無頼・証券マン、哲二

１６話：Ｎ証券へ転職と旅行２

　おいしい信州そばの店で本場のそばを味わった。その後、諏訪湖半のホテルに入った。そして、早めに床についた。翌朝８時に出て急ぎ旅ではないので高速ではなく国道を走り原村の別荘村、富士見高原、小淵沢、韮崎まで途中で何回も止まって散策してまわり、午後４時に韮崎についてレストランで珈琲を飲んで高速に乗り家に帰った。

　そうして９月末日、Ｙ証券を退職し山倉重道先輩と一緒に１０月１日にＮ証券に出社すると君たちの活躍を活躍を期待しているよと人事部長に言われて、すんなりと就職できた。この年は仕事の流れを見学するように命じられて多くの部署を回ったが、その規模の大きさに驚かされた。やはり、Ｎ証券が日本でもガリバーと言われるゆえんが良くわかった。

　再就職できた、お礼として哲二は山倉重道先輩を食事に誘うと東大卒の学閥グループから仲間に入れと誘われてるのだが、どうすると山倉さんが聞くので、私は派閥というものが好きではないので遠慮したいというと俺も同感で、我々の業界は競争に勝つことが全てであり、仲良しクラブは、そぐわないと言って笑った。

　お互いライバルとして、頑張っていこうと、ビールで乾杯し、帰りには、しっかり握手して、別れた。そして、足早に転職の１９８７年が過ぎて、１９８８年を迎えた。１９８８年になると新人扱いはなくなりノルマのＮ証券と言われるだけあって厳しいノルマを与えられててそれをクリアーするために、毎日、激しい営業活動を要求された。以前よりも厳しいノルマに驚いた。

　しかし、以前リベート客を回って次々と新規顧客をつくり素晴らしい業績を上げると最初ボーナスで１００万円を超えて、まさに実力主義のＮ証券と言われるだけの事はあった。その後も以前の１００人近く顧客を新規顧客と登録し１２月のボーナス、１２０万円と他に、新人賞をもらい別に１００万円を支給された。

　しかし、これでＹ証券時代の顧客は全て終わったので来年から厳しくなると覚悟していたが株式の売買だけでなく投資信託や口座を開くだけでもポイントになる事がわかり新規開拓がこの会社で生き残るための一番の条件だと言うことがわかった。今年は、ほとんど旅行ずに行けず仕事ずくめの１年となったが仕方なかった。

　顧客が多いと取引額も大きいため、その後もボーナスの１００万円は減らなかった。やがて１９８８年が終わり１９８９年を迎えた。今年は長男の健一が早稲田中等部から高校に入学する年だったが中学ではクラスでベスト３に入り優秀だったので無理なく高校へ入れるようだった。

　高校に入ると２，３年で米国の短期留学に応募できると知らされ、健一はカセットテープレコードを買って英語の勉強をしていた。５月、８月１日から１ケ月間のボストン郊外のアイビーリーグに毎年、多くの卒業生を入れている名門ハイスクールに留学するための応募要項を書いたパンフレットを持って来た。

　旅費交通費、授業料、宿泊費、手数料全部含めて１５８万円と書いてあった。奥さんに言って応募要項に全部記入して応募するように健一にも言うと喜んでくれた。それを横で見ていた小百合が、私もいきたいと言うので言って良いと哲二が話した。その後、１９８９年４月に健一は無事、早稲田高等部に進学できた。