服用時は飲用に適した清潔な水のままとなる。

付随効果:服用者が魔力を保持していた場合【水・回復属性】の魔法が使用可能となる。
また言語翻訳・理解能力も付随する。
魔法の威力・範囲・効果については上記の倍率に比例する。
(言語能力については倍率が適用されない:一日1回の服用で24時間の継続となる)

********************



「は・・・はは・・・、マジで?」



*****



???「ふう・・・確かこの辺りでしたっけ。それにしても美しいですねクジュ山は。さすが神山かんやまと呼ばれるだけはありますねぇ。しかし、辺りが暗くなって来ました。火を起こすにも・・・おー?!谷の方に焚き火が!?これはまさに神の助けです!これは行くしかないでしょー!」

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