無頼・証券マン、哲二

ハリマオ65

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27話:信二の結婚と子供誕生

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 2001年9月4日朝、やがて涼しくなり、世の中が不景気になりはじめると不思議なもので食品工場での不良在庫が増え出して、9月は登録していた10台のトラックが、ほぼフル稼働になり、今度は販売に忙しい日々となった様でうれしい悲鳴が聞こえてきた、それと共に利益が出て来たとお礼の電話がかかるように鳴って、今迄の地道な努力が身を見住んできたことが実感として伝わってきた。

 10、11月も同様で信二も忙しく、アルバイトの若者と働いて店での販売にアルバイトを使い、他の店でもアルバイトが足らなくランクなる程、販売が好調となり12月8日の忘年会では店に新しい人を雇い入れたという話しがあちこちで聞こえて、哲二は、こういう商売って成功すると充実感が半端ないと、柄になく、忘年会のスピーチを終えると感激あまり涙がこぼれ落ちた。

 それを見ていた信二が、お前って、本当に頭良いなと、おもっきり背中をバンバン、痛いほど叩くのには参った。信二の店にも女性2人、男性2人を雇って忙しくなり、儲けも増えたと喜んでくれた。そうして2001年が終わり2002年となった。

 久しぶりに信二の店を訪ねると奥から若めの女性が出て来たので、哲二が誰だと聞くと新しく雇い入れた女性で数年前、旦那さんの暴力に耐えかねて大阪を逃げ出して、東京の学生用アパートに小さな子供2人で移り住んだという。そして昨年秋からこの店が忙しくなるのでこの店に住み込んで働くようになったと言ったので哲二は肩をたたいてうまくやったな、早く女房にしろよと言うと、照れて、彼女に言い出せなくてと言うので、お前、彼女を好きなんだろと確認すると、もちろん好きだから家に入れたと言った。

 じゃー俺に任せろと言い、奥さんの桂子さん34歳に状況を話すと下を向いたかと思うとボロボロと泣き始めた。うれしいわと言って、これで決まり、早く結婚式を挙げて籍を入れろと言うと、信二さん、それで良いのと聞くと、小さくうなずいた。哲二は破顔一笑で、こりゃめでたいと信二の両親にも話すと大喜びしてくれた。

 電話を借りて結婚式場と日程を選んでもらい2月2日に浅草で結婚式を挙げることが決まり、案内状を哲二がパソコン・プリンターで往復はがきを印刷し、商売仲間にも送って36名が参加してくれ結婚式をして、結婚の挨拶に秋葉原の慈善事業団体代表のジムに乾杯の音頭を取ってもらった。もちろん仲人と司会を哲二夫妻がやったのはいうまでもない。

 2002年10月に哲二の長女の小百合が突然、アメリカのユニクロを退社してインターネットを通じたネット販売のアマゾンという新しい業態に興味を持ち、アマゾンに転職したと連絡が入った。その年の2002年6月に信二の奥さんの桂子さんの妊娠がわかり、哲二夫妻は何だか孫でもできたかのようにうれしくなった。10月22日に男の赤ちゃん、伊東幸司と名付けた。

 あまりの感激に出産祝いとして分厚い祝儀袋を渡すと信二がいくら入ってると聞くと100万円と哲二が答えると関西弁でアホかと言い大笑いした。笑いながら信二が哲二の優しさに号泣して、奥さんにも号泣が伝染した。これに対して哲二が信二に、お前、恵食社の社長だろ俺は会長、俺の方が偉いのだから、ありがたくもらっておけと言うと大笑いとなった。
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