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第一夜 危険な出会い
4、弓とクロスボウ
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きじは大変美味である。
リシアは料理人が喜ぶ顔が浮かんでつい追いかけてしまっていた。
はじめのうちは後ろからクレイの自分を呼ぶ声が聞こえる。
その声はどんどん遠くになっていくこともあまり意識をしていなかった。
飛び上がっては走り、立ち止まる。
その誘うようなきじしか、リシアには見えていなかった。
狙いに狙った最初の矢を外したとき、思いがけず、森の奥まで来てしまったことにようやく気がついた。
人の踏みいることはめったにない、しんしんと深い森の中である。
獲物に集中をしていたために、方向感覚が怪しい。
このままクレイが探しに来るのを待つか迷う。
とはいえ、森を遊び場に育ったリシアである。
岩山をみれば位置関係がわかる。
少し息を整え、拓けた場所を探して移動することにした。
少しすると、明るく拓けた場所を見つける。そして、草をはむ牝鹿を少し先にみる。
鹿は森の神からの贈り物だった。
鹿は飢えをしのげる栄養豊かな肉を、服にも靴に加工できる革を森の民にもたらしてくれる。
だから牝は狩り対象にはならない。
また来年、彼らは子供を連れてリシアたちの前に現れてくれるのだ。
リシアは同時に、人の気配を感じる。
鹿のいる陽だまりの奥の藪に、その鹿を狙うものがいた。
迷わずリシアはそこへ、弓を引き絞る。
「やめなさい。あれは狩ってはならないわ!」
いきなり投げ掛けられた鋭い恫喝の声に、牝鹿は驚き顔をあげるとぽんと飛んで藪に消える。
「くそっ。邪魔するな」
外国語だった。
藪の中から男が体を起こした。
黒髪黒目、手にはデクロアにはない威力の強そうな飛び道具が構えられ、そのままリシアを探しあて心臓を狙う。
そういう、リシアも弓矢を構えている。
男が、リシアを上から下まで眺めた。
情け容赦のない鋭い、強者の目であった。
二人は陽だまりの端と端で、にらみあった。
殺られる!
感じたことのない戦慄にリシアの心臓はとびあがり、早鐘を打つ。
額に手に背中に一気に汗が吹き出した。
お互いに相手の心臓を殺気を込めた目と弓で狙いあう。
それが、デクロアの跳ねっ返りの姫リシアと、ベルゼラ国第二王子アズールの出会いであった。
張りつめた空気を破ったのはアズールの方だった。
「わたしが下ろすからあなたもわたしを狙わないでくれないか?わたしの言葉はわかるか?」
アズールは相手が娘と知り優しく声を掛ける。
彼の目的は森で狩りをすることではない。
ただの遊びの鹿狩りに失敗したからといって人を殺すことはない。
既に多くの血が流れている。
「もちろん」
ベルゼラ語だった。
リシアは用心しながら弓矢を下げる。
アズールも下げ、立ち上がった。
クロスボウから矢を外し、腰の筒にいれる。
リシアは内心ほっとする。
武器の威力ではかなわない。
「こんなところで、娘に会うとは思わなかった。デクロアでは女も狩りをするのか?」
堂々と陽だまりを歩く男の姿にリシアは釘付けになる。
鎖帷子が鈍く木漏れ日を反射させている。
近付いてきた男は端正な男だった。
若いがリシアよりも年上だ。
「今夜は来客があるから特別なの。それより、牝の鹿を狩ることは許されていないわ。あなたは密猟者?だったらとっとと帰ることね!」
流暢なベルゼラ語を話す。
どこか音楽的な響きもある。
言葉の内容はそっけないとはいえ、アズールは自国の言葉をこのように美しく話す者を知らない。
「密猟といえばそうなるのか」
男は目を細めて娘をみる。
リシアはその目に危険な色をみる。
値踏みするぶしつけな目である。
リシアは自分にそのような視線を向ける者を知らない。
リシアは美貌も色気もないとはいえ、王族の姫に生まれついているため、敬われることはあっても、素の彼女自身を値踏みされることはあまりない。
「お前たちの国のルールを知らなくてすまなかった。お前はひとりか?ここから抜けて、街道に残してきた者たちと合流して、王都にいきたいのだが」
「ベルゼラ国の使者なの?」
声が低くなる。
目の前の危険な男は、姉たちのどちらかを花嫁として迎えに来た一行のひとりのようだった。
昨晩の早駆の使者は、彼を含めた一行の到着を告げていたのだった。
「ああ。王子の、、、騎士だ。ラリマーという」
アズール王子はなぜか王子と知られたくなかった。手を差し出す。
「わたしは、シーアよ」
リシアも偽名を名乗る。
リシアはブルーグレイの目で、端正な男の目を覗きこむ。
そのどこまでも深い漆黒の目に、見たことのない異国の風景が見えるような気がした。
リシアはその手を握る。
固く厚い剣を握る手だった。
「娘がひとり危険ではないか?」
「あなたが、オオカミにならない限り大丈夫よ!それにわたしは骨と皮しかないから美味しくない。
それより、貴方の肩に座らせてもらえない?岩山を確認したいの。
仲間とはぐれてしまった」
アズールはひょいと娘を肩に乗せる。
細く軽い体であった。
「見えるか?」
「うーん?森が高いわ。立ってもいい?」
リシアは肩車からアズールの頭に手を置き、肩を台にして立ち上がる。ふくらはぎで頭を挟む。
グラッと来て、アズールは足首をつかむ。
「ばかっ!!上を見るな!踏ん張って!!」
発破をかけられ、アズールは上げかけた顔を正面に戻す。
ベルゼラの王子に生れつき、ばかっと言われたことも、土足で肩を踏まれるのも初めてだった。
女から命令口調で言われるのも初めてだった。だがなぜか不快には感じない。
もちろん秘事の時を除いてのことではあるが。
娘の声の、美しい音楽的な響きをアズールは気に入ってしまった。
「わかったわ!離して」
リシアは再び頭に手を置き、肩車に戻り、すぐさま、アズールの背後に着地する。
軽い身のこなしだった。
デクロアの娘は木登りもするのかも知れない。
例えば、高く届かないところの無花果を収穫するときとか。
「場所はわかったわ。あなたはひとりよね?
迷子のようだから、途中まで連れていってあげる。
狩りをして寄道する使者なんて知らないわ!」
リシアは確認した方向に森へ再び入る。
「狩りは狩りだが、道があんまりくねくねしていたので、真っ直ぐに進めるのではないかと思ったんだが」
リシアは慎重に驚きを隠す。
「街道が安全で早いわ。帰りは街道から反れないでね!」
その時はリシアは、場所も確認できたので、すぐにクレイと合流できると楽観的に思っていたのだった。
リシアは料理人が喜ぶ顔が浮かんでつい追いかけてしまっていた。
はじめのうちは後ろからクレイの自分を呼ぶ声が聞こえる。
その声はどんどん遠くになっていくこともあまり意識をしていなかった。
飛び上がっては走り、立ち止まる。
その誘うようなきじしか、リシアには見えていなかった。
狙いに狙った最初の矢を外したとき、思いがけず、森の奥まで来てしまったことにようやく気がついた。
人の踏みいることはめったにない、しんしんと深い森の中である。
獲物に集中をしていたために、方向感覚が怪しい。
このままクレイが探しに来るのを待つか迷う。
とはいえ、森を遊び場に育ったリシアである。
岩山をみれば位置関係がわかる。
少し息を整え、拓けた場所を探して移動することにした。
少しすると、明るく拓けた場所を見つける。そして、草をはむ牝鹿を少し先にみる。
鹿は森の神からの贈り物だった。
鹿は飢えをしのげる栄養豊かな肉を、服にも靴に加工できる革を森の民にもたらしてくれる。
だから牝は狩り対象にはならない。
また来年、彼らは子供を連れてリシアたちの前に現れてくれるのだ。
リシアは同時に、人の気配を感じる。
鹿のいる陽だまりの奥の藪に、その鹿を狙うものがいた。
迷わずリシアはそこへ、弓を引き絞る。
「やめなさい。あれは狩ってはならないわ!」
いきなり投げ掛けられた鋭い恫喝の声に、牝鹿は驚き顔をあげるとぽんと飛んで藪に消える。
「くそっ。邪魔するな」
外国語だった。
藪の中から男が体を起こした。
黒髪黒目、手にはデクロアにはない威力の強そうな飛び道具が構えられ、そのままリシアを探しあて心臓を狙う。
そういう、リシアも弓矢を構えている。
男が、リシアを上から下まで眺めた。
情け容赦のない鋭い、強者の目であった。
二人は陽だまりの端と端で、にらみあった。
殺られる!
感じたことのない戦慄にリシアの心臓はとびあがり、早鐘を打つ。
額に手に背中に一気に汗が吹き出した。
お互いに相手の心臓を殺気を込めた目と弓で狙いあう。
それが、デクロアの跳ねっ返りの姫リシアと、ベルゼラ国第二王子アズールの出会いであった。
張りつめた空気を破ったのはアズールの方だった。
「わたしが下ろすからあなたもわたしを狙わないでくれないか?わたしの言葉はわかるか?」
アズールは相手が娘と知り優しく声を掛ける。
彼の目的は森で狩りをすることではない。
ただの遊びの鹿狩りに失敗したからといって人を殺すことはない。
既に多くの血が流れている。
「もちろん」
ベルゼラ語だった。
リシアは用心しながら弓矢を下げる。
アズールも下げ、立ち上がった。
クロスボウから矢を外し、腰の筒にいれる。
リシアは内心ほっとする。
武器の威力ではかなわない。
「こんなところで、娘に会うとは思わなかった。デクロアでは女も狩りをするのか?」
堂々と陽だまりを歩く男の姿にリシアは釘付けになる。
鎖帷子が鈍く木漏れ日を反射させている。
近付いてきた男は端正な男だった。
若いがリシアよりも年上だ。
「今夜は来客があるから特別なの。それより、牝の鹿を狩ることは許されていないわ。あなたは密猟者?だったらとっとと帰ることね!」
流暢なベルゼラ語を話す。
どこか音楽的な響きもある。
言葉の内容はそっけないとはいえ、アズールは自国の言葉をこのように美しく話す者を知らない。
「密猟といえばそうなるのか」
男は目を細めて娘をみる。
リシアはその目に危険な色をみる。
値踏みするぶしつけな目である。
リシアは自分にそのような視線を向ける者を知らない。
リシアは美貌も色気もないとはいえ、王族の姫に生まれついているため、敬われることはあっても、素の彼女自身を値踏みされることはあまりない。
「お前たちの国のルールを知らなくてすまなかった。お前はひとりか?ここから抜けて、街道に残してきた者たちと合流して、王都にいきたいのだが」
「ベルゼラ国の使者なの?」
声が低くなる。
目の前の危険な男は、姉たちのどちらかを花嫁として迎えに来た一行のひとりのようだった。
昨晩の早駆の使者は、彼を含めた一行の到着を告げていたのだった。
「ああ。王子の、、、騎士だ。ラリマーという」
アズール王子はなぜか王子と知られたくなかった。手を差し出す。
「わたしは、シーアよ」
リシアも偽名を名乗る。
リシアはブルーグレイの目で、端正な男の目を覗きこむ。
そのどこまでも深い漆黒の目に、見たことのない異国の風景が見えるような気がした。
リシアはその手を握る。
固く厚い剣を握る手だった。
「娘がひとり危険ではないか?」
「あなたが、オオカミにならない限り大丈夫よ!それにわたしは骨と皮しかないから美味しくない。
それより、貴方の肩に座らせてもらえない?岩山を確認したいの。
仲間とはぐれてしまった」
アズールはひょいと娘を肩に乗せる。
細く軽い体であった。
「見えるか?」
「うーん?森が高いわ。立ってもいい?」
リシアは肩車からアズールの頭に手を置き、肩を台にして立ち上がる。ふくらはぎで頭を挟む。
グラッと来て、アズールは足首をつかむ。
「ばかっ!!上を見るな!踏ん張って!!」
発破をかけられ、アズールは上げかけた顔を正面に戻す。
ベルゼラの王子に生れつき、ばかっと言われたことも、土足で肩を踏まれるのも初めてだった。
女から命令口調で言われるのも初めてだった。だがなぜか不快には感じない。
もちろん秘事の時を除いてのことではあるが。
娘の声の、美しい音楽的な響きをアズールは気に入ってしまった。
「わかったわ!離して」
リシアは再び頭に手を置き、肩車に戻り、すぐさま、アズールの背後に着地する。
軽い身のこなしだった。
デクロアの娘は木登りもするのかも知れない。
例えば、高く届かないところの無花果を収穫するときとか。
「場所はわかったわ。あなたはひとりよね?
迷子のようだから、途中まで連れていってあげる。
狩りをして寄道する使者なんて知らないわ!」
リシアは確認した方向に森へ再び入る。
「狩りは狩りだが、道があんまりくねくねしていたので、真っ直ぐに進めるのではないかと思ったんだが」
リシアは慎重に驚きを隠す。
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