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16話:ソーシャルレンディングで行こう

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 日本では、保険適応の高額医療検査は、大々的にPRできない様なんですと苦笑いしながら説明した。まさに我が社が捜していたシステムに、ぴったりだと大喜びしていた。ただし医師会とか厚生省とか難しい所があり医療関係者でないと関わることができないのが現状で地元医師会の賛同を得られないと現実には実現できない。

 なので綿密な地元医療機関との根回し対象患者数の調査と最終的には地元医師会の大病院の院長の許可が必要なんで異業種からの参入がなく競争はありません。しかし、なにせ高額なので金の工面も大変なのですと現状を打ち明けた。実は、日本では、高配当を得られる先がなくて、地方銀行、中小金融機関、個人投資家が、こう言う商品を待ち望んでいた。そこで我が社が、日本で初めてソーシャルレンディングを2014年から開始したと語った。

 それなら、お互いに渡りに船ですねと、握手した。早速、この話をするため2014年6月6日、丹沢先生が静岡に来て、この話をした。しかし大阪、九州に展開するには、医師会との根回しが必要だし、直ぐ、うまくいくとは考えにくいので、現在の首都圏での新たな高度臨床検査センター設立にかけてみないかといい、表向きは、すべて、我々が出て、金の回収と配当金を出すなど、金融面は、すべて任せてください。

 それを聞き、ソーシャルレンディングの新会社に、お願いする事にしたいと言った。何か、狐に鼻を包まれた様な、上手い話ですねと佐藤さんが言うと、しかし、断りを入れてきた三菱UFJ銀行大阪中央支店の支店長の書面にも2014年から日本で。解禁となったクラウドファンディングの中のソーシャルレンディングに該当するのかも知れませんと書いてあったので間違いないだろうと言った。

 泉田が、それなら、多くの医療関係者と一緒に公明正大に共同して運営しましょうよと言うと、丹沢先生が顔を曇らせて、だから若い人は何もわかってないと言った。こんな上手い話は誰でも自分達のグループで利益を得ようとして動き他には絶対言わない逆に知られたら縁故関係の深い連中に全部持って行かれるだけだ。これは、その地区の患者さんの予測数を間違えないこと。

 次に、この地域のためという錦の御旗のもとで、その地区の医師会と大型病院の院長、事務長、検査技師長に了解を取る必要があるわけだ。例えて、言えば、サーカスの綱渡りみたいなもので、ちょっとミスれば、それでおしまいさと、真剣なまなざしで言った。佐藤さんが、そんなに難しいのに丹沢先生だけで大丈夫ですかと聞くと、そのために多くの医師会の会長、大病院の院長、医療関係者トップの連中と身銭を切って付き合ってると話した。

 今後、首都圏でこの話を進めるためには、接待費、軍資金が、もっと必要だなと、ちょっと困った様な顔をして1人1千万円ずつ拠出してと言った。すると、そんなにかかるのと佐藤さんが聞くので、本当は1億円ずつ欲しいが、そうもいかないだとうから一桁下げてやったんだと困った顔をした。佐藤さんが、これで、内容はわかった何とか1軒でも我々の手で首都圏に高度臨床検査センターを作ろうと息巻いた。

 そうだなと丹沢先生が言い、明日から、根回しで忙しくなると言った。私は、これから動き回ることになるから、用事があるときには、必ず、スマートフォンに電話、または、細かい情報はメールで送ってくれと言った。話を終わると、今晩は、静岡に泊まっていくから、佐藤君、また、あのパブへ連れて行ってと言うと、佐藤さんが、丹沢先生に向かって、「英雄、色を好む」ですかと言い大笑いした。

 そして、丹沢先生が今日は平日だから、あの子もいるよなと、なれなれしく佐藤さんの肩に手を回した。徒歩3分で、そのパブに行くと以前の子達3人がいて、以前と同じか、それ以上に盛り上がった。これを見ていて泉田が、これで本当にうまくいくのかよと心中でつぶやいた。その後、2004年7月8日、泉田が港北ニュータウン高度臨床検査センターに来ている日の夜19時半に、新横浜で佐藤さんと丹沢先生の3人で集合した。
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